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私の夢

私 の 夢
栗山町史編さん推進員 
阿部 敏夫 
 1.「民話の心」に耳を傾ける
 ここ一年くらい前からNHKラジオ番組を楽しく聞くことが多くなった。「深夜便」朝四時からの「あすへのことば」や第二「ラジオアーカイブズ」「文学、歴史、芸術の世界」「カルチャ―ラジオ」などである。
 例えば、本年2月5日の「カルチャ―ラジオ 2000〜」での内館牧子氏の「最終をどう迎えるか」というテ―マを中心にした講演を身につまされて聞いた。内館氏の東北大学大学院入学の思いや同氏が出会った人間模様(エリート人生の男性の生涯やその連れ合いの生き方、同じ郷土の友人の生涯等々)について具体例を挙げながら語っていた。現在の私が身につまされた言葉のいくつかを紹介する。
 その一つの夢は、『あべ としおの「北海道民話との対話」』。民話の世界には、汲みつくすことが出来ない地下水のように「人間」が生きていくようすを自分が日ごろ接しているさまざまの動植物やむら社会、その仲間たちなどの生活の一端を話題にしながら語り伝えられている。また、その世界は語り手や聞き手などが、ともに参加しながら「語り」「話し集」「絵本」となり、子供から大人にいたる人びとを通してさらに豊かになって語り伝えられている。
 蝦夷地から北海道と呼ばれて来年150年になる。生まれ育った故郷を離れざるを得なかった本州以南の出身者(和人)が自然環境の著しく異なる環境のなかで、自己と家族の生活の安定をどう創り出すか、異なる出身者(国衆)どうしが地域社会をどう創り出してゆくか、その心の支えをどのように求めたらよいか、アイヌ民族との協力などの問題を通しての「北海道民話の語り」がどのように行われていたかを探ることは、「民話の語り」の原点を探ることに資するのではないかと思っている。
 現在、地域の後継者難、少子高齢化、富の格差、非正規雇用、戦争や原発等などの「一個人」では担いきれない課題が、「民」の脳裏に充満している。一方では、SHSの時代と格闘させられている社会状況がある。本年1月連載された朝日新聞の連載記事「情報社会」(Vol,8)では「人類が創出した情報量が202044兆GB」のSNS時代を迎えているという。田玉恵美担当記者は「ネットでつながった世界を、いまだかってないほど膨大な量の情報が飛び交っている。広がり続けるその海を、私たちは泳いでいけるのか」という問題提起をしている。
 そのなかでの「一人ひとりの人間」がその事態にどう立ち向かえばよいのか、対応出来ぬ故の深刻な、不透明な不安感、焦燥感のなかでの「個のアイデンティ」を確保する問題が現在問われている。それらの状況下で「民話」は、そして私の場合は「北海道という地域は」どう対応し、そのなかから「再生・共生のメッセージ」をどう探るかが求められていると思う。そのためにも、以下の60年前の先達たちの主張に耳を傾けることが重要であると考えている。
 民話の会編『民話』創刊号(未来社、195810)の「創刊の辞」と同紙3号の宮本常一「私の祖父(年よりたち―)」(同年・12)、山代巴『連帯の探求 民話を生む人びと』(未来社、197312)や上記で紹介した朝日新聞記者田玉恵美氏の問題提起をどう受け止めるかを私はいま噛みしめている。下記に『民話』創刊号の一部を紹介したい。
 新しい日本文化のために 「民話の会」の機関紙が創刊されることになった。機関紙『民話』の目的は会自体のそれと同じで、手短かにいうならば新しい日本文化の創造、その問題を民話を通して考えかつ実践して行きたい、ということに尽きる。そしてこのことをもう一度ここではっきりさせておくために、改めていくつかの点について念を押しておくことが無駄ではなかろうと思う/まず民話を、スプートニクの飛んでいる現代と切りはなさずに考えるという姿勢をもつこと。しかしそのためには、古い伝統、文化遺産としての民話を一方で十分大切にあつかうことが忘れられてはならないだろう。
 同時にまた、民話というものの内容をいたずらに狭く考えないこと。そしてそのためには、文化全般に対する広い視野の中に民話を置いて眺める態度が忘れられてはならないだろう。さらに民話についての厳密な民俗学的・歴史学的研究が重要であるのとともに、民話的精神や民話的心情、民衆の知恵の結晶としての民話、そういう面へのせん細な柔軟なそして鋭い理解と感覚も、また忘れられてはならないだろう。

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