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「大東亜戦争」後に生まれた作家が九回特攻隊員として出撃した戦闘機乗りに信頼されて成立した、
貴重な証言集。しかし見事なのは著者・鴻上の物語り方。真面目で誠実ではあるけれど冷静であり、
自分の見方を表明する箇所も押しつけは避けてる。多分、羅列した事実の徹底した分析・解釈こそが、
本書の主張に合致すると鴻上は考えたと憶測でき。
鴻上尚史の本書での主張は「精神主義を否定しよう」です。実は私は『巨人の星』や『タッチ』に、
「頑張れば何とかなる」という精神(万能)主義があると理解してて。しかし大衆が慰めとして、
「やればできる」というファンタジーを所望するのは理解し。でも作戦や経営はファンタジーを排し、
正確な情報による冷静な分析が必要であり。しかし先の大戦、日本の指導者はファンタジーに逃避。
私自身は精神主義の全面否定を避けるのは、確かに一時の祭り(=躁状態)ならガンバリズムも、
肯定できそうと理屈で気づいたから。しかし鴻上は「祭り」辞退を創造するプロの作家・演出家。で、
軍も「血祭り」という本来は非日常が組織の業務。つまり両方とも組織の運営には祭りの喧噪を、
制御する必要がある分野。鴻上がプロでい続ける事実に、精神主義を否定できてると憶測。
しかし演出家の市場が人気と作品の評価、演出の仕方などで計られる自由市場の一方、軍は、
「殺人が可能(義務になる場面がある)」という特質から「上意下達」が組織の絶対条件。だから、
出世するほど自分を律するべきだったが、当時の日本軍は兵隊の従順さと軍の特質に甘え、
「命令する側」として(組織運営の意味で)最悪の指揮を執り続けたと私も理解。
[4124fujimi no tokkouhei.txt]
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