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2011年5月12日(木)、今朝急にブログ化学を始めました!Kidsらの勧めで。

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エレクトロンからプロトンの時代へ
石油から水の時代へ
 
化学は古代からプロトンを主役にしてきました。
 
酸・塩基の概念も様々提出されています。ところが1900年以降、化学は「電子」だといわんばかりのエレクトロンの時代になってきたわけです。化学結合に注目するわけですから電子が主役になります。
 
しかしながらプロトンは必ずエネルギーバランスから共役する必要があり、再びプロトンに注目するのプロトニクスという領域が脚光を浴びてきた。
 
イメージ 4燃料電池や固体酸触媒、加水分解酵素でプロトンは大活躍なのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
私事で恐縮ですが大学4年生のテーマが”溶液内における分子内水素結合の移動反応”の研究でした。今に至るまでプロトンの不思議さに魅力を感じています。
 
若い頃、金属錯体の学会で、座長の先生に
 
「プロトンは金属イオンではない。この討論会は金属イオンに関する場である」
 
と言うので、私は
 
「プロトンは金属イオンのルーツであり錯体反応においてプロトンを抜いて考えることは出来ない」
 
と生意気にも反論したい衝動を抑えたことを思い出す。
 
20世紀はエレクトロン(石油)の時代で21世紀はプロトン(水)の時代であるというキャッチフレーズが最近多いですね。
 
ATP合成酵素や電子伝達系においてもプロトンの流れがないとエネルギーは生じません。
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イメージ 3◆ プロトニクス
 
「プロトン(陽子)」が関わる現象を利用した材料・工学技術。「電子」が関わる現象を利用した材料・工学技術が「エレクトロニクス」である。
 
「プロトニクス」の使用例としては、2001年4月19日発行のNATURE誌に掲載された記事「The promise of protonics」がある。
 
そこでは燃料電池の固体電解質として注目を浴びている CsHSO4 が紹介されている。
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◆プロトン(陽子)

ここでは水素原子Hがイオン化してできる水素陽イオンH+を意味する。質量が小さいため他の原子(またはそのイオン)と比べて移動し易い。
 
水中では水分子H2Oの一部が水酸基OH-とプロトンH+に解離しており、プロトンは水酸基と再結合−解離を繰り返しながら水の中を移動することが知られている。
 
陽子: 水素の原子核。電子の1836倍の質量と、電気素量に相当する陽電荷を持つ。スピンは1/2。

素粒子の一つで、中性子と共に原子核の構成要素。 10(32乗)年以上の寿命を持つとされ、陽子の安定性は物質の安定性の基礎である。

氷中のプロトン拡散過程の観測に成功

                   aist.go.jp

分子固体プロトニクス研究に突破口−
 
産総研 物質プロセス研究部門は、産総研が開発した高圧技術と分光学的手法を用いて、プロトニクス研究のキー物質である氷中のプロトン拡散過程の測定に初めて成功した。分子固体中のプロトン移動を利用した材料研究に新たな展開がもたらされるものと期待される。
 
 氷の物質移動は分子拡散とプロトン拡散の二つの機構によって起こると考えられている。
 
氷結晶中の空隙を利用して水分子が移動するのが「分子拡散」、隣接する水素結合間をプロトンがジャンプしながら移動するのが「プロトン拡散」である。
 
氷中の物質移動は半世紀にわたって研究されているが、その全てが分子拡散に関するものであり、プロトン拡散に関する研究報告はなされていない。
 
1気圧零度以下で出現する氷(常圧氷)中では空隙を利用した分子拡散が支配的であり、化学結合の切断-形成を伴うプロトン拡散は速度が極めて遅いことから観測が困難であった。
 
   産総研では、独自に開発した高圧技術と分光学的手法を用いて、氷中のプロトン拡散測定に初めて成功した。
 
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軽水(H2O)と重水(D2O)の二層膜間でのプロトン(H+)とデュウテロン(D+)の相互拡散過程を、赤外振動スペクトル測定で観測したもので、測定原理は極めて単純である。しかしながら、高圧セルを用いた実験であることから、氷二層膜(膜厚数十ミクロン)の作成法、膜厚の測定法、スペクトルの補正法など、各種要素技術の開発に取り組む必要があった。
 
高圧実験の有効性は二つある。空隙のない高密度構造を持つ「高圧氷」が出現し分子拡散が抑制されること、ならびに融点が上昇することによりプロトン拡散が加速される「高温氷」が実現されることである。
 
10万気圧・127℃における拡散速度(拡散係数)は10-15m2/sであり、1気圧・-15℃の常圧氷中のプロトン拡散係数(推定値)と比べて5桁大きいことがわかった。プロトンは1秒間に約300ナノメートルの速さで氷中を移動する計算になる。
 
 はプロトン拡散機構を研究する上で最も適した物質であり、エレクトロニクスの開発研究を支えたシリコンに匹敵する物質として位置付けられる。
 
今後、ドーピング効果や、作動環境(圧力・温度)と拡散速度の関係をあきらかにしていく中で、分子固体プロトニクス研究の基盤が築かれるものと期待される。
研究の経緯
 
  氷は分子固体中のプロトン拡散機構を研究する上で最適な物質である。
 
水分子(H2O)の構造が単純であり、結晶構造も単純である。さらに、プロトンが関与する水素結合が等価である。従って、プロトンの拡散過程が単純化され、理論によるモデルの提案、実験による検証が比較的容易に行えると考えられる。
 
しかしながら、常圧氷中ではプロトン拡散速度は極めて小さく、分子拡散に隠れて、その測定が困難である。実際、「氷中のプロトン拡散の機構モデルは半世紀前に提案されている」が、「プロトン拡散に関する実験報告は全くなされていない」。
 
一方で、最近の計算機シミュレーションは、
 
「プロトンが自由に動き回る超イオン伝導状態が高温高圧下の氷中で出現する」
 
と予測している。

 氷は、分子固体プロトニクス研究のキー物質であるとともに、超イオン伝導の可能性を秘めたエキゾチック物質でもある。
 
そのような興味から、2年前に氷中のプロトン拡散実験に着手した。
 
実験を成功させるためには二つの課題を解決しなければならなかった。
 
(1)一つは「プロトン拡散が観測可能な氷の状態をいかに創り出すか?」ということである。この課題は「氷を高温高圧状態にすることで解決できるとの予測」を立てた。高圧下で高密度化された氷中では分子拡散が制御され、さらに高温下ではプロトン拡散が著しく加速されることを期待したのである。
 
(2)そして、もう一つは「高温高圧氷中のプロトン拡散過程をどのようにして観測するか?」ということであった。この課題は「プロトンとデュウテロンの相互拡散過程を、赤外反射スペクトルの時間変化で測定すること」で解決された。
 
同位体であるプロトンとデュウテロンの質量比は1:2と大きな値をとる。その結果プロトンとデュウテロンの伸縮振動数は1:??2と大きく異なり、それぞれの振動ピークは赤外反射スペクトル上で異なる場所に観測される。
 
ピーク強度の時間変化はプロトンとデュウテロンの相互拡散による濃度変化に対応することから、測定されたピーク強度の時間変化を拡散方程式を用いて解析することによって拡散係数を決定することができる。
 

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