ドクターヘリパイロット(元)奮闘記

老いぼれドクターヘリパイロット(元)の繰り言

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 昨日上げた動画は東北震災の次の日の早朝の豊岡病院からの離陸時の様子で、見送りのドクターが取っていてくれたものをいただいた動画です。

  伊丹から自衛機で現地へ向かう予定のDMATクルーが当日夜遅くなって、急遽自衛隊機が飛べなくなり、深夜12時ころドクターヘリで向かうことが決まり、出来るだけ早くと言うことで、夜明け少し前に霧の中を離陸したものです。

 深い霧で視界が50メートルほどしかなく、もちろん明らかな航空法違反で、見方によっては大変危険なフライトと言うことになりますが、3時間ほどしたら霧が晴れるのを待って離陸するか、違法に1分ほど雲の中を上昇するかですが,3時間飛べなくても誰も何も文句は言わなかったことでしょう。

 豊岡は霧で有名な竹田城と同じように霧が多く、離着陸で影響を受ける事が良くあり、通常は霧を縫って低空を右に左に上に下にと激しい回避をしながら合法的に飛ぶか、離陸時は違法であっても少しの雲中飛行をためらわないで安定した上昇で切り抜けるか、選択をする飛び方を選んでいました。

 合法的であっても危険性が高い方を取るか、違法であっても安全なほうを取るかなのですが、もちろん出動要請がかかった時ですので、違法や危険性をたてに、生死の境をさまよう重症患者を無視して出動を断る事が正規だと言われればそれまでと言うことになります。

 このような判断や選択はパイロット自身が自らの責任でしかも、瞬間的に決める必要があり、管理部門や、上司、医療クルーがパイロットに対して圧力をかけたり、強制する事はできなことになっていますが、圧力がないと言う事はありえないでしょう。

 と言うことで違法に雲の中を上昇するときには、後ろの医療クルーに1分ほど目をつぶっていて下さいと声をかけて飛ぶことにしていました。

 5分上昇しても雲の上に出なかったらどうするのだと言われれば近接する但馬空港へGPS VORアプローチで着陸することになりますが、、、、

 給料が安いのですから、ここまでやる必要はないでしょうし、たぶん他のパイロットはやってなかったようですし、たまたま避けきれずに運中飛行になったパイロットに同乗していた整備士が死ぬのはごめんだと即退職した例もありました。

 さてこのような飛行技術はヘリパイロットに取ってはいずれ必要になってくる、あるいは経験を積んで熟練すれば、自己の能力と飛行の危険性と違法性と任務の重要性を天秤にかけて、様々な選択が出来ると良いのではないかと思います。

 さて通常はパイロットに対してこのような選択を強制する馬鹿はあまりいないと思うのですが、過去に最悪の人間がいたことをここで取上げておきます。

 24年前 阪神淡路大震災の時、村山総理政府が民間ヘリをチャーターして、救援に飛ばすことになり、一番機として会社を代表し飛んだときでした。

 午後3時ころ、伊丹空港へ着いていたのですが、飛ばす方の伊丹空港長はじめ関係者の準備が遅くなり、やっとおにぎりなどを積んで飛べと言うことになったのはすでに6時半くらいで夜になってしまっていました。

 後で知ったのですが、空港長自身が

さもえらそうに西宮グランドまで飛べと言う指令を出しました。

 私はおちょくり半分に西宮グランドとはどこにあるんだ。地図は?と聞くとないと言う返事、えっ 電気は停電していて真っ暗だろうし、周りには電線があるだろうし、見取り図くらいはあるのか?またしてもないと言う返事、 えっ 死ねということ?第一着陸許可は?  わたしが許可権者だから許可します!えええ  これが航空行政の上層部のヘリに対する認識程度です。

 東京官邸で総理が早く飛ばせと、せっついていたようでした。

 ヘリパイロットは高い技術を身につけていないと殺される、あるかは自分で自殺する、いずれにしても芸は身を守ることもあれば、墓穴を掘ることもあり、他人が守ってくれるなどとは夢々思はないほうがよさそうです。

 

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