親が死ぬ ということ

末期がんと言われた父との闘病記。

2008年

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

ホスピスに行こうよ

先週、帰省した時に地元にたった1軒しかないホスピスを見学してきた。

「自分らしく生きるための場所」といううたい文句で
院長先生がすばらしい、という評判のホスピス。

病院につとめている友達も
「あそこなら安心して任せて大丈夫だからね」と言ってくれた。

他人に、苦しんでいる身内を任せる。

たぶん今、父は怒っている。
私に対して。

「ホスピスに入って」
「あのホスピス、看護士さんたちがすごいいい人ぞろいなんだって」
「個室だって今より少し安くて、トイレも広いよ」
「家族が寝泊まりできるんだって」

いろんな言葉で
なんとかホスピス入りさせようと
この2か月必死だった。

それは
雑誌やそのホスピスのパンフレットで見た
「ホスピスでのターミナルケアは死の間際じゃなく
ガンがわかったらすぐにとりくむべき」という主張を
もっともだ!!! と思ったから。

手術をしてくれた整形外科の担当医は
「うちの病院にしばらく入院しててもいいよ。お父さんの気持ちを尊重してあげて」
と言いながらも
「あきらめて、ホスピスに入る時が来ると思うから」と
繰りかえした。

その先生にとって
ホスピス=あきらめの地 なんだな、と
話しを聞いてぼんやり思った。

「麻痺がきちゃって、身体はもうダメになってるんだから」とも。

先生、問題発言、多すぎでしょ。

だけど、こういう発言をさらりと平気でしてしまう病院に
おいておけない と決心するきっかけにもなり、
「あきらめてほしくないからホスピスにいこう」と
私は再発がわかった直後、まだ元気だった父を
散歩に連れ出すのと同じノリで
「ホスピスいこうよ〜」とやってしまったのだ。

もう一度
あらためて
今の現状で、今の気持ちで
父がホスピスにたいしてどういう思いでいるのかを
聞いてから
しっかりと説明して、その上ですすめるべきだった…

父の友人のお医者さんが再発した当初
「もしホスピスに、という時期がきても
家族は言っちゃだめ。プロにまかせろ。家族が敵になったらおしまいだから」と
しつこく言われた。

その言葉がふと甦った。

ホスピスへ

父の余命があと3か月と医者から告げられて
ブログを書くのをストップしてから1年4か月。

父は、元気とはいえないけれど生きててくれています。
最初の癌と、再発時、2回手術をうけた総合病院の個室に
2か月の入院中ですが、

念願かなって、昨年秋に産まれた私の娘、
父にとっては初孫を抱いて涙。

先日も、「5キロ以上のものを持ってはダメ」と医者に
言われたにも関わらず「最初で最後」といいながら
8キロをこえた娘を無理矢理抱いていました。

孫が産まれて9か月。
私が帰省しているとき以外は、毎日かかさずかかってきていた
テレビ電話が、3日前からかかってこなくなりました。

児童文学者を目指していただけあって、
ふわふわ夢見がちな文章のメールも
届かなくなりました。

先週、元気づけに娘を連れて帰ったけれど
滞在4日間の期間中、
目をあけていたのはほんの数十分。

がん患者が味わう2種類の痛み=慢性的な痛みと突発的な痛み
が強くなってきて、
拒みに拒んだ麻薬系の鎮痛剤(オキシコンチン&オキノーム)を
使ってから、しゅるる と音をたてるかのように
気力体力ががくんと落ちてしまったみたい。
加えて麻薬系の薬つきものの便秘との格闘。

頸椎のところの腫瘍に神経が圧迫され、首から下が麻痺(手腕は動く!)状態なので
排便のためにいきむことも排便感もないので
常におなかが苦しいらしく、口を開けば排便の話ばかりしています。

痛みが強くなってきたり、トイレに挑戦する前後、おそらく
身体がつらい時に幻覚も見えるみたいで
「なんでそんな雑誌買ったの?」
と何もない机の上をじっと見て
「くだらない。捨てろ」と不機嫌そうに言ったり
看護士さんに八つ当たりしたり
「信じられない」としか言いようのない変化。

大好きな、本当に大好きな大好きな孫が
眠くて泣いた時に言った「うるさい。帰れ」

そして「トイレに挑戦したほうがいいと思うか?」

お父さん。

お父さん。

お父さんじゃないみたい、て言ったら
どんなに傷つくだろう。怒るだろうか。

しっかりして、がんばって、心折っちゃだめだよ

どれも言えなくて
「また来るからね」
病室を出るときに声をかけたけど返事はなくて、
そのまま逃げるように娘をだっこして
がたがた揺れる飛行機で東京にもどってきた。

来週、ついにホスピスにうつることになった。
「ホスピスは、ただ死ぬ末期がん患者を受け入れるだけの最後の場所ではない」といううたい文句と
本当に信頼できそうなスタッフの人たちがそろっているホスピス。

だけど、平均在院日数43日。

2か月待たずに亡くなる人がほとんど、
という場所なのは事実。

来週、そこにうつります。

先週、帰省した時に看護士さんたちの様子、そしてなにより父の様子を見て
(トイレや食事の介護に手がかかる父が厄介者になりつつあった/急性期病院なのでしょうがないんですが)
ホスピスにうつるべきだと父にすすめ
「結論出すのが早すぎる」と怒らせてしまったんだけど、
気持ちがかたまったのか、
それとも厄介者扱いされていることを認識してしまったのか

とにかく

最後の場所、とおそれていた場所に
自分で「うつります」と言った父の気持ちを
おだやかに、少しでも守れれば と

ここにこんな文章を書いても父へのいたわりになるわけもないんだけれど。

全1ページ

[1]


.
bgs**478
bgs**478
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事