中国法務・労務・知的財産・弁護士方暁暉・上海法律事務所

11年間日本で勉強と企業法務の仕事を通し、今上海で中国弁護士チームを組んで40数社日本企業をサポートしてまいります。

中国での債権回収

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

イメージ 1 イメージ 2

イメージ 2

中国の債権回収における時効制度
 中国の企業に対して未回収の債権がある場合、これを時効により消滅させないよう、中国の時効制度に留意しておく必要があります。

 1. 時効期間

 債権の種類により、時効期間が異なります。

 時効は権利が侵害されたと知った日、または知り得るべき日から起算します。なお、売買契約の場合、貨物代金の支払日の翌日が「権利が侵害されたと知った日、または知り得るべき日」とされ、時効を起算します。

 2. 時効期間満了の結果

 時効が満了した場合、債権者は勝訴の権利を失います。つまり、債務者に対して債務履行を求めても、裁判所または仲裁機関がこの請求を認めません。もっとも、時効期間満了以降であっても、債務者が自発的に債務を履行することは可能です。

3. 時効を中断させるテクニック

 法により、以下のいずれかの状況に該当したとき、時効が中断します。中断日から、時効を改めて計算することになります。

具体的に、以下の方法により、時効を中断させることが可能です

 (1) 債務者に履行に同意する書面を要求

 債務者が債務の履行に同意すれば、同意の承諾を受けた日から時効が中断します。実際にこの方法を利用して、債務者との間に債務履行に関する覚書を締結したり、債務者に債務履行計画書を提出させるなど、時候の中断を実現した実例は数多くあります。このとき、債権金額と承諾日などの記載を明確にしておくことが必要です。

 上記要求は、債務者の負担を加重しない、いわば合理的な要求といえるため、債務者がこの要求を拒否した場合には、債務不履行になる可能性が極めて高くなることを覚悟すべきでしょう。このような場合には、債務履行通知(以下の記述参照)を発行したり、訴訟を提起するなどして、別の対策を講じなければなりません。

 (2) 債務履行の要求通知を発送

 債務者に債務を履行するよう、要求するだけで時効を中断させることができます。しかしながら、この方法は自分の要求した事実を如何に証明するかが比較的難しく、注意が必要です。

 中国では、日本のような内容証明郵便制度がありません。したがって、郵便局を通じて債務者に履行通知を送付し、郵便局から履行通知が届いたとの受領済み証明(中国語は「回執」)を受けても、これだけでは債務者に要求したとの証拠にできないリスクが伴います。このリスクを回避するために、公証人により公正証書の発行を受ける方法が考えられます。現在、北京においてこのような公正証書を利用する場合、1部につき1000人民元の料金が発生します。その上、債務者がこのような公正を受けた郵便物を受領しないケースが実際には多く、やはりこの場合にも、債権者は郵便局から郵便物の受領済み証明を受領することができません。この点について、北京市では時効の中断に該当すると解釈されていますが、地方により異なる見解も見受けられます。

 (3) 訴訟を提起する

 時効期間の満了が目前に迫っても、債務者がなかなか返済しようとしない場合、訴訟を提起することも時効を中断させるための方法の一つです。また仮に、債権者が提起した訴訟を撤回しても時効の中断に影響はありません。実務において、裁判所に支払命令の発行を申請する方法も見受けられます。

 4. 時効満了後の救済

 時効満了を迎えてしまうと、通常債権回収をあきらめることになってしまうわけですが、以下のことが実現できれば、債権が復活し、時効を改めて計算することができます。

 債務者に請求通知書を発行し、債務者がこれにサインをすれば、債務に対する確認とみなされ、時効が債務者のサインした日から起算することができます。

 債務者と債務返済に関する覚書などの書類を締結します。これは当事者間の債務債権に対する修正であり、新たな債権が形成されとみなされ、時効を改めて計算することができます。

中国の債権回収における仲裁手続のプロセス

 実務では、仲裁を通じて債権回収を図るケースが少なくありません。中国での仲裁を行う場合、中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)を指定するケースが圧倒的に多いため、ここでは、CIETACにおける仲裁事件を一例に、そのプロセスをご説明したいと思います。

