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憲法を暮らしの中に活かす十勝ネットワーク準備会幹事長 琵琶玲玖

 私が敗戦を迎えたのは、旧制彦根中学(現彦根東高校の前身)の4年生(現在の高校1年生)、満16歳の誕生日8月5日から10日目のことでした。

 私たちは中学生とは名ばかり!3年生の新学期からは、彦根城の地先の松原内湖を干拓して水田にするという干拓作業に狩り出されていました。学校に登校したのは大雨か大雪の20日間もあったでしょうか。

 

 連日目もくらむ空腹を抱えながら、ある時は首まで泥水に浸かり、ある時は鶴嘴をふるって山肌に挑みました。隣の作業現場では、米原の捕虜収容所の、アメリカ兵、オーストラリア兵も働かされていました。

 4年生になると、朝テニアン島を飛び立ったB29が、ほぼ11時半には琵琶湖上空にやってきました。機影は見えず、3機編隊の飛行機雲を引きながら、地上を圧するよう爆音を響かせ、琵琶湖上空で向きを変え、金沢方面や大阪方面に向かいます。間もなく大阪方面からはズシン、ズシンとの地響きが彦根まで伝わり、夜は大阪方面は真っ赤に燃え上がっていました。

 

 そのうちに、広島長崎に特殊爆弾が落とされたと言う噂が伝わってきますが、それが地上で地獄絵をもたらしていたことを知ったのは、敗戦後かなりたって、広島中学の多分ただ一人の生き残りではと思われる中村悦雄さん(元帯広柏葉高校定時制教諭)にお会いしたり、今年亡くなられた長崎の被爆者、谷口稜嘩(すみてる)さんを、帯広の農協連ビルにお迎えしてからです。

 敗戦の迫っていた7月に入ると、小型戦闘機のグラマンが地上すれすれに飛ぶようになり、夕方ただ一人で琵琶湖岸の道路を帰宅中、突然目の前に現れアメリカの飛行士とピッタリ目が合い、慌てて自転車を飛び下り、道路側端に伏せた時、バリバリと機銃掃射が通り抜け危うく九死に一生を得たこともありました。

 

 同じころ7月15日に帯広空襲があり、十勝農学校の3年生の高橋昭典さんと言う方が直撃弾で即死していたことや、同じ年の2月には安土城下の入江内湖に同学年の勝農生が干拓作業に動員されてきていたことなどを知るのは帯広農業高校に赴任してきてからです。

 

 それでも私たちは戦争に負けるとは夢にも思いませんでした。

 敗戦の前日、8月14日、作業終了後山陰に集められ校長先生から訓辞がありました。

 「連日、敵機がやってきているが、心配いらない。日本は必ず勝つ。いざとなれば神風が吹く。明日から4日間のお盆休暇を与える。安心してお墓詣りをしてくるように」と。

 その翌日、敗戦を告げられます。

 

 9月に学校が再開されますが、価値観の転換に戸惑い、9月半ばより登校拒否に陥り、二階に閉じこもり、何故日本は戦争を始めたのかと16歳の頭でひたすら考えました。

 得た答えは二つです。

 農村の貧しさを防ぐためと言う理由で植民地を求めたことと、神と崇められていた天皇独裁であったことと言うのが私の結論でした。

 そして、1年落第して、2度目の中学4年生の11月3日、日本国憲法が公布されます。

 私たちは、世の中に「民主主義」と言う考え方があることに驚き、むさぼるように勉強しました。

 

しかし、新憲法が準備されるのと並行して、その動きを「壊そう」と言う動きも進んでゆきました。勢い、この71年間は、「憲法を護る」ために多くの力を注がざるを得ませんでした。

 今度の選挙で、日本国民は、本来の「憲法を暮らしに活かす」という原点に立ったと言う気がしています。

 

「市民の風とかち」の運動は、まさにその先陣を切ったものと評価できると思います。

 

2017(平成29)年11月3日p..8記す。

 

 


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