ドクターヘリパイロット(元)奮闘記

老いぼれドクターヘリパイロット(元)の繰り言

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 飛行中に雲の中へ入ってしまったり、強い乱気流で急激に落とされたり、低空飛行を強要されて危険な目に合ったりとヘリパイロットはろくなものではありません。

 強要するのはお客さんであったり、会社内の関係者であったり、あるいは場合によっては自分自身であったりしますが、下手をすると死ぬことになりかねませんし、実際に亡くなったパイロットも数多くいます。

 群馬防災機の事故の場合は、たぶん誰一人強要はしなかったと思われますが、離陸する群馬ヘリポートの天候が快晴で無風に近くて、情報の入らなかった墜落現場付近がガスがひどければ、強要されたと同じことになります。

 20メートルの強風の中、山中でホイスト救助を待つ遭難者がいれば、思いっきり強要されているようなものです。

 深い霧で50メートルしか視界が効かないとき、心肺停止の子供がドクターヘリの到着を待っている状態なら誰が考えても、離陸を強要されているようなものです。

 このような状況になって、少し頭の良い意地悪くて、ズル賢いベテランパイロットは上手く裏技を使うのがいたようです。

 同乗する医療関係者やカメラマン、時には整備士までもペテンにかけるようなことをして、自らの命と同乗者の命を守る手を使います。

 たとえばヘリポートが快晴無風の飛行日和であっても、飛行目的の現地の稜線付近がガスで条件が悪い場合、とりあえず離陸して行って 現場付近に近づいたら、いつでも離脱出来る様な方法で、わざとガスをかすめて飛んで、視界不良を同乗者に見せつけて、今日は無理ですねと引き返すのです。

 強風で気流が悪い場合は、わざと急に落とされるような飛び方をしたり、酷く揺れるようなこともすると、一緒に飛んでいる同乗者は引き返すことに喜んで同意することでしょう。

 経験の深いパイロットは地上で、これを出発地のヘリポートで飛ばないでちゃんと判断できる可能性もありますが、一度飛んで状況をより悪く見せつけることで、飛行しないことへの苦情は言わないものです。

 これが同じ目的地へ、よーいドンで多数機が飛ぶ、取材ヘリの場合はこれでごまかす事ができないで、スクープ映像が撮れるか撮れない明白な結果が出ますので、パイロットはなかなか厳しい状況に置かれることもあります。

 ごまかしの仕方も芸の内ですが、ごまかさないでギリギリの運航をしていると、同乗者にとってはそれが当たり前のことに思えてきて、何時でも霧に入って離陸していく事が当たり前と思われる危険性もあり、任務の重要度と、気象条件はかなり正確に天秤に書ける必要があります。

 そしてパイロットは100の力を何時も出すべきではなく、90で行くか80で行くか、ここ一番100を出すかを上手くコントロールしないと命はいくつあっても足りないことになります。

 震災直後の夜間の西宮グランドに着陸する場合、地図や見取り図がなくても、照明が無くても、電線で囲まれていても、安全に着陸できる自信が100%であっても、何の不服も言わずに航空行政の責任者からの命令で不法行為を強要される筋合いはないでしょう。

 ヘリパイロットはスーパーマンではありませんし、大ばか者、間抜けばかりでもありません。



 自分の力は自分と乗客を守り、自分のミスや危険知識不足は乗客を殺す事は歴史が証明していますので、自分はどのようにして命を守るかをよく考えて実行し、他人の言いなりになってはいけないと言うことになります。

 理解の出来ない第3者には嘘も必要と言うことになります。

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