 1.仲裁の申立

 申立人又はその代理人は、仲裁申立書1式5部を作成しCIETACに提出します。仲裁申立書には、下記の内容を明記しなければなりません。

 (1) 申立人及び被申立人の名称及び住所。これには、郵便番号、電話、テレックス、ファクシミリ、電報番号、電子メール又はその他の電子通信方式が含まれる。

 (2) 仲裁申立の根拠となる仲裁合意。

 (3) 事件の内容及び紛争の要点。

 (4) 申立人の仲裁請求。

 (5) 仲裁請求の根拠となる事実及び理由。

 2.事件の受理

 CIETACは仲裁申立書を受領した後、仲裁申立人に仲裁費用の予納を請求します。申立ててを行ってから数日以内に、仲裁委員会から仲裁費用の予納の連絡が入ります。仲裁費用は、係争金額に応じて変動します。



 仲裁申立人が仲裁費用を予納した後、仲裁委員会が仲裁申立の手続が整っていると認めた場合、仲裁通知書及び仲裁委員会の仲裁規則、仲裁人名簿及び仲裁費用表が、各1部ずつ当事者双方に送付されます。実務上、費用予納から仲裁通知書を受けるには、数日ぐらいかかります。

3.仲裁人の選任

 申立人及び被申立人は、仲裁通知書が受領された日から15日以内にそれぞれ1名の仲裁人を選任します。CIETACの指定する仲裁人名簿から仲裁人を選ぶか、あるいはそれ以外の人を仲裁人として選任することも可能です。仲裁人名簿以外の人物を仲裁人として選任するには、CIETACの仲裁人としての資格を有するか否かの認定を受ける必要があり、実際はほとんどの場合で仲裁人名簿から選任されています。

 仲裁人の選任は、すなわちその後の仲裁判断に直結すると言っていいほど重要な意味を持ちますので、慎重に選任する必要があります。特に、法律上の規定が不明確で学者の意見が相違するような法的問題点を争う場合には、自分の主張を認める観点を持つ仲裁人を選任すれば、おのずと自分の主張が認められる可能性も高くなります。このため、仲裁を申立てる際に、あらかじめ時間をかけて紛争事件に対する仲裁人の意見を調査する作業が重要になってきます。

 首席仲裁人は申立人と被申立人が共同で選任することができますが、実際、両者の合意により選任されるケースはほとんどないため、CIETACが首席仲裁人を指定することが一般的です。

 4.仲裁廷の設置

 仲裁人が確定した後、CIETACは申立人および被申立人に仲裁廷構成通知を出します。特に仲裁廷構成日は重要で、この日から6ヶ月以内に仲裁廷は仲裁判断を下す必要があります。

 5.被申立人の答弁

 被申立人は、仲裁通知を受領した日から45日以内に、仲裁委員会秘書局又はその分会の秘書局に答弁書を提出しなければなりません。被申立人が申請し、仲裁廷が正当な理由があると認めたときは、答弁書提出期限を適当な期間延長することができます。実務ではよく被申立人がこの期間を過ぎて答弁書を提出するケースが見受けられます。このとき、それを受領するか否かについて仲裁廷がこれを決定する権限を有しますが、実際には仲裁廷が受領するケースがほとんどです。

 6.審理

 当事者双方が請求し、又は当事者双方の同意を得た後、仲裁廷も開廷審理をする必要がないと認めるときは、仲裁廷は書面のみによる審理を行うことができますが、通常は開廷して審理していくことになります。

 仲裁事件の第1回開廷審理の期日については、仲裁廷による決定を経た後、秘書局が開廷の20日前までに各当事者に通知します。当事者に正当な理由があるときは、開廷の延期を請求することができますが、開廷10日前までにそれを請求する書面を仲裁廷に提出しなければなりません。延期の可否については、仲裁廷が決定します。

7.仲裁判断書の作成

 仲裁廷は、仲裁廷が構成された日から6か月以内に仲裁判断書を作成しなければなりません。なお、仲裁廷の要求を受けて、仲裁委員会主任が確実に正当な理由及び必要性があると認めたときは、当該期間を延長することができます。

 仲裁判断書の作成日は、仲裁判断の法的効力の発生日となります。仲裁判断の効力は終局的であり、当事者双方に拘束力を有するため、いずれの当事者もこの紛争について裁判所に訴えを提起してはならず、またその他のいかなる機構に対しても仲裁判断を変更する旨の請求を提出することはできません。

