blog化学

2011年5月12日(木)、今朝急にブログ化学を始めました!Kidsらの勧めで。

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私も週末はホームセンターに行くのであるが、隣のおばさんや子供たちは頭痛や腹痛でダウンすることが多いと聞く。様々な香料が充満し換気が悪いためであろうか?ニオイのするところには近づかないようにコメントしている。
 
まさに化学物質過敏症である。私は化学者なので慣れているのか?しかし、そんな私でも”魚の生臭さ”で腹の調子がダウンするのである。
 
女性や若者は気分転換に良く香水を使うが、香料の危険性を少し知っておくことが必要である。人工的に作る分子は香料であれ色素であれ食品添加物であれ、生体に影響を及ぼさざるを得ない。
 
シュタイナーの次の言葉が現代科学につきつける意味は大きい。
 
「外の世界にあるものはすべて、人間にとっての毒、まさしく毒なのであり、人間が人間自身の力を通じてそれを占有することによってはじめて、人間にとって有用なものとなるのです」
 
鼻から直接、脳に入れば気分が悪くなったり体調が悪化するものである。化学物質過敏症として特に女性、子供に多い症状である。中枢神経や内分泌系の変調も起きるのである。
 
分子機能学を専門とする者としては、それらの分子構造を見るたびに気が重くなるのである。私だったら手につけないように、また吸わないように気をつける分子群なのである。
 
調香師とて分子機能学の専門家ではないのですから分子構造から危険性を予測はできないでしょうね。
 
香料の代謝・体内分布・蓄積
 
(blog.livedoor.jp/hennoji/archives/52047413.html)
 
脳障害治療にムスクが使われるという。南京中医薬大学の陳らのグループはラットでムスコン(ムスクケトン)が血液脳関門を通過するかどうか調べた。
 
ムスコンは
 
(1)血液脳関門を通り、
(2)急速に最も高い濃度に達し、
(3)高濃度で残留する。
 
他の器官と比較して脳内ではゆっくりと代謝される(Chen et al. 2004)。
 
イメージ 1オーストリアの50才以上の女性で11種類の合成ムスクを測定し、若い女性の結果と比較した。血漿中のガラクソライド(89%、最大6900 ng/L)が最も多く、次いでムスクキシレン(62%、最大濃度189ng/L)が検出された。
 
ガラクソライド濃度は香水やデオドラント、シャンプー使用 頻度と有意に関連する。
 
イメージ 11ムスクキシレン濃度は石けんや繊維柔軟剤使用と相関し ていた。
 
また高齢者でこれらの血漿中濃度が高くなることを示した(Hutter et aal.2010)。これらの結果は高齢者の生活習慣や皮膚 の老化、ドライスキンのためにパーソナルケア製品を多用するためではないかと考えた。
 
Müller et al. (1996)はスイスからの人体脂肪中のムスクを測定し、288ng/g 脂肪までののムスクキシレンと171ng/g 脂肪までガラクソライドとを検出した。これら化合物の毒性がほとんど分からないので心配であると述べている。
 
"Voyage Inside the Cell"
 
 
イメージ 2ニトロムスク生産減少に伴い多環式ムスク化合物生産が増加している。Hutter et al.(2009)はこれらのニトロムスク5 種と多環式ムスク6 種の血漿中濃度を調べた。
 
最も検出率が高かったのはガラクソライド(91%、中央値420 ng/L)で、次いでムスクキシレン(79%、中央値11 ng/L)であった。若い年代で、ローションと香水使用は多環式ムスクの血中濃度を予測した。1990年代と比較してニトロムスク検出率は低かった。
 
ニト ロムスクの起源は皮膚に使う化粧品であると思われる。合成ムスクが母乳から検出さ れている(Lignelll et al. 2008, Reiner et al. 2007)。
 
Lingnell et al. (2008)は初産女性の母乳中のニトロムスク2 種類(ムスクキシレン、ムスクケトン)および多環式ムスク5 種(ガラクソライド, トナライド, セレストライド, トラセオライド、ガラクソライド)を分析した。最も高い中央濃度はトナライド(10.4 ng.g)で、次いでムスクキシレン(9.5 mg/g)で見られた。
 
妊娠中に香水を良く用いる婦人には高い母乳中ガラクソライド濃度があ り、高いトナライド濃度であった婦人は着香洗濯洗剤を使っていた。
 
このことは着香製品が母親と乳児の重要なムスク被ばく源であるこ とを示す。
 
トナライドとムスクキシレン濃度は1996 年から2003 年に有意に減少しており、これらの物質を消費製品に使うことが少なくなったか、消費動向の変化があったことを示す(Lignell et al. 2008)。
 
