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「国防」(石破 茂 新潮社 2005年1月)
テレビにもよく出演して、堅実で説得力のある語り口で大臣としての見解を述べていた第65代防衛庁長官が退官してからまとめた日本国の防衛論。
「あとがき」にあるように、多くの人に読んでもらうことを意図して「です、ます調」の平易な文章で書かれていて決して専門的な国防論ではないが、著者の真摯な思いが伝わってくる。
たくさんの日本人が本書を読んで、「日本の国防」を自分なりに考えて欲しい。
「民主主義」をベストではないがワーストでもないとする著者は、在任中「防衛庁」を「防衛省」にすることには積極的でなかったというのは意外であったが、名前を変えても内容が伴わなければダメという信念からと知って納得した。つまり、世界二位の軍事費を使って実質的には軍隊でありながら、法律上、処遇上、軍隊としての扱いを受けていないという矛盾があるということだ。
例えば、軍は集団を基本としているが、自衛隊法の条文は「自衛官は・・・」と個人の権限で書かれていて、個人を基本とした警察の法律だという。「警察予備隊」の尻尾をそのまま引きずっているのだ。
また、条文は「・・・することができる」となっていて世界の軍隊のように「・・・してはならない」となっていない。ネガティブ・リストを叩き込んでおけば、後は何をしても良いという方が、非常時の瞬間的判断と行動には適しているだろう。
さらに、軍刑法が規定されていない。軍法会議もないから敵前逃亡しても罪に問われない。怖ければ逃げても良い。これでは強い軍隊は出来ない。そのかわりに名誉ある勲章もない。
他国では国を守る軍人の名誉が一番高いのは当たり前だ。
イラク出動のときも、携帯する武器が小火器でなければならないとかつまらない論議がなされていた。
憲法記念日には条文の表現に関してつまらない枝葉末節な論議が多かったが、自衛隊を「国を守る軍隊」として認知し定義するか否かの一点だけに絞って国民的な論議を展開していくべきだ。
なお、本書の腰帯にもあるように、冒頭にクイズがある。
「北朝鮮が日本に向けてミサイルの発射準備をしたことが分かった。発射場所も分かった。そのとき、自衛隊のF15戦闘機は相手の基地を攻撃するのに何分かかるか?」というのだが、賢明な諸氏にはもうお分かりだろう。念のため最後に答えを記しておく。
目次 (各章のコメントは私的まとめ)
第1章 いまそこにある危機
世界の主要国は弾道ミサイルを持っていて発射実験を行っている。
テロリストに拡散する危険もある。
国連は無力(とは書いてないがそういうこと)
第2章 イラク戦争とは何だったのか
「国の数だけ正義がある」
国際社会で「大義のある」戦争なんてありまへん。
エネルギー確保の死活問題と小泉首相は言ってしまえ。
人質問題 世間様の方が思い込み左翼全盛の時代の先を行っている
テロリストの代弁をした民主党
日本占領とイラク占領を同一視した米国はオバカさん
第3章 「軍事オタク」の履歴書
第4章 防衛長官の日常
第5章 テポドンは防げるか
第6章 あなたも国を守ってください
第7章 自衛隊のユーザーは国民である
第8章 自衛隊の緊急出動
第9章 対米追随にならないために
第10章 また会う日まで
(答)「どんなに時間があっても攻撃できない」
憲法上の理由ではなく、F15戦闘機は領空侵犯した敵機を攻撃できるだけ。
(北朝鮮の基地まで飛んでいく燃料タンクがない。空中給油も出来ない)
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空中給油機ってまだ導入されてなかったんですね。私の「図解雑学自衛隊」には配備されているように書かれてたんで驚きです。調べたらKC-767を4機購入予定で初号機は2006年12月に納入される予定だそうです。私の本によると現在のところ、弾道ミサイルに対してはイージス艦のSM-3ミサイルで要撃、地対空ミサイルPAC-3で最終防御となってます。しかし、ミサイル撃たれるまで待てってのはなぁ。。。
2005/5/8(日) 午後 9:35
標準規格の給油装置を近隣諸国に遠慮してわざわざはずしたという記憶があったで付記しましたがそのご付けたかもしれない。SM-3で撃ちもらしたミサイルをPAC-3で撃ち落すまで3分の余裕しかないそうですね。間に合うかな?
2005/5/8(日) 午後 10:19
本屋で立ち読みしちゃいました。米軍のF15と自衛隊のF15は全然別物だったんですねえ。自衛隊って実は自衛できない部隊...この本で結構思い知らされますね...実態がどうなっているのか。メディアも日本人ももっと知る必要がありますね。
2005/5/10(火) 午前 10:41
うんうん。テレビで石破さんの話を聞いて「おぉ〜凄い!」と思いました。極左を論破した時に、思わず拍手をしてしまいました。
2005/5/14(土) 午後 7:08 [ kim*i*cha*jp ]
石破氏は冷静・沈着かつ粘り強く論敵を撃破しますよね。あの説得力はすごい。長官の役職を離れて自由な立場から大いに活躍してほしいです。
2005/5/14(土) 午後 8:16