ドクターヘリパイロット(元)奮闘記

老いぼれドクターヘリパイロット(元)の繰り言

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 先日の三沢のF35の事故はパイロットが空間識失調に陥ったため、姿勢が把握できないまま海面に激突したのではないかという報道発表がありました。

 どうも音速を超えるスピードで真っ逆さまに海面へ突っ込んだ様子で、空中を飛ぶパイロットにとっては大変恐ろしい事故です。

 人間であるパイロットが自分の姿勢感覚や速度高度感覚を否定して、計器を信じて、異常姿勢からの回復操作をするなど、とても人間業ではないので、暗夜にいったんバーティゴに入ったら助かることは難しいでしょう。

 その昔 T33の夜間航法訓練で北側から急降下しながら浜松飛行場直上を通過し、目標物のある海岸線を通過して、星空のような漁火の遠州灘へ突っ込んでいったとき、一瞬空と海の区別がつかなくなってバーティゴに入りかけたことがありました。

 さて、大きな姿勢変化をすることが少ないヘリコプターの運航でバーティゴのような現象が起きることがあるのでしょうか。

 一番危険の高いバーティゴのような現象はやはり雪の中の、降雪中のホバリングです。

 雪の中のホバリングで静止してるとき、自分が吹き飛ばした雪が前に飛んでいく様子が視界の大部分を占めれば、ヘリが止まっているのに大きく後方へ移動しているように見えることがあります。

 その時の外界の見え方によって、ホバリング静止しようとすれば、前方へ飛んでいく雪を追いかけることになり、急激に前に移動することになり、ホイストで人を吊っていたり、スリングに荷物を吊り下げていたら大変なことになります。

 激しい雨の中、風防に着いた雨滴はローターの吹きおろしで、上下左右に激しく動き、その動きに視線を集中してしまうと、ヘリが大きく動いているような錯覚に陥り、ホバリングしていられなくなります。

 ヘリの夜間の不整地やヘリポート以外の場所への離着陸は、どのような光線具合なのか、障害物の見え方はどうなのか、風の影響と速度コントロールなど、昼間に比較するとどの程度の危険性があるかなど、多くの民間ヘリパイロットには未知数な部分が多くあり、一瞬にして障害物に激突しかねない危険が潜みます。

 空自の戦闘機パイロットは体験や事故例に元づいた訓練教育を受けているにもかかわらずある一定の確率でバーティゴによる事故が起きているようです。

 ヘリコプターの運航はこれに似た部分があって、多くの事故が起きている割には訓練教育が行き届いていない面があり、将来の夜間飛行に向けて十分な準備が必要とされる所以でしょう。
  
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  6月8日のニュースによると大津市民病院の救急科の医師大半が一斉に退職するということだそうです。

 私がドクターヘリに乗り出してから10年少し過ぎましたがその間このような集団退職騒動が3回目です。

 このような騒ぎはほとんど救急科のようですが、ほかには産婦人科にもあり、集団退職騒ぎのほか、残業手当の支払いの裁判などがあったと思います。

 救急科と産婦人科は誰がどう見ても24時間営業で、大変激務なのですが、自分がドクターヘリの日中勤務に際して拝見していると、夜間通して勤務し、そのままドクターヘリの当番が続く、24時間以上も連続勤務も珍しくありませんでした。

 そのような勤務で疲れ果てて、空いた時間にソファで爆睡するドクターも珍しくありませんでした。

 今のところドクターヘリは昼間有視界で運航しているので、24時間営業のドクターたちのような激務はほとんどなく、同情の気持ちしかありませんでした。

 大津市民病院の場合、漏れ出てくる情報では、病院の採算性を改善するための施策を取ったということらしいので、長時間勤務する救急医のサービス残業や時間外手当の支払い、シフトの組かた、さらには医師として肝心なモチベーションに関して市当局、管理側との意見に大きな隔たりが出たのでしょう。

 大津市の救急対応の25%を担っていたそうですから、他の救急病院がその分さらにタイトになることは確実です。大津市民病院では他科の医師の応援で少しでも救急医療を受け入れる体制を組むそうですが、ほぼ無理でしょう。

 救急医が集団で退職するにはそれなりの大きな理由があり、それはおおむね金やオーバーワークだけではなくモチベーションが切れたということなので、ほぼもとには戻らず、慌てて採用するできたとしても、採用された医師たちはほぼ退職した医師たちより経験技量とも格段に落ちることでしょう。

 また、同じようなことは運航クルーにも起こる可能性があり、このような就労環境の悪化や技術者のモチベーション低下爆発は、医療事故、航空事故の大きな要因であることも忘れてはなりません。
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 いまだに展示行事や公開訓練に実任務を持つドクターヘリが参加させられているとは思いませんでした。

 知事や県幹部が導入されて活躍するドクターヘリを展示行事や航海訓練に参加を強要し、自己の業績の誇示や県民へのPRに使う気持ちは理解できないことはありませんが、実際に任務に就いているドクターヘリを基地病院から離れた場所へ呼び出して参加させるとは情けない限りです。

