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野村英夫に
誘うように ひとりぼっちの木の実は
雨に濡れて 一日 甘くにおっていた
ふかい茂みにかくされて たれさがって ……しかし
夜が来て 闇がそれを奪ってしまう
ほの暗い」皿数のすくない食卓で
少年は 母の耳に 母の心に それを告げる
──そして 梟が 夜のあけないうちに
あれを啄んでしまうだろう……と
……忘れられたまま 母は 大きな
うつろをのこして 青空に 吹かれている
痛みもなく 悔いもなく あらわに
そして病む日の熱い濃い空気に包まれ
幾たびそれは少年の夢にはかなしくおもえたか
──もし僕が意地のわるい梟であったなら!
立原道造「拾遺詩篇」より
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