亀じゃ!

オジ〜の生きざまを綴ります。

全体表示

[ リスト ]

60歳の定年を迎え、継続雇用制度を使う事にして一応65歳まで働ける事になりました。それまでは精神障碍者の社会復帰施設での勤務でしたが、60歳にして与えられた仕事は病棟の清掃と患者さんの入浴介助でした。30年働いてある時には職場の責任者をした事もある私が何で今更掃除なんだと辞める事も考えました。最後はカミさんの一言でした。「他に出来る事がないのだから仕方がないじゃないの。」やってみなくてはどんな可能性があるか分からないとの反発もありましたが、差し当たっての計画もなく流れに身を任せる事にしました。
 職場には少し年下のおばさん二人が同じ仕事をします。3つのエリアがあるので一週間ごとに移動して病棟の清掃をします。シーツ交換の時には協力して60床のベッドメイクをします。毎週土曜日に決まっていました。午前は女子病棟、午後は男子病棟です。入浴介助は火曜日と金曜日に毎週ありました。職場を移動した当初はいつ辞めようかとそればかり考えていました。もっと自分に合ったプライドの保てる仕事があるのではないかと考えたものです。それまで、施設では利用者さんに掃除の仕方を教える方で自分がする事はなかったのです。だから余計にそんな思いが込み上げてきたのでしょう。
 しかし、辞めることが出来ませんでした。一つには前院長から大きな精神的な遺産をいただいた経緯があります。それは『内観』という精神療法ですがその頃心を病んでいた私はそれに打ち込む事で立ち直ることが出来ました。そんなご縁を結んでいただいた存在でしたので、私の出来る恩返しとしては病院の為に出来る事を一生懸命にする事しかありませんでした。もう一つは現実的な生活の為でした。他の職場に移るよりも継続雇用制度を利用して働く方が年収でかなり差が出ることが分かり残る選択をしました。所詮は計算高いだけの人間だったのです。恥ずかしい事です。
 やり始めて半年も過ぎた頃でしたか、同年輩の女性に比べて自分の評価が高くなりました。それなりに真面目にはやっていましたのでそんな態度が評価されたのでしょう。そんな声が聞こえてきて、正直嬉しかったです。よし、もっと綺麗にしてやろうと意欲も湧いてきました。丁度そんな頃でしたか、テレビで清掃の大会で連続日本一になった人が取り上げられているのを見ました。密着取材でその人が日頃している清掃の様子を見ることが出来ました。それを見て愕然としました。自分のしている事などまるで子供だましだと感じました。清掃の職人とはそんないいかげんなものではありませんでした。それまでの自分を恥じました。これではいけないと心機一転して掃除に取り組みました。隅から隅まで、見える所も見えない所もぴかぴかに磨き上げました。材質により使う洗剤や道具を考えないと傷を付けてしまったり、曇りが出てしまったりします。それ以来汚れを見つけると嬉しくなりました。さて、この汚れはどの洗剤でどの道具を使ったらきれいになるかと考えます。そして実行してみます。大抵は読み違えなく汚れは落ちますが、落ちない汚れにぶつかるとファイトが湧きます。色々と工夫してやってみます。楽しささえ感じてきました。するとそんな私を見てまた評価が上がりました。2年も過ぎる頃には病棟の清掃と管理は○○さんに任せておけば安心だと言われるようになりました。
 たかが掃除ですがされど掃除です。人間のする事はみな奥深いものです。終わりはありません。それと、実際に毎日同じ事を繰り返していると、色々な思いが湧きあがってきます。こんなに綺麗なんだから少し位手を抜いてもいいじゃないかとか。今日は体調が良くないから軽く済ませておこうとか、とかです。そういう自分の心の声を聴きながらまあまあと諌めながらやるべき事をやるという姿勢を身に付けさせていただきました。
 何でも心を込めて真面目に取り組むと結果は自然に付いてくると実感しました。それにしてもあのタイミングで清掃日本一になった人の番組を見た事は何かに導かれたとしか思えないことです。出来の悪い私の為にあの世からご先祖様達が応援していてくれるような温かい気持ちになりました。ありがたい事でした。今度はもう一度、施設での仕事にこの気持ちを生かして取組みたいと決意を新たにしています。

閉じる コメント(2)

顔アイコン

亀ちゃん、こんばんは^^
9時頃から寝たので今起きてます(笑)
心温まる記事を読ませて頂き感涙しましたよ。
私は掃除は全く出来てません・・・情けないですよね。
亀ちゃん見習って少しずつやっていこうと思いましたよ。
人生の味をありがとうございますm(__)m

2015/5/5(火) 午前 1:17 登羊・なのはな

顔アイコン

> 登羊・なのはなさん
追い詰められて夢中で生きています。あまり余裕のある生活ではありませんでした。私の職人魂に火を付ける番組を見て刺激されました。それもご縁と思い燃えました。結果なんて考えませんでした。一緒に働いていたおば様達は迷惑したことでしょうね。でも同じ一日働くなら自分なりに楽しみたいですからね。私の場合はそれが清掃の職人技術に目覚めただけの事ですよ。元々一つの事を深く追求するタイプなのではまったのだと思います。掃除は頑張るときれいになって達成感があるので大好きですね。

2015/5/5(火) 午前 4:09 [ ちくりん ]


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事