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> 「佐藤君は、自分のことのように車両を綺麗にしているなぁ。」
> 一人呟く助役でした。
> そんな助役は、清に昇職のための試験を受けるように勧めてみようと思うのでした。

早速助役は、佐藤君の次の勤務を調べるのでした、彼が詰所に入って来たのを見かけると、助役は彼に声を掛けるのでした。

「佐藤君、少しだけ時間あるかな。」

 佐藤君、気の毒に「ちょっと驚いた顔をしています。」

何も怒られるようなことはした覚えはないが・・・、もしかしたら前回の番長で掃除した時さっさと戻らなかったからそのことで怒られるのだろうか・・・。
きっとそうだ、馘首(くび)なんて言われたら嫌だなぁ・・・・

恐る恐る助役の前に出ていく佐藤君、借りてきた猫のように小さくなっています。

佐藤君の姿を認めると、助役は、ニコッと笑ったかと思うと、小さな部屋に一緒行こうかと言います。

いよいよもって怒られるのではないかと覚悟した佐藤君でした。

助役について部屋に入った佐藤君、何も言えず小刻みに体が震えています。

それを見て助役が、「体調が悪いのですか?」

丁寧に話すのですが、それが余計に佐藤君には嵐の前の静けさのように感じられるのでした。

そこで意を決し、

「助役、先日の番長の日は遅くなってすみませんでした、馘首だけは勘弁してください・・・」

と一気に言ったのですが、それを見て助役は(・_・)・・・

 「おいおい、佐藤君何を言っているんだい、確かに先日の清掃当番の日のことだが、」

そこまで言ったとき遮るように、佐藤君が言います。

「自分も車掌になって仕事が出来れば良いなぁと思って・・・ついつい、本当にごめんなさい。ですから、馘首(くび)だけは勘弁してください。」

半分涙目の佐藤君、

それをみて、助役が優しい声で話しかけます。

 「佐藤君は、車掌を希望しているのかい。」

「はい、僕は国鉄が好きで、大きくなったら国鉄で働くことが夢でした、それでやっと憧れの職場の国鉄に入れたのが嬉しくて、車掌車を見ていたら、自分もこれに乗務してみたいなぁと思って・・・。」

 「佐藤君、実はあの清掃の時に一生懸命雑巾がけをしたり電球を磨いたりしていたよね。実は君がとても熱心にそうした車掌車を自発的にきれいにしようとしている姿を見てね、検査掛の仕事を受けてはどうか思ったんだけど、本当は車掌が希望なんだね。」

「はい、僕は車掌になって特急の車掌として仕事したいんです。」

その言葉を聞いてにっこり微笑む助役でした。

 「佐藤君、君の気持はよくわかったよう。早速車掌への転籍が出来るかも含めて聞いてみよう、場合によっては車掌登用の試験を受けてもらうことになるかもしれないよ。」

その言葉を聞いて、すごくうれしそうな顔をする佐藤君。
先ほどの、悲壮な顔はどこへやらです。

助役も、真面目な青年がさらに上を目指そうとしていることに喜びを感じたのでした。

 「佐藤君、頑張ってくれよな。君のような優秀な若者が将来の国鉄を支えるんだ。」

優秀と言われてはにかむ佐藤君でした。

次回は最終回、佐藤君はその後どうなるのでしょうか?
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