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 単行本の入手を避けて良かった。刊行の平成二十五年三月は『アインシュタイン・ジャーナル』を、
電機の情報からせっせと構想していた時期。確かブログの記事を読んで読みたい、読むべき一冊と、
考えていたはず。しかし文庫でも使ったアインシュタインとボーアの肖像を見て、私の企画と、
完全に被ると察したのですね。だから結果論にするため、収集に一区切りついた今年に買った次第。

 実際、二回読んだけど恐れた通りで、量子論の歴史は私が科学者の伝記から抽出した情報より、
詳細で緻密。芋づる式に過去に遡る個所も多々あるけど、必要であり理に叶っていると思えたし。で、
私も伝記の情報を付き合わせ分かった科学者相互の情報交換による「化学反応」が明確に描写され、
生きた人間による科学史になっていると嬉しくなり。

 もっとも私の企画は「科学者の黄金時代」の提示なので1933年で終える一方、「量子革命」は、
第二次世界大戦が終わり、表紙の二大巨頭が他界してからも続く。つまり量子もつれの問題で、
1927年と1930年、二度にわたってボーアへ量子論争を挑んで負けたアインシュタインの、
最後で最大のコペンハーゲン解釈批判。

 コペンハーゲン解釈とは単純に言えば不可知論で、「あちらを立てればこちらが立たず」が思想の、
物理の考え方というもの。しかしアインシュタインは1935年の(三者共著の)EPR論文で、
「あちら」も「こちら」も立てられる(測定できる)、(思考)実験を提案したのですよ。で、
アインシュタインとボーアが天国に行った後も量子力学の遺された宿題になったわけ。

 私も科学(者と発展)のために自信をもって推薦できて嬉しくなる。一人ひとりの科学者を武将と、
考えれば正に量子論争史は「血沸き肉踊る科学の戦国時代」と考えられ。だから英雄物語が好きなら、
登場人物に一喜一憂できる本書を絶対好きになるから。

[3973quantum.txt]

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大塩高志
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