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プロローグが刺激的だ。
昨年11月に行われたプロ野球アジア最強決定戦で日本代表の千葉ロッテマリーンズが中国に勝って優勝したが、中国では野球はほとんどの人が知らないし、人口芝でプレイしたことも数百人以上の球場で試合したことも無い。
逆に中国人の99.99%が知っているオリンピック選手の劉翔と、NBAの一流選手の姚明は日本人の99.99%が知らない。日中両国の理解度とはそんなものだ。
日本の中国論には暴論に近いものが多く、中国が貧富差で分裂するとか台湾は親日であるとかの珍説が大きな顔をしてまかり通っている。
中国の反日は江沢民の反日教育のせいではなく、問題の本質は日本が歴史的に中華民族の面子を深く傷つけたからだ。
尖閣諸島で軍事衝突になれば日本の海上自衛隊はあっという間に沈められる。
日本人と日本政府の「中国は強大になりつつある」という認識は最大の誤謬であり、すでに強大で、軍事的には世界の大強国だ。
真の友好、相互利益のWIN/WINの関係を築く必要がある。
さてponkoの読後感は・・・・
自分の足で調べ、国際的な事件の渦中に居たという臨場感には迫力がある。
(アキノ元大統領の暗殺の現場に居たとか)
ジャーナリストらしい簡潔で迫力のある書き方で最後まで飽きさせない。
しかし、中国の発展が凄い、凄いというだけで、では一党独裁の共産主義国がこのまま破綻なく発展を続けていくのか、そうならば民主主義国の日本としてどうすればいいのかという政治力学には一切触れていない。
そういった意味で、やや浅薄な感を免れない。
印象に残ったのは:
○高砂族の勇敢な働きは聞き及んでいたが、彼らが日本兵士のための食料をジャングルを駆け巡って運搬しながらも、食料には手をつけずに餓死していったこと。
○高素梅に対して台湾からも批判の声があがつていること。
●一方、各国の要人の会合をセットアップして、実現したという功績、各国の要人に信頼され、愛されたという話などの自慢話は、感心はするが、少し鼻につく。
「国家の柱石であった後藤田正晴先生が、亡くなられる数ヶ月前に『若宮ってのはたいした奴だ』と褒めて下さったと、平沢氏より伺った。私は後藤田先生の遺志、日中友好、憲法問題を継いでいきたく、決意している」
後藤田に褒められて木に登るのはいかがなものか。
単なる小者フィクサーではないかと思いたくなるところさえある。
●日本に明確な対中戦略がないという指摘は正しいが、中国に対する思い入れが強すぎて、過大評価しているのではないか。
たとえば、:
「上海に代表される不動産バブル、銀行の不良債権、国営企業の不透明、コネが幅を利かす人治国家、そして人民元の切り上げ、それらを理由に中国経済の先行きを懸念する声は大きい。
またそれを理由に、中国はいずれ崩壊するという極論する者もいる。危険すぎるバブルだと。
しかし、はたして本当にそうだろうか?
前記のような懸念は日本の高度経済成長前期にも、そしてバブル時代にも多かれ少なかれ囁かれたものだ。日本が克服できた問題が中国にできないはずはない」
「『中国は貧富の差でいずれ崩壊する』などという論評は現実を直視しようとしない驕りたかぶった態度で、悪質な楽観論といえよう」
一党独裁制がもろくも崩れ去ったルーマニアのチャウシェスク政権の例もある。
民主主義国の日本がバブル経済を克服できたからといって、多くの内政問題を抱えた中国が日本と同じだというのは極論でありはしまいか?
