にぎやかなるDon

某東南アジアの国から帰国し、日本のフィールドを走り回っています。

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 週末の日曜日、蝶仲間でギフチョウ保全のために里山の維持活動に参加してきました。 私が参加しているNPOでは人工的な放蝶や立札で採集禁止を訴えるのでなく、生息地環境を維持することによってギフチョウとヒメヒカゲの保護を行っています。

 希少種の保護とは自然のまま放置することと思われている方も多いとは思います。が、実は多くの蝶たちの最も好ましい生息環境とは、ほとんどの場合、一昔前の日本人の田舎での日常生活をしていたその周辺の環境こそがぴったりと当てはまります。 つまり、人間が生活のためにある程度手を加えた環境こそが、例外もあるでしょうが、多くの蝶達にとって最も好ましい環境なのです。
 先日NHKスペシャルで取り上げられ放送された幻の蝶:ブータンシボリアゲハも里山環境の蝶でした。

 ガスや石油がまだ普及していなかった頃、人々は燃料として家の近くの山に日常的に柴刈に入っていました(まさに、カチカチ山や桃太郎の冒頭の部分です)。 落ちている枯れ枝、手持ちの鉈などで刈れる程度の樹、落ち葉や笹などを燃料として日常的に集めたりと、人里近くの山林は常に持続的に利用できる範囲で人手が入っていたものでした。 
そうして形成されたのが『里山』と呼ばれる環境です。 ギフチョウの食草であるカンアオイ(先日までの大河ドラマで準主役を演じていた徳川家の家紋のモデルとなった植物)や秋の味覚のマツタケもそういった環境で繁殖地を増やしてきました。

 時代の移り変わりに伴って、仕方がないことですが、生活様式や職業も様変わりし、ド田舎に行けば耕作放棄地が目立つようになってきました。 当然燃料の切り替わりにより柴刈をしなくなったために、里山は原生林に戻りつつあり、前述のギフチョウの食草:カンアオイの減少にも拍車がかかってきました。 カンアオイの減少は、なにも開発行為だけが原因となっているわけではないのです。

 だからといって、自分たちは都会で便利な暮らしをしておいて、里山近くに住む人に、「頑張って昔ながらの暮らしを続けてください。」などと頼めるわけもありません。 なんとか希少種であるギフチョウやヒメヒカゲの生息環境を維持しようと、東播磨地域では蝶好き仲間が集まってNPOを立ち上げ、定期的に下草刈りや余分な木々を伐採し、何とか里山環境を維持しようとしています。

イメージ 1 ↑  Before

イメージ 2 ↑  After  ちょっとアングルがBeforeと違っていますが、ご容赦を。  伐採した木々は切り倒して放置するのでなく、一塊に積み重ねておきます。

 分かり難いでしょうが、草ぼうぼうだった伐採エリア周辺にはイメージ 3  キフチョウの食草であるヒメカンアオイがかなり生えています。 今回伐採した場所にも数年後広がってくれますように。


 余談ですが、今回伐採作業をしていると、山の踏み分け道をオレンジ色のそろいのジャンバーと帽子を被り、背中にライフル銃(ショットガンではありませんでした皆さんベテランです)を背負った一行が通っていきました。 こんなに町に近い里山にもイノシシが居るらしく、害獣駆除で山に入ってきたとのこと。 確かに、イノシシにしてみればかわいそうなことではありますが、奴等に畑を荒らされると農家としてもやっていけなくなります。 「難しい問題だねぇ」と他人事の話題としてメンバーと話していると、犬の鳴き声が聞こえ、ズドーン、ズドーンと銃声が…・・・いくらハンター達が、私たちが伐採をやっているのを知っていて、配慮してくれているのをわかっていても気持ちのいいものではありません。
ちょっと時間早めでしたが、撤収となりました。

 東播磨エリアに採集に来られる方々へ、
 一部の地域では、地権者の了解を得て、市に後援をしてもらい、ギフチョウとヒメヒカゲの保護活動をしています。 看板を揚げると、逆に生息域を教えることになり、巡回の隙を狙って密猟する人が過去ありましたので看板を揚げていませんが、うっかりそのエリアに採集で入ってこられた場合、地権者権限でご退去願いますのでご理解ください。

閉じる コメント(6)

こんばんは

人の生活環境の変化とともに
いろんな事情で生き物にも変化が生じてしまうんですね

なかなか大変な作業だと感じました
来年には嬉しい変化が見られるといいですね

ポチ

2011/12/9(金) 午前 0:09 シロ

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シロさんこんばんは

人の暮らしが生き物に与えている影響って少なくないんですよね。
昔から国内産のマツタケは希少品だったんですが、里山が少なくなってきてさらに希少性がたかまった......なんて書いたら、グルメなかたにはわかってもらえると思います。

帰りに乗り合わせたメンバーの中には、「ギフチョウもいいけど、マツタケ山の保全活動もどう?]なんてのもいましたから。
里山が人に与えてくれる恩恵は、決して少なくないと思います。

2011/12/9(金) 午後 4:58 [ Don ]

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私の住んでいる周りにはギフチョウはかなりの範囲生息しています。唯数は少なくなっているようです。30年ほど前大多産地だったところが、最近は全く姿を見かけません。原因はスギの植林でした。苗木がまだ小さいうちはよかったのですが大きくなるにつれ、日が差し込まなくなりカンアオイが姿を消しました。当然ギフチョウはいなくなりました。
[ Don ]さんたちの行こなっている方法が今では最善と私も思います。
もうひとつ、愛知万博の候補に挙がった海上(かいしょ)の森はギフチョウの多産地でした。反対派の人たちが貴重なギフチョウを守ろうと活動した結果、知らなかった人たちにもギフチョウの存在を知らせてしまったのでした。結果、捕虫網が多数訪れ激減の運命をたどりました。看板は立てない方が望ましいと思います。

2011/12/10(土) 午後 8:08 [ ヤママユガ ]

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ヤママユガさん、こんばんは
愛地球博の周辺となると、それほど都心部からのアクセスが悪くない場所なんですね。
環境さえよければ、ギフチョウは街の近くでも繁殖します。

採集者の気持ちはわからないでもありませんが、看板を立てているだけの場所ならいざ知らず、人が汗を流して保護活動をしているその場所での採集は、人間として、特に日本人としていかがなものかと思います。

2011/12/10(土) 午後 8:50 [ Don ]

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ギフチョウの生息環境は自然状況では益々悪化しているようですね。
マイフィールドも皆管理された森ばかりです。自然状況でも発生はしているようですが、確実に数多く出会え写真を撮れるのはそんな場所なので、少ないチャンスではどうしても冒険できません。

2013/2/28(木) 午後 8:41 [ h31377 ]

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h31377さん こんばんは
開発によるものより、生活の変化によって柴刈りをしなくなって、里山が荒れてしまったことのほうが、里山環境に悪影響を与えているように思えます。

オオウラギンヒョウモンにせよ、ほかの絶滅危惧種にせよ、数が減ってきている種類は似たような原因だと思います。
今更、かまどで調理をするわけにもいかず、私ができることは、せいぜい里山環境を整備することくらい...かなぁ。

2013/2/28(木) 午後 9:57 [ Don ]


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