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「やめるなら新体操のほうでしょ!」
「そ、それは困る! 君は今や、わが校だけでなく全国の期待を背負った新体操のスターなんだから」
場所は校長室、机を挟んで南が睨んでるのはこの部屋のあるじ。後に鬼とか鬼監督とか南も言う柏葉英二郎監督代行、校長先生が認可したはずだからまずは質そうと思い立った。もちろん反対は理由とともに想定できてたから、即座に反応した浅倉南。
「だったらせめて今までどおりに、校長先生からあのかわいくない監督代行におっしゃってください!」
今になって自分で思うけど無知は怖い。一方で校長先生に対しては最低限の敬意を表してる。後の展開を考えれば笑っちゃうくらいに。
「困ったなァ、やり方には一切口出ししないというのが、引き受けてもらう条件だったんだよ」
「そうなんですか?」
南は一瞬、尊敬しかけた。
「そんなにすごい人…」
「さあ…」
「さあって、校長先生が認可したのでしょう?」
「ああ、西尾監督の強い推薦でね」
そうなら少しは信頼してもいいと思うことにした。
「まあここはとりあえず、しばらく様子をみようじゃないか」
だから南もだ起用しようと思ったけど、続く台詞はこの浅倉南のまえでするもんじゃない。
「ちょうど新しい女子マネージャーも入ったことだし」
数秒、奇妙な間ができたっけ。
「ま、とにかく。彼のやりたいようにやらせてみよう。西尾監督が復帰すればまた状況もかわるだろうし。そのあいだきみが新体操に打ちこめるなら、けっして悪い状況ではないし」
癇にさわったのが、このときの校長先生の余裕の笑顔。だから南も余計な一言を言ってしまったのです。
「まさか、校長先生が仕向けたわけじゃないでしょうね」
南も相当に人間不信におちいってた。
「とんでもない!」
という反応にもにわかには信じることができなかった。そうは言ってもこれ以上の情報をとれないことは分かった。しょうがないからまたレオタードに着替え、先輩の役割を示したつもり。もっとも新体操に新体操に全力投球してなかったから、部長は他の人にやってもらってた。そして部活が終わった夕方、タッちゃんと孝太郎くんといつものように帰るつもりだった。 [3974touch.txt]
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