●自衛隊の現有戦力に関する知識が乏しいのではないか。
「2005年8月の中露合同演習が大々的に実施され、落下傘訓練降下や上陸訓練など日本の自衛隊など想像も出来ないことだ」
というが千葉県習志野市の航空自衛隊では天気の良い日は毎日のように飛行機を飛ばして落下傘部隊の訓練を実施しているし、離島の上陸訓練は日米合同訓練を行ったばかりだ。
●中国や台湾の反日教育のせいではなく、本質的に日本嫌いだとしているが、後半で、反日教育の影響が大きい事実を自ら書いているのは矛盾している。
●「中国人の人間錬度力」というコンセプトのあいまいさ。
中国の人間錬度学は厚かましい、恥を知らない、しかし人とはうまくやって行くと定義している。
筆者は結婚を手段に次の人生に挑戦する逞しい中国女性を「錬度力」として評価しており、江青、西太后をあげている。
日本も同じ錬度学で対応せよといっているのだが・・・
●「戦時中、下士官だった父の遺言で東條の祀られいる靖国には行かない」という筆者には違和感を覚える。
●エピローグでは中国で活躍する卓球の愛ちゃん、映画「単騎、千里を走る」の主演男性高倉健(PONKOのキライな男優)などの例をあげて、真の日中友好とは、こうした民間交流からこそ生まれるのではないかという単純さには首を傾げる。
中国人は本質的に日本を軽蔑しているというのが事実ならば、文化交流などなんの役にも立ちはしまい。
「橋本龍太郎、加藤紘一、河野洋平など中国通を任じているが、必要がなくなったり、敵対的な言動を吐けば、ただちに捨てられる」
「ひたすら媚び諂い、上っ面の"友好"を求めてくる日本の政治家や経済人、マスコミなどは、彼等にとっては赤子の手をひねるより簡単に手玉にとれる存在だ」
など鋭い指摘もあるが、本質的な国際政治の視点をいささか欠く、センセーショナルなジャーナリストの読み物といえよう。
まあ硬く考えないで、気楽に読み飛ばすにはお勧めの本だ。
中国人の99.99%は日本が嫌い
(若宮清 ブックマン社 2006年2月)
目次
プロローグ
第1章 中国が貧富の差で分裂する!?ふざけた話だ。
反日デモなんて、中国人の百人に一人も知らない
共産党国家に<真の世論>ど存在しない
宮刑を受けた宦官のような外務官僚と日本の政治家
厚黒学と指桑罵槐という中国の行動原理に注目せよ!
中国の世論は日本の世論と似て非なるもの
中共政権発足以来の最重要事項は、台湾問題である
13億の中国政府を動かすのはたった9人の政治局常務委員
白人に案外甘くて弱い中国人!!
いまこそ必要な国家戦略は日本にあるのか?
第2章 台湾、中国、ポーランド、フィリピン、北朝鮮
―世界の激動を肌身で体験して
私の台湾留学体験
文化大革命に参加
アポなしでポーランドド、ワレサ氏のもとヘ
アキノ元フィリピン大統領家の愛犬の名はワカとミヤ!?
拉致と北朝鮮
第3章 世界を席捲する中国人の底力を知れ!!
中国人とは何か? 泰始皇的統一
中国人の最高の理念は富貴
中国一流学者のトンンデモ神道観・歴史観
しかしこれが現実だ
自家人とは何か?
「運」と「金」には命をかけて挑戦する中国人
華僑・華人パワーの世界への影響と客家
中国女性とは結婚するな!日本人には無理だ
朱に交わっても染まらない民族?
第4章 「台湾は親日だ」って?今のところは!?
中国人の99.99%は日本が嫌い
李登輝は日本人!?
普遍的中国人の日本観(鬼子)
中国歴史教科書の提造の数々、しかしこれが当たり前の国
若宮清は人台禁止の甲級黒名単
皇軍の華、高砂義勇隊の恩を忘れるな!
親日の中身は刻々と変化している!だが日本は気がつかない!
第5章 「中国巳経強大的」中国はすでに大強国である!
中国の野望ーパクス・アメリカーナからパクス・シニカヘ
中国は張子の虎か?30年前の話ですよ!!
謀略国家中国と戦略無き商人国家日本
無能な外交しかできないのなら国連など脱退すべきだ!!
日本人よ! 平和ボケしている場合じゃない!!
エピローグ
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訴えたいことはなんとなく伝わってきますが、やや偏重気味に見えますね。それにしても99.9%が日本を嫌いって・・・。 そんなものなんですかねぇ。悲しいなぁ。
2006/2/6(月) 午前 1:18
ちょっと問題ありそうですが、面白そうな本ですね。中国女性は逞しいのか。見習わなくちゃですね。
2006/2/6(月) 午前 2:49
ビル・エモットさんの最新作を読むといいですよ。日本人より「日本」に関する分析が的確だと思うのですが。
2006/2/8(水) 午後 7:00 [ tero19632001 ]
それと、中国に関する分析も面白いものがありますので、中々いいですよ。
2006/2/8(水) 午後 7:01 [ tero19632001 ]
竹村健一「今週の視点」でビル・エモット氏が紹介されていました。
2006/2/16(木) 午前 0:28 [ mak*ngo*b*og ]
「日本が克服できた問題が中国にできないはずはない」確か今年のNews week新年号か何かで似たような主張があったような。日本の戦後復興と現在の中国の発展に類似点を見い出し、日本は90年代失速したがそういう失敗は中国は起さないだろう、というような内容。確かに中国は日本の高度経済成長をかなり研究しているし、技術系官僚はかなり優秀だ。しかし、似ているように見えてまったく違うのが中国と日本だと私は思う。
2006/2/16(木) 午後 4:27 [ dimiev ]