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 (新訳版で)一回読んだだけでは内容を整理し損なうから最後の場面が印象に残る。ネタばれは、
回避できるので堂々と書くと、主人公ケルヴィンが宇宙ステーションを離れ、ソラリスの海と、
(宇宙服ごしに)体験・対面する場面。解析は二回目以降になるけど、人間との意思疎通は失敗すると、
レムが徹底させた場面と考えられ。正に私がSFに求める「ロックとしてのSF」。

 しかし『エデン』や『砂漠の惑星』と違って「海」の被造物である主人公の(かつての)恋人、
ハリーが自意識を持ったため、「自分は本当に生きているのか?」という哲学も狙いに出来た。つまり、
似た挙動をする以上、ケルヴィンの記憶が作られたというハリーと、ケルヴィンら地球からの訪問者の、
違いが曖昧になるはず。つまり常識への疑いで、十分ロックな思考と思う。

 また一回読んで気になったのは、前日談を(レムは)教えても後日談の記述を避けたこと。そう、
前日談/本編/後日談という構成ならお話しとして完璧なので、帰還した地球での話を欠いたのは、
レムに理由があったからと憶測でき。一番簡単な解釈はソラリスの海をめぐる本当の終幕は、
読者一人ひとりに委ねた(い)という意味。

 ケルヴィンが宇宙ステーションを訪問するまでにソラリスの研究は往時の勢いと華やかさを失ったが、
本書の「ケルヴィンの報告」を読んだ(私たち)「あなたなら、規定通りの縮小か、粘って続けるか?」
読み手の判断自体が、「未知なる者・異なる者」への許容と興味の度合いになるので、作者レムからの、
挑戦状と理解できるのですね。


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大塩高志
大塩高志
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