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情報社会、哲学、日々の雑感など。吉田寛Hiroshi Yoshida (静岡大学Shizuoka University)が執筆。

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マトリックス−1

自主ゼミのメンバーと「マトリックス」をひさびさに見た。
やっぱりなかなかよくできている。
ああいう世界設定が面白いと思う人は、現代英米哲学はけっこうおもしろいだろう。
映画は、哲学的に見て面白い部分をさらりとごまかしていたりして、歯がゆい部分もある。

あちこちですでに擦り切れるほど書かれたことだが、私なりにちょっと面白そうな問いをいくつかさらいだしてみよう。

AI技術やVR技術の完成度については特に問わないとしよう。搾取と予言成就、救世主の話もさしあたり置いておこう。
『「マトリックス」完全分析』という本に、その種の面白い分析はいくつか集めれられているようだ。『現代思想』の「マトリックスの思想」特集にも、いくつかの面白い論文が掲載されている(こちらは研究室にある)。

一プログラマがあまりに安易に神になるのはどうかなどのもろもろの「それはアメリカ映画だから」で答えられてしまう問いも放置しよう。

「<幸福な>バーチャルな世界=マトリックス」を選ぶのか、「<惨めな>現実世界」を選ぶのか。「赤いクスリか青いクスリか」のテーマはけっこう物語の骨格を作る問いなのだが、主人公たちがなぜ自分の選択をなしたかについての説得力は十分ではない。
だが、これは技術と倫理という観点からは面白い問いだ。技術の進歩は、人間をできるだけ自然のカセをカバーして、「ラク」に、「幸福」に、する方向で進んできた。それはメディアであれ、情報技術であれ、例外ではない。身体的だけでなく、知的な負担もできるだけ軽減し、リアルな? 加工されない自然を直接経験しなくてもよいように、技術は進んできた。だから「マトリックス」を単純に否定することはできない。で、次の問いだ。

関連して、主人公が、なぜ自分のもと居た世界に疑問を「感じ」たのか、それは可能なことなのか、そんな問題にも解答はない。これも、私としては気になる問いだ。
主人公は、最初から「マトリックス」に疑問を「感じ」ていた。おそらく、この主観的な「感じ」そして、それに対して解説的に用いられる「真実」という言葉。その倫理的内実が、たぶん先の問いへの解答を形作る。

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