 このようなことをさせるのはドクターヘリの任務に就いている様子や実情をよく理解しているとは思えません。

 私自身も何回も訓練や展示に呼び出されて参加したことがありますが、その途中で実際の出動要請がかかり、慌てて離陸したことが複数回ありました。

 普通訓練展示をするためには、ドクターナースはヘリから医療器材を持ち出して、普通に患者に処置するようなことをデモしますので、このようなときに実働がかかるとどうしても離陸に手間取ることになります。

 医療クルーがヘリから離れていると出動の連絡がうまくつかないことがあったり、医療器材を救急車内に忘れたりと、実働の障害になるようなことが起こりがちとなります。

 また燃料搭載量の調整や、出動に際しての天候確認や患者情報の連絡など通常と違う体制のため遅れが出たことがありました。

 また関西空港での訓練では、緊急出動のための離陸許可に手間取り遅れたり、遠く機体から離れた医療クルーが空港内の移動に手間取りました。

 もともとの契約でどの県のドクターヘリにも予備機が運航会社で確保していますのでみょびきを使うことが普通なのですが、このようなことが実施されることはほとんどなく、実際の任務中のヘリが訓練などに使用されています。

 同じように参加する防災ヘリには、急な出動は日常t気にほとんどなく、また防衛庁のヘリは何機も所有していて、訓練参加中のヘリが急きょ飛ぶなどということはあり得ません。

 訓練や展示行事には必ず予備機を使うように厚労省から通達を出して、実任務のドクターヘリが余計なことに拘束されないようにするべきだと思うのですが、いい加減改めてほしいものです。

梅雨入り、、、、

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     地元の友人の庭でサボテンの花が咲きました。




 ニュースによると気象庁は6月7日、東海関東北陸信越東北南部地方が梅雨入りしたと発表しました。

 例年は西日本から北へ順番に入梅するのですが、逆転現象は40年以上ぶりだそうです。

 有視界飛行のみで飛ぶヘリコプター関係者は降水、低視程、雲に邪魔されて苦しむ時期が来たということになります。

 おおむね例年通りの時期に入梅となったようですが、長年天気現象と付き合ってきた元ヘリパイロットの印象では、本当に雨が多い時期は6月中旬以降で、入梅宣言から2週間程度はあまり雨が降らないことが多かったように思います。

 また7月が初旬から中旬までが一番雨が多い時期となるようです。

 その場合は空梅雨とか、逆の場合に戻り梅雨とかいろいろと言い訳の季節用語があるので、気象現象は計画通りにはいかないということでしょう。

 今年の天気現象の様子では5月に真夏のようになったかと思えば肌寒かったりと、日本列島の直上で南北の直上で気団がせめぎあうことが少なくて、どちらかと言えば空梅雨、降る時は男性的な豪雨タイプになるのではないかと素人ながら予想します。

 いずれにしても、任務の必要性から365日休みなく飛ぶ体制のドクターヘリや防災ヘリなどは悪天候時の運航の可否を判断したり、悪天をついて飛ぶ技量が大変重要で、一つ間違えば悲惨な航空事故、逆に間違えば要救助者や患者が犠牲になる可能性があります。

 過去にはこのような悪条件が事故を招いた例はいくらでもあり、どちらかと言えば逆に大した悪天でないのに出動しなかったというような評価の例が少なく、これは当事者が犠牲的精神で任務に邁進している様子が表れています。

 悪天の時期が来るこの梅雨時にはこのような、事故例の復習や天候判断の基準の確認など、やるべきことは多くありそうです。
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 NHKがニュースでアマゾンがドローンを使って宅配を始めると伝えています。

 すでにFAAの許可を取ったということですし、大々的に発表していますのでまんざら嘘ではないようです。

 しかし映像で公開されているのは実機のヘリポートのような広い離着陸場を使って、まったく障害物のない広大な農地のような地域を飛行していますので、課題とされている安全性には全く問題のない地域を飛ぶような映像となっています。

 つまりドローン自体の障害物への衝突の問題や、地上の人や物件への影響、空港や航空機への影響が解決された様子はあまりなく、とりあえず他社に影響のないところで飛ばして実績を重ねて問題点を解決していこうとする姿勢のようです。

 つまり日本国内ではほとんど実験運航を始める状況にはないようです。

 横浜の新交通システムで考えられないような初歩的な問題で逆走してけが人が出ていますし、大阪でも過去に同じことがあり、自動化無人化の完全な実用化は前途多難というしかありませんが、アメリカアマゾンの新たな挑戦は素晴らしいというしかありません。

 空飛ぶドローンなどの開発が多くのところでなされていて、実際に人が乗ってホバリングする程度の段階まで進んでいますんで、マスコミのあおりで今にも実現できそうに思う方が多いと思いますが現実はそうはいかないでしょう。

 少なくとも今研究されているドローンはすべて電動で、かつ4枚以上の固定ピッチのローターを持っていますが、これがすでにある既存のヘリコプターに比較して、空力的に優れているのかにさえ疑問を持っています。

 今のヘリコプターに自動化制御を積むことが安全上も、開発費用上も一番早いような気がしますが、ドローンタイプにすればすべてうまく行くというほど甘くはなさそうです。

 人がの乗るドローンの実用化には多くの犠牲者が出て、無人ドローンの実用化には障害物との衝突、実機とのニアミス、地上の人や物件に与える影響などが出て、問題山積みのように思います。

 しかし 進歩に挑戦するにあたり、何らひるむことなく前進あるのみでしょう。

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