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十二月十八日
ブリストル
 月曜日の遅い時間になってブリストルに戻ったフローは、鉄道の駅でベティーに出迎えられた。ベティーは「素晴らしい大冒険」の話に耳を傾けて夜更けまで起きていたが、チャールズの姿はなかった。
「量子の海 ディラックの深淵」

一九三三年のノーベル賞の総括
 今日からすれば判断はきまぐれに見える。おそらくハイゼンベルクとシュレーディンガーを単独で一九三二年と一九三三年に与え、ディラックは一年後にまた単独で与えたほうがより公平であったろう。だがどうでもいい。今日では一九三三年一二月、ストックホルムで栄誉を受けた三人の物理学者が、受賞者の地位にふさわしいことを疑う者はいない。ディラック、ハイゼンベルク、シュレ―ディンガーは、ノーベル賞受賞者という裏ばれたグループのメンバーなのだ。
「量子の海 ディラックの深淵」


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 (ディラックは)知っている人だけと過ごせてほっとしたことだろう。遊び心のない「人間の影」と見なしていたケンブリッジの者は、ボーアの暖かい庇護の元で寛ぎ、噴水の水を茶目っ気たっぷりに母親とマルガレーテに浴びせ声を立てて笑い、文句を言う様子を見たならさぞかし驚いたことだろう。
「量子の海、ディラックの深淵」より

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一二月一六日
シュタルク、ラウエ
 シュタルクはラウエを、一九二三年にネルンストによって任命された帝国物理学・工学研究所顧問を解雇した。
「マックス・プランクの生涯」より

暮近く
フリッシュ、ブラケット、ボーア
 暮近のにロンドンでブラッケットの藻とでの仕事が終わったところで、神様(ボーアのこと)からの招待が来た。
 旅行がむずかしくなり始めたドイツで、ひかえ目に科学者の脱出の道を作った。非常に気をつけながらフランク、プラチェック、ヘヴェシイなどをコペンハーゲンに招いた。
 ドイツでは木枯らしが荒れ、国内旅行もむずかしくなった。繁栄を伝える報告が来たが、だまされなかった。一九三三年にハラルド、血清研究所長トルヴァル・ド・マドセン、高等裁判所弁護士アルバート・V・ヨルゲンセンとともに亡命知識人の後援のためのデンマーク委員会を作った。そして世界中の友人にナチスの恐怖から逃れた人たちのため、職探しを依頼する手紙を書き始めた。
『ニールス・ボーア 世界を変えた科学者』より



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一二月一四日
パッシェン、プランク、ラウエ
 パッシェンは、自分の最高権力者としての能力を攻撃されて気落ちしていた。プランクはヒトラーと会見したので、命令を平然と無視すればどうなるかわかっていた。しかしラウエは許可すればアカデミーは国内では取るに足らなくなり、国外でも物笑いの種となり、ドイツ物理学を締め付ける力をさらに強化するのを理解していたので、勢力を結集して、棚上げに成功した。一二月一四日のこと。
「マックス・プランクの生涯」より



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一九〇〇年一二月一四日
 一九〇〇年一二月一四日、ベルリンの物理学会に自分の考えを報告した。“かいつまんで言いますと、自分の行為全体を懐疑の一幕と呼ぶことができます。元来私は争いごとを好まないたちであり、あぶなっかしい冒険には反感を持っていますから……。しかし犠牲を払っても物理的な法則を見つけなくてはなりません。(中略)熱力学の二つの基本法則は、守られるべき唯一の法則のように思われました”。
 世に広まっている説とは逆に、量子飛躍を物理学に導入した意味について、世紀の変り目は自覚していなかった。連続の原理を打ち破ったとは思っていなかったのなら、どうして「懐疑の一幕」とか「物理学上の確信に対する懐疑」とか言ったのだろうか? 意識的に払った犠牲とは、自分の好きな熱力学第二法則の純公理論的理解を捨てて、原子論的解釈を受け入れたことだった。

