ドクターヘリパイロット(元)奮闘記

老いぼれドクターヘリパイロット(元)の繰り言

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 長野県が防災へりの運行再開に向けて大変苦悩しているようです。

 過去に4回防災へりが墜落し、3県が委託運航、1県が自主運航で他の同じような公的ヘリでは神奈川県のドクターヘリが墜落しています。

 事故原因は事故調査委員会で色々と調査し、それぞれの結果が出ていますが、簡単に言えば、すべてパイロットの技量未熟の可能性が高く、さらに言うと管理体制の不備と言えば聞こえが良いのですが、管理体制ゼロが実態でしょう。

 そしてさらに言えば、事故調を含む小型航空機の行政機能が、あるいは行政管理能力が無いか、放棄していることも原因なのですが、身内の事故調がそのような要因についての発言力がないと言うことも実態としてあるように思います。

 長野防災ヘリの事故調査は、再発防止を目的として行なっているはずですから、事故調の言うとおりに対策を取れば、簡単に再開できるはずですので、長野県は事故調の意見をまず聞くべきでしょう。(これはいやみな冗談ですが、、)

 さてこのように公的ヘリの運航に大きなリスクがあり、現実に事故が起きているなか、次週のドラマ「コードブルー」でドクターヘリの事故を取り上げるそうですから、まずは大英断だと評価するべきでしょう。

 と言うのは現にドクターヘリを運行していて、事故を起こした当事者の運航会社に取って、出来たら触れて欲しくない一番のものはドクターヘリの事故でしょう。

 現に運航しているヘリ会社だけではなく、一緒に飛行する医療関係者も、管理組織の病院や行政にとっても実はあまり触れたくないのが事故で、私が5年間在籍していたところでも、真剣に事故対策や安全について、日常的に活動しているところはほとんど無かったように思います。

 私は40年近いパイロット生活で、10人以上の先輩、後輩、同僚、部下の仲間が殉職しましたので、パイロット生活の中で起こるすべての事象が事故に結びつかないか、あるいは常に起こる失敗を防げないかと思わなかった日は一日も無かったことは確信しています。

 私の現役中の最後の殉職者は彼の息子の進路について、事故の1月前に待機中の基地病院へ電話をしてきた元部下のパイロットで屋久島で墜落し殉職した40代のパイロットでした。

 しかも死因は墜落の衝撃で轢断された脚からの失血死で、自分が近くのドクターヘリにいれば絶対に死なすことは無い症例で、当時は防災ヘリの対応で間に合わずに亡くなったそうです。

 話はそれましたがドクターヘリのドラマでヘリの事故が取り上げあられるそうですので、今までまったくストーリーに上がってこなかったへりをどのように取り上げるのか大変楽しみです。

 医療関係者がヘリの運航のリスクを含めて、ヘリ全体をどのように評価しているのか、あるいは素人の脚本家がどの程度咀嚼出来ているのか、一目瞭然にわかりますのでぜひとも期待したいものです。

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長野県防災ヘリ復活へ

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 事故から3ヶ月、ほとんど出口が見えない長野県防災ヘリの復活です。

 事故後3ヶ月で解決するほどことは簡単ではありませんが、そのような中同じ空港をベースとしている小型機が17000時間の超ベテランが乗っていても事故を起こすほど山岳地帯の飛行が危険性を伴うということの表れです。

 長野県防災ヘリが復活し、今後何十年にも渡って安全を確保しながら運航を継続できるような体制を作れる見込みがない限りは、県による自主運航はまずあきらめたほうが良いでしょう。

 まずは民間運航会社にそれなりの金額を提示して、10年単位以上の期間を決めて、受託運航を願い出ることでしょう。

 高飛車に運航会社を選ぼうなどと言う態度を取れば、まともな会社は応じないでしょうし、応じる会社はだめな会社という事も大いにありえることでしょう。

 1年半以上かかる航空事故調査の結果を待って十分な対策を取って運航体制を再構築しようなどという事もほとんど意味が無いでしょう。

 事故調査で出てくる事故原因や再発防止策は、ほとんどすべて後知恵でしかも運航の現場から見たら、猿知恵程度のものしか出てこないでしょう。

 民間運航会社に断られたりして、もしどうしても自主運航にこだわるなら、県警と運航を統合し、より大きな組織として飛ばすということはかなり意味があり、特に今抱えているパイロットや整備士や運航管理要員を生かせるというメリットはあるでしょう。

 さらに大改革という事なら、自主運航をしている岐阜県と統合し、より大きな組織として運航すると言うこともひとつの方法として可能性があり、さらに理想的には両県の警察まで含めた大きな組織が良いといえるでしょう。

