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「異見自在 世界は腹黒い」(高山正之 高木書房 2004年11月)から
パシリ・ジャパン
国際社会のいじめ構造(1998.3.28)
7年前の鋭い指摘。
7年経ったいま日本はパシリから少しは役が上がったか?
北朝鮮の拉致問題が表沙汰にされて、四者協議には加えられ、写真では中央に近寄っては来たが・・・
アメリカでは部下の女子社員と飲みにいくのはとても危険な行為になる。上司が職権をかさにモーションをかけてきた、と誘われた女子社員が感じればそれでセクハラが成立する。
本人は納得しても周りの同僚が「あの子だけひいきにして」と不快に思えば、それもセクハラ要件の「職場環境の悪化」とみなされる。
そんなわけでこの国では4月の第四水曜日を「秘書の日」にして、上司が花などを贈って、少しでもなめらかな人間関係を保とうとしている。
しかし、アーカンソー州職員、ポーラ・ジョーンズさんはその年の「秘書の日」にひどい辱めを受けた。職場の全女性がボスからバラの花を贈られたに、彼女だけは何ももらえなかったからだ。
前年の夏にボスのクリントン州知事(当時)が「あられもない姿でオーラルセックスを求めてきたのを拒絶した、その仕返しだった」と彼女は大統領をセクハラで告発した法廷書類の中で述べ立てている。
こういう「一人だけ無視」することをいじめ世界ではシカトするという。
花札のもみじ(十文)に出てくる「そっぽを向いたシカ」になぞらえたスラングだが、この形式は学校ではもはや古典に属する。今はもっと手の込んだ "ニュー・いじめ" が主流になりつつある。
気に食わない標的をシカトするのではなく、逆に気に入った"獲物"をグループに取り込んで、搾取と酷使をほしいままにする、という方式である。
まず影響力のあるボスがいる。その下にボスと同種類の若頭級が三、四人ひかえる。同種類というのは例えばボスと同じ背丈だとか、同じくらいワルだとか。商家の息子同士といった家庭環境を共通項にする場合もある。
そして、ここに少し異質の、例えば背の高いグループなら背の低い者を一人、二人、仲間に取り立ててやる。グループが肩で風切るときは、この異質者もいっしょにいばらせてやるし、彼が外でいじめられれば、あだも取る。
しかし、これは慈善ではないから、ちゃんと役割がある。バシリである。バシリとは「使いっぱしり」の略でみんなのパンを買ってきたり、かばんを持ったり。
パシリはグループの財政もまかない、ゲーセン(ゲームセンター)や買い食いの代金も支払う。だから比較的裕福な家庭のあまり強くないこどもが選ばれる。
そして最大の役割が「手近ないじめのの対象」を担うことだ。持ってくる金が少なければ殴られ、小突かれ、ときにはグループ外に対するいじめよりも陰湿なリンチを受けることもある。
このいじめの対象をいじめグループのなかに抱え込むという複雑な構造が実は国際社会にもある。
例えば「自由な民主国家」のリーダーが集まる先進国首脳会議(サミット)というのがある。リーダーはいまやたったひとつの超大国となった米国で、その周りに同じ種類の英、仏、独、カナダ、イタリアが取り巻く。
ここに加えられたのが白人国家でもキリスト教国家でもない異質日本である。日本は一応、対等のメンバー扱いだが、序列は低い。お披露目の写真では日本は常に端っこと決められている。
ここでは平等に世界の安全保障などを話し合うが、日本が例えばミャンマーへの援助再開などやると、厳しい批判を浴びる。役割は国際政治に口を出すことはなく、ただひとつ、「では、日本にもっと金を出してもらうということで・・・・・」
財政負担だけでなく、使い走りもする。この前はルービン財務長官の親友で国際金融界の大物ジョージ・ソロス氏が東南アジアで少しワルさをした。おかけでインドネシアのルピアが下落し、スハルト大統領がむくれると、ボスに「なだめてこい」と円借款つきで使いにだされるのは橋本首相だった。
北朝鮮をどうするか、という四者協議がある。並行して北朝鮮のエネルギー改善計画も進められている。話し合いがまとまれば、そのための資金は日本が出すことが決まっていながら、そして東アジアの安全保障のかなめといわれながら、日本は協議のメンバーにも加えられていない。
日本はこのほかにも国際的出費を強いられる。国連ではリーダーの米国が25%の分担金をもつが、このところ滞納気味だ。今の滞納額は13億ドルである。
日本は第二位の分担率で20%、25億ドルを払っている。ちなみに常任理事国の英国は5%、仏6%、中国は0.7%だ。
国連平和維持活動(PKO)は別会計で、米国は払わないが、日本はここにも年間25億ドルを払い、ほかにユネスコ、ユニセフにも一人約1億ドルを出している。
それで日本の地位はサミットの写真と同じに中央(常任理事国)には座らせてもらえない。
人はこの従順で逆らうことを知らない国を「パシリ・ジャパン」と呼ぶ。
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