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> 実は清が掃除している間、その様子を一部始終見ていた人がいたのですが、それは、次回のお話といたししましょう。

さて、この様子を見ていたのは誰だったのでしょうか。
それは、清らの班の当直助役でした。
車掌室で掃除している姿を見掛け近づいたところ、一心不乱に室内の箒掛けだけにとどまらず、窓枠を拭く、窓ガラスを磨くといった様子が少し離れた建物の影から良く見えるのでした。

「佐藤君は頑張っているなぁ。」

みんなが、佐藤君のように相手のことを思って仕事をしてくれれば良いのだが・・・。
働いたら損と思う風潮があるからなぁ・・・

助役は一人呟くのでした。

そんなことはお構いなしに、清は忙しそうに車内を動き回っているようです。
時々ガラス窓から見える清の姿に、彼のような青年が一人でも二人でも増えてくれれば、国鉄の未来も明るいのだが・・・。

昭和30年代、そろそろ他の交通機関との競争も出てきて、国鉄の上層部を中心に国鉄の生産性を上げようと言う声が聞こえてきたのでした。

しかし、そんな声は、現場ではまだまだ届くことは有りませんでした。
取りあえず運べばよい、取りあえず・・・現場で働く中では皆が同じ気持ちでした。

より気持ちよく、仕事をしてもらう。

そんな発想などありませんでした。というか、心に余裕がなかったと言うことでしょう。
そんな折に、見かけた清の姿にいたく感動してしまったのでした。

「佐藤君は、自分のことのように車両を綺麗にしているなぁ。」

一人呟く助役でした。

そんな助役は、清に昇職のための試験を受けるように勧めてみようと思うのでした。

続く
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