美瑛で百姓になる!

05年3月。京都から美瑛に移住。独立農家めざし、農業修行を始める。夢は膨らむが…

百姓になるための法手続

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加盟加盟

 めでたく百姓になることができたら、あとは自分の畑、田で作物を栽培するのみです。経営者であり、社長であるわけです。自分の才覚で勝負っす。

 が、しかし。ほかの個人商店、零細企業と違って農業は、集落や各種団体とのつながりが比べものにならないほど強いのです。水田ならば集落全体で用水路一本を共同使用したりするわけなので、ヨコのつながりは否応なしについてくるのです。いわゆる「農村社会」ってやつです。

 で。ホカホカの百姓の僕も、さっそく各種会合に加わっているのです。地区の農業者でつくる組織はすでに何回か出席しています。そして、先週末は美瑛町農協と美瑛町農民連盟ってのにも加入しました。

 農協はみなさんご存じ。この加入方法は、取引契約にサイン押印し、株式会社の株に相当する出資金を支払えばOKです。農地を所有していれば正組合員、非農家でも一定の出資金を払えば準組合員になることができます。ちなみに出資金は一戸ごとに決められた額と畑の面積割りの2種類があり、僕の場合は合計約70万円。おおお。痛い出費ですな、この金の必要な時期に。農協と農家の関係については、書いても書ききれないほどの論点があります。で、おいおい書いていこうと思いますが、とりあえず一番ホットな話題は独禁法との絡みですな。公取委は農協の独禁法違反事例に本気で取り組む姿勢を見せています。これは僕も相当の関心をもって今後の展開を注視したいと思います。

 農民連盟っていうのは、農家の納税事務関係を引き受けている団体です。たとえば、青色申告などもそう。昨今は農家も青色申告が奨励されており、青色申告をしたり、しようとする農家が集まって勉強会を開いたり、申請書記入方法についてアドバイスなどを行っています。僕なんか就農後数年間は税金を払うほどの利益は出ないだろうから、当面は必要ないのですが、まあ、簿記も青申もまったく素人なので勉強のため入ってみました。めざせ納税! うう、情けない…。

 もちろん、これらは基本的に加入は任意です。どこの組織にも属していない農家も知っています。正直なところ、せっかく脱サラして組織から自由になれたのに、またぞろ新しい組織に属するというのは、いかがなものかとの思いもあります。ただ、何にも属さず、一人でやるというのは相当の覚悟と決意と努力と信念が必要です。だから、そのような農家さんには頭が下がる思いですし、深い敬意を表します。こっちはいかんせん力不足、一人では何もできないということは、この2年の研修生活でよく分かりました。相互扶助という農村ならではの精神もありますしね。このバランスが難しいですな。

 あの。なんていいますか。たぶんなんですが。どうやら百姓になっちゃったらしいっす。それも今日じゃなく、だいぶ前に…。

 2年間の農業研修に励んできたのも、百姓になるためです。ここでいう百姓とは、農地を所有または賃貸するいうことです。農地は百姓じゃなければ持てないし、百姓じゃなければ農地は持てない。あ、同じことか。とにかく、百姓しか農地は持てないのです。だから、「農地を持つ」=「百姓」。農地を持つために、2年間の研修に耐えてきたのです。

 当然、百姓になるのがゴール! もちろん、百姓になってからこそが本番ですが、とりあえず脱サラして研修してた身としては、百姓になることが当面のゴールでした。そのゴールの日はどんなにか晴れやかな気分になることだろう、と泣きながら研修してた2年間はずっと思ってきました。ああ、それなのに、それなのに…。

 美瑛町では研修終了後にいきなり農地を購入することはできません。まず2、3年は賃貸からです。で、賃貸できるかどうかは、町農業委員会で審議されます。まさに僕が畑を借りられるかどうかの案件は、今年1月25日の農業委員会で審議されたのでした。これまでは、農業委員会に付託されてから1カ月ほど審査する期間があるので、お気楽研修生は「あと1カ月だ」とノー天気に構えていたのでした。が、しかし。実はありがたいことに、同日の同委で決定されていたのです。おおおおおおお! そのことを知ったのが2月上旬だったのです。ってことは、もう百姓って大喜びしたんですが、「その決定を公告して、異議申し立てを受け付けなければ確定しない」とのこと。「なーんだ、ぬか喜びかよ」と憤ったものの、そもそも同委の決定すら知らなかったのですから、強気な態度には出られません。

