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雑誌「Audio」1976年12月号のCASHBOX/NEWSに掲載された記事です。
前年のアルバム「メインコース」で復活を果たしたビー・ジーズですが日本ではコアなファン以外知る人は少なく、
あの「サタデー・ナイト・フィーバー」でいきなりサウンドが変化したと勘違いしてしまったのもむべなるかな。
そんなこんなで希望の夜明けが見えなかった若き私は(?)この記事にどれだけ励まされたものか。
うつろいやすいのは人の世。ましてやロックンロール・バンドなどかげろうのごときはかなさである。今もてはやされ、チヤホヤされても、次の瞬間には誰も見向きもしないなんて話はザラ。それだけ音楽という潮流は早く激しく流れているのかもしれない。なみのバンドだと波に乗せられただけのところを乗ったと誤解するのがオチとはなんと残酷ではないか。波乗りは大層気持のよいスポーツであるが、体力をショーモーすることなく長持ちするには波などやりすごして、プカリプカリと波間に漂い、浮かんでいるのがコツ(何の話だ?)。
ビー・ジーズの方はちっともはかなくない。もともと「英国旋風」の一翼をになって米国に上陸した彼ら、すなわちバリー、モーリス、ロビンのジプシー兄弟ではあったが、以来ぬかりなく世界中の聴衆の支持をとりつけ、したたかに泳ぎ切っているかんじ。10年前、ビー・ジーズはロック界の寵児であったが、この10年の間にサイクルは一巡し、彼らが再び寵児として迎えられそうな雰囲気になってきた。
ビー・ジーズはアルバム、シングルとりまぜて沢山ゴールド・ディスクを獲得している。だからエライといっているのではない。彼らがエライから、レコードがゴールドになるのだから。ヤヤこしいが、原因と結果をとりちがえてはこまる。ゴールドやプラチナ・レコードがたくさんあること、ポップでナンバー・ワンになったシングルがたくさんあること、発売と同時にコンサートの切符が売り切れること、これはみんなビー・ジーズのエラさである、なにがエラいか? というと、時代に遅れないでついてきたことがエラい。これがなかなかできない。ビー・ジーズはさらに上手をひき、時代の先頭に立ち、リードしさえする。
レコード界のリーダーともなるとめったに表面には現れない。だから久しぶりに姿をみせたりするともう大変。方々から歓喜の声があがる。ゴールド・ディスクばかり手元に集まるのもむべなるかな、なのだ。
【チルドレン・オブ・ザ・ワールド】
「ジャイブ・トーキン」「ナイツ・オン・ブロードウェイ」のヒットによってディスコの分野でも大した力量をみせたビー・ジーズが、この方面でさらに大きく一歩を踏み出した感じのする「チルドレン・オブ・ザ・ワールド」である。彼らのサウンドはきれいでやさしさでいっぱいだが、エネルギッシュでもある。ポップ、R&B、FM各局よりどりみどりのヒット・チューンがズラリと揃った。中でも「ユー・シュッド・ビー・ダンシン」「ユー・ステップ・インツー・マイ・ライフ」はダイナミック。制作、アレンジの見事さも特筆の価値がある。
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