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著者は「中国は日本を併合する」
http://blogs.yahoo.co.jp/blogger2005jp/28829992.html
の平松茂雄氏で、ほぼ同じ時期に出版された。
中国の軍事力の拡大と日本の関係を説いた前著と違い、新書本なので、中国の核ミサイル開発にテーマを絞って書いている。
いわゆる軍事技術評論家ではないので、核兵器の専門的・技術的な記述はないが、軍事に詳しくない読者にとっては十分すぎるほどの知識が得られる。
著者は2冊を併せ読むことを薦めている。
一番印象に残っているのは、「毛沢東が人民公社、文化大革命などから時代錯誤の指導者だと思うのは認識不足で、人民公社は核開発のための戦略であった」という点だ。核戦争になっても人民公社で生き延びることを考えていた。
中国は軍事大国への道を選び、日本は経済大国への道を選んだ。
米国の一国支配に対抗するために毛沢東とそれ以後の中国の指導者がいかにして核開発を展開し、米国を恫喝できるまでの軍事大国になったかを本書は分かりやすく解説している。
核武装の後発国は米ソに匹敵する核武装が出来るわけはない。
そこで、敵国からの核ミサイルの一撃をかわして、生き延びた自国の核ミサイルで如何にして敵国に報復できるか、この一点につきる。
たとえ核の先制攻撃を仕掛けて一時的に勝利を収めても、核攻撃を逃れて生き残った一部の敵核ミサイルが報復ミサイルとして自国民の頭上に降り注がれる可能性があるというだけで、報復ミサイルの存在は核戦争の抑止力となり得る。
石原慎太郎の「アメリカと中国が戦争したらアメリカが負ける」発言は中国を利することになるからイケナイと雑誌「WILL4月号」で鍛冶俊樹が書いていた。
つまり、中国からの報復の米本土ミサイル攻撃に恐れをなした米国民が政府に宥和政策を要求するからであり、それは中国の思う壺だというのだ。
日本では「中国脅威でない論」がはびこっている。しかし中国からのミサイル攻撃はいつでも可能である。
(本書より)
1980年以降に就任した13人の日本の内閣総理大臣のうち靖国神社参拝を続けることができたのは小泉純一郎首相のみである。また、中国の核の脅威を政策課題として提起、対応策を策定した首相は皆無である。この事実が象徴している通り、攻撃は「やがて」ではなく、「すでに」しかも着実に「具体化」されていると考えるのが正解である。
改めて説明すると、一般に核ミサイルの精度と破壊力に優れた側(米国とソ連)が、第一撃で相手(中国)の核報復力を先制攻撃する(対兵力戦略)。これに対して劣勢側(中国)は相手の第一撃から生き残り、心理的効果を狙って相手国の市民を目標とする対都市戦略(第二撃)をとることにより、相手の先制攻撃を思い留まらせる能力を保持する必要がある。これにより核ミサイル戦力で有効な抑止力を確保できる。これが最小限核抑止力である。
著者は明言はしていないが、日本の核ミサイル装備を肯定しているようだ。
「米国の『核の傘』に依存していながら、米国の核を日本に持ち込むことに反対し、あるいは原子力空母や原子力潜水艦の日本配備に反対する立場は改める必要がある。大変難しい選択になることは承知しているが、日本自身の核保有の是非を含めて、核兵器に関する真剣な論議を積極的に展開する時期に来ている」
と結んでいる。
目次
序 章 なぜ本の知識人は中国の核の脅威を論じないのか
封印された核心部分/核保有の目的と戦略/大躍進、人民公社は核開発のための戦略だった/米国を 牽制する核戦力の完成/日本を攻撃対象とした核ミサイル/台湾の独立宣言と核兵器
第1章 核兵器保有の論理
対米戦略の必要性/通常戦力の近代化より核ミサイル開発を優先/濃縮ウラソ、プルトニウム、そして運搬手段の開発/巨大な人口がもつ潜在的能力/原爆は張子の虎か/米国を攻撃するための水爆の開発/大陸間弾道ミサイルの開発/米国本土に先がけて周辺国の米軍基地を射程圏内に/核ミサイルと人民戦争という二本の足/中国の核施設に対する破壊行為
第2章 ソ連からの援助を受けた初期の核兵器開発
原子爆弾の爆発実験/中国人技術者をソ運に派遣/露呈した利害の一致と不一致/東欧諸国との仲介/ソ連の経済重視政策への転換/核実験の中止提案/核兵器開発に開する交渉/米国と台湾の分断/対立した国益/急速に悪化した二国間関係
第3章 核兵器独自開発への転換
バラバラに母国へ引き提げはじめたソ連技術者/中国人技術者だけで進められた核兵器開発/濃縮ウランエ場の建設と原子爆弾の製作/連続した拡散分離システムの運転技術/核兵器研究、製作施設の建設
第4章 次世代核兵器の開発
複数弾頭ミサイルと潜水艦搭載弾道ミサイルの進歩/核ミサイルの威力/より遠く、より精確に攻撃する次世代核兵器/米国本土にも届くメガトソ級の核弾頭/弾道ミサイルの改良と開発/活発な人工衛星の打ち上げ/複数弾頭の開発/中国の核スパイと米国国防総省
第5章 宇宙開発と対米直接攻撃
有人宇宙船打ち上げの成功/初めから軍事目的であった人工衛星/長征はミサイル改良型のロケット/上海での複数核弾頭同時発射試験/戦略兵器のイスラム世界への輸出/中国以外の国々の衛星/米国からの機密漏洩/衛星航法測位システムの開発/湾岸戦争時の戦術兵器
第6章 台湾の軍事統一
繰り返される軍事演習/一国二制度と軍事力行使/米国本土核攻撃力の急速な強化/日本全土は東風21の射程間内/山岳地帯の核ミサイル発射基地/移動式の新型発射台/短距離弾道ミサイルの発射訓練の目的/手本は第三次中東戦争時のイスラエル/部隊は鉄道を利用して高速移動/米国に先制して施設を破壊/謎に包まれた巡航ミサイルの開発状況/火星のミサイルによる同時攻撃が基本/封じ込めるには強すぎる中国の戦力
