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晴れ渡る住宅街。立ち尽くしている達也、太陽を見て、
「うーむ」
野球場、出入り口付近の外観。甲子園予選を意味する立て看板。グラウンド、全景。
円陣を組んでいる明青ナイン。キャプテンの黒木、二言三言。明青ナインが走り出しながら、
ボクシングのゴングの音。
リング上にヘッドギアをつけた、達也と対戦相手。
(南の声)「ボクシングを見に行くわけじゃないんだもん」
外に雨空が覗く教室、南と達也の二人だけ。
南「タッちゃんの一生懸命な姿を見たいだけ」
達也、モップを液体の入ったバケツに突っ込み、
「それはおあいにく」
達也、モップをバケツから出しながら、
「さま」
南「どういうこと?」
スタンドで完成している南。
(達也の声)「その日は、全校の期待を背負った、明青野球部の甲子園予選一回戦」
打球音。
南「え?」
外野スタンドに吸い込まれる打球。喜ぶバッター。マウンド上の和也。南、和也を見ながら、
「カッちゃん…」
ボクシングの練習試合、達也の一撃で、相手倒れる。驚く明青の面々。
マウンドに集まる明青内野陣。
和也「あがっちゃったよ。ずっと夢に見てきた甲子園への第一歩だと思ったら、つい。すみません」
黒木「安心したぜ、天才投手」
和也「え?」
黒木「お前も俺たちと同じ高校生ってことさ。よし、ここからプレーボールだ。一点取られたことなど、
忘れてしまえ」
内野陣「おーっ!」
マウンドから散る、内野陣。
南(ごめんなさい、カッちゃん。大事な試合中によそ見なんかして)
回想の達也、モップを肩にかけて顔だけ振り向いて、
「和也をしっかり応援しろよ!」
南(ごめんね、タッちゃん)
セコンドに座って域を荒くしいてる達也。
(原田の声)「ま、初めてだからな」
原田「あまり無理するな。適当に負けて来い」
達也、立ち上がりながら、
「やなこった!」
達也、マウスピースを頬張る。達也、相手と打ち合い。
マウンド上の和也、首を振って投球。相手打者、空振り。
スコアボード、9回表に入る「0」。9回裏に「×」、入る。
(主審の声)「ストライク、バッターアウト! ゲームセット!」
両手を挙げて喜ぶ和也。明青ナイン、マウンドに集まり喜び合う。喜び合うスタンドの南と佐知子。
ボクシング部部室、達也でない試合の最中。タオルを顔に被せて横たわっている達也。
(原田の声)「野球部はどうなったかな?」
達也「和也だぜ。心配いらねぇよ」
達也と、達也を見下ろす原田。[1150sTouch005]
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