 大きな組織の何が良いかといえば、ベテランから中堅、新米とひとつの組織の中に在籍して、複数の指導者の下、成長していける可能性が高くなります。

 また各個人個人の欠点などを比較的修正していきやすい環境となります。

 本来なら3県の防災、県警、ドクターヘリまで含んだ10機体制程度の組織運営が一番、効率的で安全性の高い運航が継続していけるのですが、不幸にしてバラバラの状態が確立してしまって、すでに遅いと言えますが、検討する程度はしても良いと思います。

 10機体制でパイロットが25人いればアルプスを飛べるパイロットの5人程度は出てくるでしょうし、新米からの成長も見込んだ人員育成ができるでしょう。

 機体の種類は大中小を含んだ複数機体制で、整備コストもおさえられ、運航には適材適所で機種を使い分けできます。

 私が以前から言っているように、北海道、東北、関東などと言うような地域割りで各所10機以上配置して、やれば良いのですが、今となっては相当なことが起きないと変わることが無いでしょう。

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 長野県は事故で失った防災ヘリの運航を民間委託する方向で複数の運航会社と協議に入ったと伝えています。

 自主運航で防災ヘリの運航を再開するのは不可能と判断したようですが、それは妥当な判断と言えるでしょう。

 民間運航会社とヘリコプターを販売する商社は好条件で契約を取れることはほぼ確実となりそうですが、熟練パイロットが少ない中、運航会社はうまく運航を行えるでしょうか。

 あるいはこの事故が自主運航を行なっている他県に影響を及ぼす可能性はあるでしょうか。

 自主運航を行っている県は、現に飛んでいるパイロットが本当に防災へりの運航を安全確実にこなす能力があるかどうか、実は本当のことを判断する力がないことは確実で、盲目でパイロットを選んでいることになります。

 ほぼ防災ヘリを飛ばす能力のあるパイロットでないと、当該パイロットを審査できませんので、独自で自県のパイロットの審査をすることが出来ないでしょう。

 県の防災へり運航責任者であっても事務職なら、あるいは横に乗る整備士がいかにベテランであっても、パイロットを正確に審査をして採用するかどうかなど決めることは出来ません。

 今までどのようにしてパイロットの採用を決めてきたのか良くわかりませんが、今後は何らかの方策を採るべきでしょう。

 運航会社は、防災ヘリやドクターヘリなどを含めて多くの仕事で、数多くのへりを飛ばしている会社ほどパイロットの能力の判定をするシステム要員を抱えていますので、比較的正確な審査を行っていることでしょう。

 ただし正しい審査が出来る会社が、必ずしも長野県へ一番優秀なパイロットを派遣してくれることを望むのは無理と考えたほうが良いでしょう。

 一番優秀なパイロットは防災ヘリに乗ることはありえませんし、他県の防災ヘリで飛んでいるパイロットをまさか長野県へ出すことは出来ないでしょう。

 大手の運航会社は多くの仕事を抱えているはずで、それぞれの仕事は難易度に一定の序列があり、防災ヘリは始まった時から2流パイロットが担当することになっていました。

 しかし営業展開上、運航会社は2流のパイロットを派遣しますなどとは口が裂けても言わないでしょう。

 長野県を担当できるパイロットがまさか社内で仕事が無くて遊んでいるはずはありませんから、当然、社内でパイロットの配置でシフトが起こりますので、そのシフトで社内の運航に影響が出ることは避けられないでしょう。

 一人のパイロットを他の仕事にシフトすると、どうしても能力不十分なパイロットが何らかの仕事を担当する羽目になる可能性が起こります。

 長野県は県で抱えているパイロットは、今のところ飛行経験が少ないので防災ヘリは無理だと考えているようですが、逆に言えば経験が増えれば使えると思っているようです。

 飛行経験が30代で200時間、40代で800時間のパイロットは死ぬまで飛んでも防災ヘリを飛ばせる可能性はないでしょう。

 ちなみに私は30歳で4000時間、40歳で9000時間でした。

 長野県が自主運航に失敗し、いきなり運航会社に泣き着いても、まともなパイロットはどこにもいないことを覚悟したほうが良いでしょう。

 さてどの運航会社が引き受けるのでしょうか。

 運航会社もパイロットが育つ環境が厳しい時代ですので、長野県が運間委託することが必ずしも良いとは言えませんが、さりとて自主運行なら再開のめどはなく、いっそ自衛隊か県警に任したほうが良いかもしれません。

 確か、兵庫県は一時県警に任していた時代がありました。

 

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         Y君 ローターの先端が前のライン テールの先っぽが後ろのライン ぴったり!!5センチも狂ってない!