 8.仲裁費用等の負担

 仲裁廷は仲裁判断書において、当事者が最終的に仲裁委員会に支払うべき仲裁費及びその他の費用について判断する権限を有しています。

 仲裁廷は事件の具体的状況に基づき、仲裁判断書において勝訴当事者が事件を処理するために支払った合理的な費用を、敗訴当事者が補償すべきものと判断する権限を有します。ここで留意すべきなのは、仲裁に必要な合理的な弁護士費用も敗訴当事者に負担させることができるという点です。これは、仲裁における非常に有利なメリットといえます。

 仲裁廷は、敗訴当事者により補償される勝訴当事者が事件を処理するために支払った費用が合理的なものであるか否かを判断するとき、事件の判断結果、複雑さの程度、勝訴当事者及び代理人の実際の作業量または事件の紛争金額などの要素を具体的に考慮します。

 9.仲裁判断の執行

 実務では敗訴当事者が仲裁判断に従わず、その義務を履行しないケースもよくあります。このような場合には、敗訴当事者の所在地の中級人民法院に仲裁判断の執行を申立てる必要があります。

中国の債権回収における紛争解決方法の選択
 1.紛争解決の方法

 紛争が発生した場合、当事者間で友好に協議した上で解決することがほとんどですが、いくら協議しても解決できない場合には、仲裁や訴訟を通してうまく解決に導くこともできます。

 2.日本の裁判所を避けるべき

 国内契約(当事者がいずれも国内企業)の場合、当然中国の裁判所が管轄裁判所となるため、日本の裁判所を管轄裁判所として指定することはできません。これに対して渉外契約(当事者の一方が外国企業)の場合には、契約当事者が海外の裁判所と中国の裁判所のいれずかを管轄裁判所に指定することが可能です。

 実務では中国における日系企業の場合、日本の裁判所を管轄裁判所と約定する渉外契約がよく見受けられます。しかしながら、これは実のところ日本企業にとってきわめて不利になる約定であるために注意が必要です。

 現在のところ、中国と日本の両国間に相手国裁判所の判決の執行を認める国際条約がないために、日本の判決を中国で執行することが実はできません。そのため、日本の判決を受けて負けてしまった場合、当然日本の法律にのっとり中国企業に賠償をしなければなりませんが、勝った場合においても、相手企業が日本に財産を保有する場合は別として、前述のとおり中国において日本の判決の執行は認められないために、日本での勝訴判決は中国国内においては何の意味も持たないただの紙切れにしかすぎません。以上のことから、訴訟による紛争解決を選択する場合には、中国の裁判所を選ぶことがベターです。

 3.地方保護主義への対策

 中国の裁判所を管轄裁判所として指定する場合、適切な裁判所を選ぶことで地方保護主義にある程度対応することが可能です。現在、契約当事者は?被告所在地、?契約履行地、?契約締結地、?原告所在地、?対象物所在地の中から裁判所を管轄裁判所として指定することができます(民事訴訟法25条)。これを利用して、地方主義の傾向の少ない司法が比較的公平と思われる地域、たとえば北京や上海などで契約を締結した上で、契約締結地の裁判所を管轄裁判所に指定することで、地方保護主義に対し一定の対抗策を講じることが可能です。

4.仲裁を選んだ場合の留意点

 当事者間で紛争解決を仲裁機関に委ねることも、紛争解決における手段の一つです。訴訟と仲裁、どちらもそれぞれメリット、デメリットがありますが、仲裁による解決がより望ましい思われる場合、事前に書面の仲裁合意を締結する必要があります。

 仲裁機関については、日本あるいは中国のどちらの仲裁機関でもよく、または第三国の香港、シンガポール、スウェーデンストックホルム商業会議所仲裁裁判所においても可能です。しかしながら実際の紛争においては、日本の当事者は日本での仲裁を、中国の当事者は中国での仲裁をといったふうに、自国の仲裁機関をお互いに主張し譲らないパターンがよくあります。このような場合には、まったく別の第三国の仲裁機関に要請するか、相互主義を採り、日本の当事者が仲裁を申立てた場合は中国の仲裁機関に、中国の当事者が仲裁を申立てた場合は日本の仲裁機関にするといった方法がよく見受けられます。