Ueno et al. (2009)は日本のサンプルで母乳と脂肪組織中の多環式ムスクを分析した。母乳中のガラクソライドやトナライド濃度は湿重量を基準として<50 から440 ng/g と<50 to190 ng/g であった。脂肪組織中のガラクソライドとトナライド濃度はそれぞれ<10 to 33ng/g と<10 から13 ng/g であった。この値は米国や欧州のレベルに匹敵する。
 
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多環式ムスク 5 種
(ガラクソライド, トナライド, セレストライド, トラセオライド、ガラクソライド)
 
イメージ 10※  ムスクキシレン 8, 2,4,6-トリニトロ-5-tert-ブチル-1,3-キシレン
ムスク キシレン; Musk xylene; 5-tert-Butyl-2,4,6-trinitro-m-xylene
 
セッケンをはじめ多くの調合香料に使用
香り・・・ムスク臭
 
イメージ 3※ ガラクソライド      (HHCB)
(有毒性と残留性あり)
・クリスチャン・ディオール「Poison/プワゾン」
・カルバン・クレイン「Eternity/エターニティ」等
・シャネル「5番」
 
イメージ 4※ ニトロムスク  nitromusk
(合成ムスクはホルモンの情報伝達システムに影響を与えたり、有害化学物質の作用を強めたりする)  ニトロベンゼン誘導体:ムスクケトンなど
・カルティエの「ベゼ・デュ・ドラゴン」
・ザ・ボディ・ショップの「ホワイト・ムスク」
 
 
 
イメージ 5※ ムスクケトン
(有毒性と残留性あり)
・シャネル「5番」
※  トナライド  Traseolide (AHTN)
高級香料であるムスク(麝香(じゃこう))の代替品として化粧品や香水に使われている
 
 
 
イメージ 6※ セレストライド   (CELESTOLIDE)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
芳香剤
イメージ 7※トラセオライド  Traseolide(5−アセチル−3−イソプロピル−1,1,2,6−テトラメチルインダン)
芳香剤
 
 
 
イメージ 8ムスクの香り(azaban.com)
 
合成ムスクの歴史は古く1930年代には始まっています。ところが、「ニトロムスク」と呼ばる初期の合成ムスク(たとえば、ムスクケトン)は、ムスコンとは分子構造が全然違うにもかかわらず、ムスクのように甘く粉っぽく、頭をぼーっとさせる甘美さがありました。しかし、生分解性が低い上に発ガン性を伴いました。
 
発ガン性の証明って難しいですよね。人類は、ニトロムスクの発ガン性を濃厚に疑いながらもニトロムスクを半世紀以上使用し、今でもどこかで使用されているでしょう。ニトロムスクは廃棄処理さえ困難を伴いますので環境的にも全面禁止される日が来ることを祈ります。
 
イメージ 980年代から「多環系ムスク」と呼ばれる合成ムスクが多用されるようになりました。しかし、これは発ガン性はないとされますが生分解性が低い(残留性が高い)という欠点があります。
 
このムスクは、石鹸、洗剤、クリーム、香水などあらゆる化粧品・トイレタリーに使用され私たちの生活を豊かにしてきました。たとえば、石鹸で手を洗ったあと、ほのかに暖かみのある香りを残すなどの用途にこのムスクは力を発揮します。近年、環境問題に敏感なヨーロッパがこのムスクの自粛に動いたため世界中の先進国で自粛傾向にあります。
 
現在では生分解性の高い合成ムスク(「大環状ムスク」、たとえばエチレンブラシレート)がムスコンの代替成分として使用されるようになりました。香りのパワーとしてはニトロムスクに及ばないとされますが正しい方向に向かっているように感じます。
 
今後さらに安全性が高く、よりムスコンに近い安全な合成ムスクが開発されていのではないかと期待しています。

ところで、天然ムスク。天然ムスクは、中国からネパール、モンゴルの山岳地帯にかけて生育しているシカの一種、麝香鹿(ジャコウジカ)から採取されます。「麝香」とはムスクの意味です。本来、ジャコウジカ○○シカだったはずですが、ムスクが採れるためジャコウジカと呼ばれるようになり、現在ではシカの種名になっているそうです。
ムスクは睾丸から採れるという都市伝説がありますが、睾丸ではなく香嚢というおへそと性器の間にある袋状の組織です。
 
香嚢にはジェル状の物質が入っており大半はコレステロールなどの動物性脂肪酸ですが、ムスクの香気成分であるムスコン(3-メチルシクロペンタデカノン)が含まれます。ムスクはメスに対するフェロモン的な効果があるのではないかとされています。

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