 原子論の解釈は薄気味悪いものであった。一八七九年に博士号をとったときも、“絶対的に分割できない物質の構成要素というものを受け入れることはエネルギー保存の原理に反する”、と命題の形で定式化していた。しかもボルツマンの第二法則の原子論的解釈に対して、助手のツェルメロが反論したのは、数年前のことであった。まさに黒体輻射を導くためには一九〇〇年一一月、嫌悪し敵対していた「ボルツマンの方法」を利用しなければならなかった事実こそ、「懐疑の一幕」が係わっていた。なりゆきとして ε という物理量を導入したが、付加的なものにすぎなかった。当時の講義の聴講者や英国の同僚ロバート・ウィリアムズ・ウッドへの手紙から結論できる。ε=h・νについて、“純粋に形式的な仮定であって、よく考えた訳ではなく、どんな場合にも、どんな犠牲を払っても、積極的な結果を導かなくてはならない、と考えただけなのです”。

 もともと ε は計算のあとで零にできると考えていた。ところが予想に反してε=h・νが生まれた。νは対応するヘルツ発振器の振動数である。したかってε=0 とするには、定数 h を零とする以外可能性はない。何年か後もレーリー、サー・ジェームズ・ジーンズとローレンツによって採用された。以上の方法で古典物理学の概念で演繹が行われた。しかし論理的に満足できる解決法も、三人が甘んじようとした間違った輻射公式を導くという結果に終わった。
 プランクはそうではなかった。定数 h には実質的な意味が備わっていると確信していた。一八九九年五月、光速度 c に加えて、自然な単位系の基本要素として導入することを考えていた。張りつめた努力にもかかわらず、方程式を理解することはできなかった。やっと約三〇年後の一九二七年に、ヴェルナー・ハイゼンベルグが「不確定性原理」によって理解することに成功したのである。

 それでも第二の定数の解釈には成功を収めている。一九〇二年半ばに k が温度の定義に入ってくると気づいた。だから最初に考えていたような基本的な意味はない。にもかかわらず原子論の承認の際に、重要な役割を果したのである。
「ボルツマン定数」と呼ばれている定数 k もプランクによって発見されたが、控え目な態度が原因で非常に遅れて気づいたのである。ゾンマーフェルトの言うように、「原子論の問題については(世紀の変り目以後ずっと!)ボルツマンの学生のように思って、自分の功績は黙して語らなかった心の広さの象徴にもなっています」。
『プランクの生涯』より

 空洞放射についての妥協的な公式とボルツマンの手続きによる運用を調停するため、いまからみれば革命的な二つの仮説を要求。第一に共鳴子の様々なエネルギー分布の確立を、気体分子にかんするボルツマンの確率計算とは異なる仕方で計算。第二にある一定の振動数νをもつすべての共鳴子間に分配されている総エネルギーを、νに比例する単位eνに分割し、有名な公式、eν=hνを得た。第一の仮説は古典的な分子とも共鳴子とも異なる「光子」と呼ばれる実在の記述だし、次の仮説は共鳴子は集合的ではなく個別的と修正せねばならなくなる。つまり(当時の)理論物理学の最後の重大な発見である(連続量としての)エネルギー概念と矛盾。(22ページ)

 放射公式には普遍定数二つあり、もう一つは力学的なエネルギー単位を温度の単位に関連づける「ボルツマン定数」、k。(23ページ)

 定数kのほうはアトミスティクスで基本的な役割を担っていた。通常の分子運動論では積LkTが基準量の理想気体の圧力に関連づけられていたが、一九〇〇年の段階ではアヴォガドロ数であるL(ロシュミット数ともいうから)は一〇倍以上の測定の違いがあった。しかしLの値が精確になることで、分子の絶対質量をふくむ分子運動論の他の多くの基本料の数値が決定されると、放射平衡で成功した処理法は、原子にかんする最も重要な情報を提供することに。さらに電気分解に関する一連の測定から、L個のイオンの電気を中性化するのに必要な総電荷Qの値は知られていた。したがってイオン一個の電荷の計算ができ、しかもJ・J・トムソンの当時の最新理論とも一致し、陰極線粒子によって運ばれる電荷eと大きさが等しくなるはずだった。つまり放射理論で再発見された定数kが、電気力学と原子仮説を結びつけた。(24ページ)

 さらに数値の算定と理論の分析で、エネルギー概念と熱力学の第二法則は独立するものでないとわかってきた。両者の基礎は確率論であり、確率論は基本粒子の存在を前提。(25ページ)
「マックス・プランクの生涯」より

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