 で。しばらく大人しくしてたんです。んで、しばらく大人しくしてたら、そのままこの件を忘れちゃってたんで・す・よ。あ、そー。んでもって、「もう3月だな」って思ってたら突然思い出して、どうなったかいそいそと聞きに行ったら、「もう通ってるよ。おめでとう」。がびーん。お、お、お、おれの記念すべき日はどうなった?

 聞いたけど忘れちゃいましたが、公告の期間なんて長くありません。異議申し立てが出たなんて話は聞いたためしがありません。そう。普通に考えれば、1月25日の決定事項が確定するのに、1カ月以上もかかるわけがありませんな。ああ。そういえば、2週間ほど前に「印鑑持ってきてください」って言われて、出かけた記憶があります。なんだか分からないまま、印鑑を手渡して書類にポンポン押してもらいましたなあ。「それが決定の手続きだったんじゃない?」。おおおおお! いまになって言われてもっ!

 まあ。百姓になるって言っても、「あなたを百姓と認める」って賞状が出るわけでもなく、手続きとしては賃貸借契約を締結するだけですからね。こんなもんでしょう。

 というわけで。堂々とはいきませんが、隅っこで小さくなりながら遠慮しつつ「百姓宣言」をしたいと思います。正式決定の日は分かりませんが、まあ、とりあえず3月1日を宣言の日としておきます。こんなんが、この2年間失敗ばっかりやらかしてきたお気楽ノー天気ボンクラ研修生には似合ってるってもんです。

どきどき調印式

農地の賃貸について審査してもらう農業委員会総会まで、あと2週間となりました。ここで認めてもらえれば、一応は百姓として独立です。いやいや、なかなかドキドキですな。

本日は、それに先立ちまして、畑の地権者さんとの間で賃貸契約の条件などについて双方の押印を行いました。この書類は、美瑛町農協が年末から作成してくれていたものです。書類が整ったので、晴れて印鑑持って出かけました。

と。応接室に入ってびっくり。地権者さんだけでなく、地区の代表者さんら幹部が勢揃い。おいおいおい。まったく聞いてないよ。こちとら、てっきり「一人でハンコ押してくればいいんだ。ランランランフンフンフン」くらいにしか思ってません。そうなら、そうと早く言ってくれよ。がぜん緊張、あわてて鼻歌をやめて、「あ、あ、あ、ああ明けましておめでとうございます。お世話になりもす、いや、なります」と90度のおじぎ。あー、びっくりした。

契約書のようなものに、住所氏名を書いて押印。農地の賃貸に関わることなので、美瑛町では当該地区の同意が必要となります。というわけで、地区の組合長さんらもサインと押印をしていただきました。ありがとうございます。これで、関係書類は揃ったことになります。あとは、25日の農業委員会で認めていただけるかどうか。なにとぞ、なにとぞ、よろしくお願いいたします。

調印後、みなさんに食事に誘われました。といっても、昼飯なんでラーメンとかうどんとか。地区の昔話や歴史を聞いたりして、実に楽しかったのです。当然、「何をつくる?」「いつからハウス建て始めるのか?」などと質問も受け、さらには「早いうちに地域の寄り合いに加入してくれ」と。そんな会話をしているうちに、だんだんと地域の一員として迎え入れてもらえる実感が高まってきました。と、ともに緊張感も増していくのです。うう、緊張するぜ。せっかく食った味噌野菜ラーメンの味も覚えていないくらい。ああ、もったいない。

