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> 「球団も実は国鉄本体ではなく弘済会がオーナーと言うか出資者なんだ。」
> 清はすっかり面食らってしまいました。
> まさか売店事業している組織が球団を持っていたことがかなり驚きだったようです。

清たちの仕事は、朝来て夕方は休みと言った仕事ではなく24時間それこそ休みなく続けられる仕事であり、特に夜間になると貨物列車の本数も自ずと増えるのでした。

清たちは何組かの班に分けられており、特に若手を中心に車掌車の清掃を行うことになっていました。
番長と呼ばれるもので、主な仕事は車掌車の掃除でした。

今日は、本来であれば清の一つ上の先輩がするのですが、体調を崩したとかで急きょ代わりに清が呼び出されたのでした。

月給制ではなく日雇いの雇員である清にしてみれば少しでも仕事が多くあることは嬉しいのでした。

さて、手すきの時間を使って番長は、車掌車を清掃していきます。
そんなに沢山あるわけではなく指定された1両を綺麗にすれば良いので、時間はさほどかかりません。

小さな車掌室です、隅から隅まで掃いても30分もかかれば終わってしまいます。
何時かは、僕も車掌車に乗って・・・そんなことを思いながらそっと椅子を引き出して座ってみました。

目を閉じて自分が車掌になったような気分になってみるのでした、汽笛が聞こえ、ガタンと言うショックとともに最後尾の車掌が動き出す。

ふと目をやるとだるまストーブが目に入りました。
そうか、「貨物だからスチームがないのか。」

当然のことですが。貨物にはスチーム管の引き通しなどは無くて冬場はストーブだけが頼りでした。
途中で石炭が無くなって震えたことなど・・・昔、車掌である中学の先輩に聞いたことなどを思い出していました。

そんな時、やけに机が汚れているので、すごく気になりました。
そこで、清は、先ほど箒で掃いたただ車内を改めて掃除してみることにしました。バケツと雑巾を近くの詰所から持ち出して、洗面所からは、油落としの洗浄剤を少し失敬してきたのでした。

机を触ると煤が長年の間にこびり付いたのか多少ざらざらしています。
そこで、先ほど洗面所から失敬してきた洗剤を机の上にかけて、磨いてみたら・・・磨いたところは綺麗に光っています。
それに気をよくした清は同じように机周りや果ては天井の照明まで・・・あらゆる目に着くところを拭いてみたのでした。

今までになく綺麗になった車掌車を見て、ひとり悦に入った清でした。

へへ、なんだか綺麗なると嬉しいものだなあ。
思わずほくそ笑む清でした。

あまり、清が帰ってくるのが遅いので、気になった先輩が車掌車の外で声を掛けます。
「清・・・起きているか。」

先輩の声が聞こえてきます。

 「はい、掃除終わりましたから。・・・」
といって慌てて飛び出してくる清

先輩にチョコンと頭を下げると、怒られると思ったのでしょうか。
 「すみません。遅くなって・・・」と言いって小走りに走って持ち場に戻るのでした。

ふふん、さては清の奴ここで寝ていたなぁ…多少意地悪な気持ちで車掌車を覗いてみて改めてびっくり。

綺麗に掃除してあるではないですか、そして机はこれまた綺麗に輝いています。

清が・・・・。
にわかに信じられませんでしたが、
しばらくは、見ていた先輩ですが、いつまでも残っていても仕方がないので、先輩の職員も清の後を追うように帰っていきました。
実は清が掃除しているの間、その様子を一部始終見ていた人がいたのですが、それは、次回のお話といたししましょう。

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