超速「タッチ」

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 走る南。
 明青学園後頭部の校門前、佇む原田。
 南、走りながら、
「原田くん」
 原田の前に辿りついた南、息を荒らしながら、
「タッちゃんは」
 言おうとする原田。
 原田と南、遠くから。

 窓が開いてカーテンがゆれている双子の子ども部屋。
 二段ベッドの上で背を向ける達也に、身を乗り出している南。
南「惜しかったね。原田くんが教えてくれた。精一杯戦ったって。だから褒めてやれって」
 達也、背を向けたまま、
「あのバカ!」
 達也、起き上がりながら、
「そんな真似されたら、余計惨めになるだろが!」
南「いいじゃない、練習試合」
達也「そうさ、ただの練習試合だったんだよ! それをおまえが…」
 南、感づいた顔で、
「ごめん…」
 尚も不満げな達也。怪訝な南。目を瞑る南。達也にキスする南。風鈴の音。カーテンが揺れ、風鈴も揺
れる窓際。

 野球部の練習風景。
(達也の声)「お前は平気で食えたのか?」
 保健室、体操着姿の南。
(達也の声)「なんでキスなんかしたんだよ」
南「タッちゃんだから」

 野球部の練習風景。
(南の声)「甲子園。今はそれだけを考えて」
 練習風景を眺める、南と達也。
南「カッちゃんを一生懸命応援する。ね」
達也「当たり前だろ」
 去る達也。野球部に戻る南。

 街頭の下でスポーツドリンクを二本持っている孝太郎。
(南の声)「キスしたこと?」
 別の街頭の下で達也と相対している南、
「忘れたいわけ?」
 照らされている達也。
(南の声)「大事な一生の思い出にはならないわけ?」
達也「違うよ。そのほうがお前の…」
南「ここでいいわ。どうもありがとう」
南、後ろ姿で、
「南は忘れないからね、一生」
 追おうとする達也。
(南の声)「好きな相手との、生まれて初めてのキスなんだもの」
 街灯の下の孝太郎。遠くで手を振っている南。残された達也。
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大塩高志
大塩高志
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