訂正

前回、「百姓に認定された?」で書いた内容に、どうも事実誤認があったようです。認定農家にならないと、2・7ヘクタールまでしか借りられないという内容のことを書きましたが、貸し手が2・7ヘクタールまでしか貸すことができないようなのです。すみませんでした。まあ、農地法は戦前の「地主―小作」関係の解消を狙い、耕作者がその農地の所有者になるということを徹底したものです。これにより、搾取され続けてきた小作農の権利を飛躍的にアップさせたのです。であるからですねえ、一人の人が何十ヘクタールもの農地を他人に貸すと、それは戦前の大地主の再現となってしまうわけで、法的な制限を受けることになるのです。
まあ、農地法の立法趣旨はそのようなものなのです。で。敗戦後の日本においては、その趣旨は大きな意味がありました。しかし、現在ではどうでしょう。社会、制度がこれほど変化してます。その変化に対応できる法体系になっているのでしょうか。多くの法律は時代状況に合致するように改正されています。民法、刑法、商法…。いずれも多くの改正があります。まして、教育基本法ですら改正され、いまや憲法も改正すべきという論議がおきています。最後の二つの改正については、私は大反対ですが、いくら立法趣旨が立派であるとしても、社会変化に対応できない法律は改正すべきという議論は、あってしかるべきだと思います。
あ、話が思いっきりそれました。で、前回の記事の中で、「裏技」という表現を使いましたが、もちろん表現上のテクニックであり、文章レトリック、表現技法の一つにすぎません。当然のことながら、すべて法律に従って手続きを進めておりますので、誤解しないでちょうだいね。ね。

百姓に認定された?

昨日のことです。おせち料理の修行中に、携帯電話が鳴りました。懐かしい美瑛町からです。
「はいはい」。
「年内最大の懸案事項が片づきました」。
お、来たか! 相手は就農手続きなどでお世話になっている担当官です。
「で、どうでした?」。
「無事、認定されました」。
おおおおおお! でっかい山をクリアしました。ついに「認定農業者」になっちゃいました。

これも非常にややこしい話なんですが、おつきあい下さい。
新規就農者は農地を持ってはじめて百姓になります。これは前回までのお話。
で、私の場合、来年1月の美瑛町農業委員会で農地の賃貸借が審査されます。これに通れば、農地を持てて百姓になれる、はずです。しか〜し! でっかい壁が立ちはだかっていたのです。農地法では賃貸できる農地の広さは2・7ヘクタールまでとなっているのです。私が借りる予定の農地は5ヘクタール! 駄目じゃん! 理不尽な話なのです。苦労して2年間、農業研修しても、2・7ヘクタールまでしか借りられない。買い取ってしまうのならいいそうです。5ヘクタールお買いあげ! しか〜し、美瑛町は新規就農者の即時農地取得は認めていません。必ず、最初の2、3年は賃貸しなければならないのです。おおおおおお! どないせいっちゅうねん!!! 買い取っては駄目、賃貸にしなさい。賃貸なら2・7ヘクタールまで。おいおいおいおいおい! エエ加減にせいよ!

担当官に泣きつきました。「どうにかして」。で、出てきた手段は「認定農業者」っていう百姓になること。本来は大規模経営などを行う意欲的な農家を認定し、行政支援も行っていくという趣旨の制度だと思います。この認定農業者なら、2・7ヘクタールまでという賃貸の面積制限も関係ないのです。しかし、制度趣旨からしても、「もともとの農家の中から、さらに意欲のある農家を選ぶ」が本来の姿なんです。新規就農者予定者の、それもまだ農地すら持っていない馬の骨が取る資格では本来ないはずです。まさに、裏技ですな。でも、就農予定地は5ヘクタールで一画なんで、分割はできないのです。農地法よ、北海道農業の実態に合わせろ!

というわけで、認定申請を今月初めに美瑛町にしたのですが、認定されるかどうかは、かなりドキドキだったのです。それが、町の仕事納めの日に目出度く認定! いやあ、いい年ですなあ。今年はいい年だった。

で、認定農業者になったってことは、もう百姓になれたってコト? 「農地を持ってないからまだ農家ではありません」。!!??。やっぱり、この国の農業制度はどこかおかしいよおお。

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