第7章 なぜ、日米にとって台湾が問題になるのか
地理的、戦略的重要性/太平洋の覇権/中国海軍の航路/石油をはじめとした資源の輸送ルート/核ミサイル実験にも海洋が必要/南シナ海の軍事拠点/東シナ海の利権とエネルギー資源/次々と天然ガス田を採掘
終 章 日本のとるべき戦略は残されている
国力の全てを投入した中国の核開発/近代化される中国軍の実像/総合的国力の充実/国家の安全保障/戦略的な海洋政策/日米安全保障条約と東アジアの安定/制空権の確保ができていない中国空軍
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ホントに「NPTの呪縛」から逃れる時期が来たんですよ。核に関する論議をタブーなしでやるべきですね。
2006/3/31(金) 午後 9:10 [ tero19632001 ]
日本が核のタブーから解放され、核論議が盛んになるだけでも、特定アジア諸国には大きなプレッシャーになると思います。
2006/3/31(金) 午後 9:23
本当に開発するかどうかはともかく、議論すらできず、核兵器の知識さえないようでは全く意味がありません。核兵器を全て同じとみている人が多いのには困ってしまいます。中には、水爆と原爆の違いさえ知らないし。
2006/3/31(金) 午後 9:37 [ 震電改 ]
水爆と原爆の違いもわからないPonkoとしては耳が痛いのですが、この本は核兵器の勉強になりました。
2006/3/31(金) 午後 10:05
平松先生の核保有論はすごく慎重ですよ。しかし国民が知的に核兵器の論議をする前段階の「核兵器!?むきょー!!」という核アレルギーを排しないとオープンな論議はできないですよね・・・。ちなみにウランやプルトニウムの核分裂反応を利用したのが原爆。その原爆を起爆装置にした核融合反応を利用したのが水爆です(^^
2006/3/31(金) 午後 10:25 [ - ]
実際に核兵器を保有するかどうかは、別にして、日本が核を持つ得失について、議論することは、有意義だと思います。それだけで、北京共産党はびびると思います。(改革開放政策の以前ならビビらなかったと思いますが)ミケ
2006/4/1(土) 午前 0:21
もはや、所謂大国による小国への核拡散を防止する手立ては崩壊しつつある。イラン、北朝鮮が良い例であることは自明。核拡散時代の自衛とは核報復抑止力しか残された道はない。日本は早くこのことに気がつき、政府は国民への教育と核報復抑止力の整備に取り組むべきである。
2006/4/1(土) 午後 8:46 [ amanuma5932 ]
結局は日本がアメリカにとって中国を仮想敵国と見た場合の重要度は絶大だ。原子力潜水艦が太平洋へ向かうにはどうしても日本の近海を通らないと出られないハズ。それを知ってか知らずか日本はタマタマアメリカの軍事力の恩恵を受けれたけど。そんな日本のままで良いのかなぁ。
2006/4/2(日) 午前 1:28 [ - ]
過去のことを引き合いに出して、核に反対する団体が一部見られるが、そういった人達は悪いですが、世界観が見えてないですね。核が抑止力になるのは事実であり、世界の名だたる国は皆持っている。きれいごとだけで乗り切れないことは今までの歴史が証明しています。
2006/4/2(日) 午前 2:56 [ sen*a*u2006 ]
「核を持つことによる核攻撃に対する抑止力」を無視しようとする人は何らかの政治的な意図があるとしか思えませんね。
2006/4/2(日) 午後 0:47
中共が進めている「宇宙軍」は、地球軌道に核ミサイル装備の軍事衛星を配備して、いつでもどこでも核攻撃・恫喝を可能にしようとするものです(ダモクレスの剣)。日本とやっているMDは単なる米本土防衛の前線基地ですが、米国はこれに対処する為にミサイル本土防衛を考えていますし、その為にアジアから手を引く事さえ考えていると思われます。中共の経済発展政策はその為の手段で、中国に資本主義=>民主主義・と考えて援助した先進国を嘲笑っています。
2006/4/3(月) 午後 6:23
「MOONLIGHT MILE」のように「米宇宙軍」がもう「軌道上・月」に配備されてるかも知れませんね。今までのSTSミッションで「軍事用ミッション」の全積載量を合計すると「軍事用ステーション」の一つや二つ、余裕だそうですしね。
2006/4/4(火) 午後 7:50 [ tero19632001 ]
「神舟」だって「宇宙戦争」を想定したものかもしれませんし、「蒼穹の槍・http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334075673/qid%3D1144147984/249-8845258-0172319 」に出てくる「質量兵器」を保有する事も考えられますね。
2006/4/4(火) 午後 7:53 [ tero19632001 ]
そんな中国の狙いを知ってか知らずか、細田官房長官は神船の成功を祝福して、「心からお祝い申し上げる。無事な帰還、目的の達成を祈願している」なんてね http://blogs.yahoo.co.jp/blogger2005jp/13776570.html
2006/4/4(火) 午後 8:25
「宇宙飛行士の安全」を願ったものであって、中国の宇宙開発には懸念を感じているのでしょう(宇宙飛行士に罪は無いですからね、アポロ13の時もソ連が救出活動を支援してくれたそうですし、困った時はお互い様ですよ)。
2006/4/5(水) 午前 7:17 [ tero19632001 ]