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 主人公ケルヴィンが恐怖から、宇宙ステーションで出会った地球で死んだ筈のハリーを、ロケットで、
宇宙に捨てた筈なんだけど…。「死んだ本物」から数えてみたびケルヴィンは「ハリー」と対面。で、
三度目にしてケルヴィンは観念して自分はクリスとして、まがい物だろうが自分の思い出で作られた、
「ハリー」を愛そうと決めたのでした。しかし幽体Fとしては二回目のハリーは自我が発生。

 しかもケルヴィンが宇宙ステーションの到着前に死んだ宇宙飛行士のこえの録音テープをハリーが、
見つけたから話がややこしくなる。そう、幽体Fとしての「ハリー2」は自分が人間とは違うと気づき、
恋人クリスに問い詰めもし。まるで恋人同士の当たり前の痴話げんか、つまり相手からの想いが、
真実で確実かを確認する、遺伝子に組み込まれているであろう行動様式であり。

 しかも自分の存在がクリスには苦痛と理解するや、自殺を図る始末。愛ゆえの行動なので、
ハリー(2)が液体酸素を飲んだ場面は私も健気で痛々しいと思って。しかも(人間の)前回と違って、
死ぬ気満々の今回は生き返ってしまう。対比の作劇として適格と思うとともに、ハリーの絶望も、
描写されて悲劇としても凄い箇所。しかも採血した血でクリスはハリーが人と違うと実証を。

 しかも他の宇宙飛行士の一人が幽体Fを抹消する技術開発中ると知り、ハリーの存在が危機に。そう、
物語の骨格が『ロメオとジュリエット』といった悲恋と殆ど同じになり、読者が感動できる要素。で、
『エデン』や『砂漠の惑星』よりとっつき易いと今さら思うのですね。

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大塩高志
大塩高志
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