 今日の記事は長い標題となりました。

 航空機は航空法によって安全性を維持するために低空飛行を制限されています。

 飛行する場所の状態によって、広い水面などぶつかるものがない場合ははどんなに低く飛んでもOK、障害物との距離を150メートル以上取れば良い、都会地などは600メートル以内の一番高い障害物から300メートル以上の高度、それ以外の地域は150メートルの対地高度となっています。

 今回の長野防災ヘリが墜落した場所は、都会地域でもない、広い海でもない場所ですので、対地150メートル以下で飛ぶと明らかな航空法違反となります。

 ただし航空機が離着陸する場合と人命救助のための飛行はこの規定によらず低空飛行はOKとなります。

 人を吊り上げたり降ろしたり、あるいは荷物を吊り上げたり降ろしたりする場合は特別に許可を取ることになりますし、遭難者の捜索訓練の場合なども同じように許可を取る必要があります。 実働の救助は許可が要らないことになっています。

 捜索訓練の場合は通常50ノット100キロ以下でやるので、墜落したとしてもほぼ誰も死ぬことはありえないでしょう。

 つまり今回のように高速で山の立木に引っかかったような飛び方はありえないと言うことは常識となります。

 では高速で着陸場へ向かっている時にエンジンが故障するなど何らかの重大なトラブルに見舞われた場合、このような墜落の仕方がありうるかどうかと言うことになります。

 法の規定では対地150メートルですから、その状態で片方のエンジンが止まっても通常の飛行にはまったく支障はありえませんし、他の何らかの故障が起きても、高速のまま山に突っ込むことはほぼありえないでしょう。

 また墜落までに、無線で何らかの連絡することが出来る時間的な余裕はあると思われます。

 つまり今回の事故は航空法に従って、普通の高度を取って飛んでいればまったく起こりえない事故で、何らかの意思を持って極端な低空飛行を行っていたとしか思えないような状態で墜落しています。

 その意思の背景にあるのが、遭難救助などの事例に際して、航空法上の低空飛行などの制限を免除する例外規定があるために、常に防災任務で飛ぶパイロットは山間部に入ると訓練と実働の区別なく低空飛行に対する免罪符を得たような錯覚に陥っている可能性があります。

 特に快晴無風の状態で慣れた空域での訓練の場合には気が緩んで、無意味な低空飛行を繰り返していなかったか、あるいはそのようなことを誰か、管理監督する組織管理職者が所属している組織にいたかどうかが大変気になるところです。

 少なくとも普通の飛行任務を持つ数十人以上の組織にあっては常に組織を構成するパイロットが、陥りやすい誤りについての指導監督がなされるものですが、機長一名、管理監督者素人、その他は兵隊ばかりではなんら監督することはなかったことでしょう。

 

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 大変残念ですが乗っておられた9名の方、全員死亡が確認されたようです。

 この事故に関する重要なニュースが出てきましたが、それはホイストを操作する隊員と思われる方が操縦席の後方に位置していて、今流行のゴープロのようなカメラをヘルメットに装備していて、離陸から墜落までの一部始終が記録されて残っているそうです。

 ゴープロかどうかわかりませんが同等のものならマッチ箱大で2時間も 内臓電池で4Kの絵が取れるそうですから大変有力な事故調査資料となります。

 まず映像記録でほぼ飛行経路が特定できますので、最初に立木を叩いた位置を痕跡で特定し、ローターか機体かテールローターのどの部分が当たったかを調べます。

 テールブームが胴体の下にあることから、昨日書いたようにテールローターがまず木を叩いてぶっ飛んだと想像していますので、それがどこに落ちているかを調べます。

 ゴープロは音声も記録しますので、ヘルメットに着けていれば機内通話の内容も読み取れるかもしれませんし、機体の一部が最初に立ち木などを叩いた音も分析できるかもしれません。

 また何かを叩いて墜落したことがわかれば当然低空で飛行しているわけですから、残った映像や音声から任務で低空飛行をしていたか、服務規程違反の疑いがあるかもわかるでしょう。

 ベルのヘリの機体構造は必要以上に強く出来ていて、50ノット60ノット程度で激突してもほぼ人が死ぬようなことは大変少ないようです。

 今回の事故の壊れ具合からは100ノット以上の速度で、姿勢制御ができないまま墜落していますので、超低空高速で何かにぶつかるか、いきなり操縦不能になるような故障が起きないと今回のような結果にはならないでしょう。

 今回の記録映像の発見ですでに県側は録画を再生して、事故に至る一部始終、事情を知っているようで余計なコメントはしなかったのでしょう。。

 なぜそんなに低空で飛んでいたのかわからない、程度の証言はあっても良かったように思いますが、防災ヘリ、ドクターヘリが日常的に法定以下の低空飛行を認められているため、パイロットは低空飛行にあまりにも慣れっこになって、危機感が薄れているというような恐れはありそうです。

 いずれにしても、離陸から墜落にいたるすべての時間を取った動画があればほぼ事故原因の解明は確実で、今後の運航に生かすことが出来そうです。

 それ以前に防災ヘリやドクターヘリ、県警ヘリなど公的なヘリのパイロットは国家的に養成、育成することが結局は安全運航への近道となるでしょう。

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