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アスパラの季節はもう最終盤ですね。農村の美瑛は町中にアスパラが出回り、「もうアスパラは飽きたね」となんともぜいたくな会話が交わされています。僕もアスパラは大好きで、いくらでも食べたい方ですが、今年はいろいろもらいものが多く、本当に「もうアスパラはいいや」って気分。ああ、なんて贅沢なんでしょう。これぞ美瑛生活の醍醐味。
というわけで、農作業の方でもアスパラと格闘してみました。といっても、アスパラを植えるのは来年の予定です。アスパラは定植する前に堆肥を大量に投入しなければいけないのですが、来年のことなのでまったく準備はしていません。そこへ、新規就農の同期から「アスパラの苗が余ったから買ってくれ」と連絡が入ったのです。今年はまだ準備ができていない、でも、もう生産を中止している「ラスノーブル」という大変美味しい種類の苗なので、入手できるならしておきたい。迷わず、「よし、買った」。
ぜんぶで1000本以上あります。さて、これをどうするか。売り主の同期は、「ポットに入れておいて、来年植えれば」。しかし、アスパラはたった1年でも驚くほど太い根を伸ばします。とても、ポットなんかではおさまりきりません。っていうか、アスパラがかわいそう。ってことで、ポット説は却下。となると、畑に定植してしまうという手があるのですが、前述の通り畑の準備が出来ていません。アスパラは一度植えてしまえば10年以上、そのままです。だから定植前の準備が非常に大切なのです。いまは無理です。あとは、一度畑の植えておいて、来春に掘り起こして根を正式な畑に定植するって方法。これは、今年試してみましたが、土を掘り返す作業が大変。数十個で体力の限界を感じます。とても1000本という単位の苗をスコップで掘り上げることはできません。
ほとほと困ってしまいました。「困った時は自分で努力せず、とことん人に頼るべし」が座右の銘のボンクラ新米百姓。集落の農家の会合で、先輩に聞きました。回答は明快でした。「カマボコ培土で高畝を作って植えて、来春にデガーで根っこを掘り起こせ」。
解説しましょう。カマボコ培土器とは、前回も書きましたが、ジャガイモの培土に使う機械です。高さ3、40センチくらいのカマボコ状の高畝を作るのです。そのてっぺんにアスパラの苗を植える。そして、来春、まだ芽が出る前の根だけの時に、デガーで掘り起こすのです。デガーとは、これもジャガイモ収穫に使う機械のことで、土を目の粗いベルトコンベアみたいなものに通して、ジャガイモを土の表面に転がり出させるものです。つまり、どれもこれもジャガイモ用の農作業機。これを利用して、アスパラの1年育苗をやってしまおうというのです
ほええええええええ! まったく考えもしなかった発想です。すっげー。すっげーぞ百姓。使えるものは何でも使う。これぞ、生活の知恵。内容的にはマニアックな話ですみませんが、この回答を聞いたときはちょっと感動モンでした。
で。さっそくやってみました。主力作物ジャガイモを目指すボンクラ百姓です。カマボコ培土器もデガーもちゃんと持ってるもんね。ラッキー。とはいえ、です。カマボコ培土器はまだ使ったことがありません。イモの本培土はまだ少し先だから。ってわけで、イモより先にアスパラでカマボコ培土をすることになりました。あららら。
さて。培土です。しかし! もちろんのこと、初めて使うカマボコ培土。うまくいかない。一回試しても、ちゃんと土が盛ってくれないのです。しかも、またもや畝が曲がる。仕方なく、やり直してみると、一回トラクターが踏んだ土の部分は締まっているので、なおさら土がカマボコ状に寄り集まってこないのです。ああああああ。あ、そうだ! イモの作業の時は必ずお隣の月光仮面農家さんが現れて助けてくれるんだ! そうだ、そうだ。いいこと思い出した! さあ、月光さんよ、いまこそ現れる時だ! この哀れな迷える人任せ百姓を助けるのじゃあああああああ。
が。しかし。待てど暮らせど、月光仮面が現れる気配はまったくありません。な、な、な、なぜじゃ。わざとトラクターのエンジンを吹かして大きな音を出したりしてみます。が。しかし。まったく何の気配もありません。ああああああ。そうかああああああ。これはアスパラの作業で、イモの作業じゃないからだあああ。きっと月光仮面はイモ作業のヘルプだけに来てくれるんだあああ。ってことは自分でやらなくっちゃ。
人任せ、人頼みがモットーの私もここにいたって、自分でやるはめに。ああ。やりましたよ、とにかく。見よう見まねで。なんとなく。それなりに。でも…。許せ、アスパラくん。君たちに来年はないかもしれない。生き残りたければ、へたくそ新米百姓の稚拙な技術を乗り越えて、自力で頑張るんじゃ。そうだ! 人任せ、人頼みにするな! 自力で頑張れ! アスパラよ。わっはっは。
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