 どこの仲裁機関にするのか、契約の準拠法に従う場合も考えられます。つまり、日本法を準拠法にしている場合日本の仲裁機関で仲裁の申立てを行い、中国法を準拠法にする場合には中国で仲裁を行うというものです。

 中国法を準拠法として外国の仲裁機関で仲裁を行う場合、これらの仲裁機関の仲裁人が必ずしも中国法を熟知しているとは限らず、また関連経験が少ないため正当に紛争を解決できるのかという点についても疑問の余地が残るところです。また中国において外国の仲裁機関が下した仲裁判断を執行するためには、中国の裁判所にこれを申立てる必要があります。結果的に執行の側面から見た場合、中国の仲裁機関による仲裁判断が一番手間がかからないということになるでしょう。

 現在中国には180箇所以上の仲裁機関があり、そのうち中国国際経済貿易仲裁委員会(CIETAC)が渉外の仲裁を多く引き受けており、関連経験が豊富なうえ、その公平な仲裁判断も評価を集めていることから、最近はここに仲裁をゆだねるケースが増えてきています。

5.有効な仲裁合意を得るには

 仲裁で紛争を解決すると当事者間で合意があったにもかかわらず、仲裁合意が無効であったために訴訟により紛争を解決せざるを得なかったケースが実務でもよく見られます。

 有効な仲裁合意となるためには、その内容として仲裁請求の意思表示、仲裁事項及び選定する仲裁委員会が含まれていなければなりません(「仲裁法」第16条)。仲裁事項又は仲裁委員会に関する約定がなく、又はそれが不明確なときは、当事者が補充合意をしない限りその仲裁合意は無効となります(「仲裁法」第18条)。したがって、仲裁合意を締結する際には、仲裁請求の意思表示に加えて、仲裁事項及び仲裁委員会に関しても明確に定めるよう注意する必要があります。

 実際のケースでよくある無効とされた仲裁合意を、一部ですが以下に示してみました。仲裁合意を作成する場合には、以下のような不明確な内容が含まれていないか留意する必要があるでしょう。

 (1)「本船荷証券から生じる全ての紛争について、中国の法律に基づき中国の人民法院で審理し、又は中国で仲裁を行う」

 (2)「本契約に定めのない事項について、双方は友好的に協議して解決するものとする。解決できないときは、関係部門に付託し仲裁を行うものとする」

 (3)「本契約の執行過程において紛争が生じたときは、双方は協議して解決するものとする。協議できないときは、中国の法律に基づき中国の仲裁機関が仲裁を行うものとする」

 (4)「本契約の執行から生じ、又は本契約に関する全ての紛争について、双方は友好的な協議を通じて解決するものとする。協議できないときは、中国の仲裁機関で仲裁を行うことができ、また他の仲裁機関で仲裁を行うこともできる」

 (5)「契約から生じる紛争について、甲乙双方は協議して解決するものとする。協議できないときは、いずれの当事者も仲裁機関に調停若しくは仲裁を申立てることができ、又は法院に訴えを提起することができる」

 (6)「契約又は契約に関わる事項の履行から生じた紛争について、双方は協議して解決するものとし、協議して解決できないときは、中国の渉外契約の仲裁機関が判断する」

 (7)「本契約に関して、又は本契約の履行過程において発生した全ての紛争は、友好的な協議を通じて解決するものとする。解決できないときは、仲裁に付託するものとする。仲裁はWTO組織の中から売買双方が共同選択した中立国にて行うものとする」

 (8)「本契約に関し、又は本契約の履行過程において発生した全ての紛争は、友好的な協議を通じて解決するものとする。解決できないときは、上海市経済貿易仲裁委員会に提出し、その仲裁規則に従い仲裁を行うものとする」

 (9)「紛争が発生したときは、上海市の仲裁委員会で仲裁を行う」

全1ページ

[1]


.
中国上海弁護士方暁暉
中国上海弁護士方暁暉
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について

過去の記事一覧

1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

スマートフォンで見る

モバイル版Yahoo!ブログにアクセス!

スマートフォン版Yahoo!ブログにアクセス!

検索 検索

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
お米、お肉などの好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!
コンタクトレンズで遠近両用?
「2WEEKメニコンプレミオ遠近両用」
無料モニター募集中!
話題の新商品が今だけもらえる!
ジュレームアミノ シュープリーム
プレゼントキャンペーン
ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事