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「日本がアメリカから見捨てられる日」(西尾幹二 徳間書店 2004年8月)
「鉄道は輸出になじまない」
時事雑感で述べたように、日本政府は日本の新幹線を中国に輸出してODA供与の糸口に使用としている。それに反対する理由を述べたが、さらにうがった見方もある。
西尾氏は中国の狙いは日本の新幹線ではなく超電導リニア技術ではないかと推測している。これは軍事転用が可能だという。それが事実ならば、また日本は自分の首を自分で締めることになる。
葛西敬之氏(JR東海会長)は社長時代JR東海を軌道に乗せ、リニア実験線の成功など実績を上げた。
西尾氏がこの葛西氏の談話をまとめている。
(前文略)
おりしも新幹線の中国売り込みに国や財界が夢中になっている上っ調子に彼(注:葛西氏)が水をさし、JR東海は協力する場合の前提を明らかにし、前提が満たされない場合は協力できない旨明言し、新聞紙上にも波紋がひろがっていた。
なにゆえあってか、扇国土省交通大臣(当時)が中国詣でをしたり、奥田日経連会長が葛西発言の後でもなお新幹線の売込みを国家プロジェクトのごとく語る不見識を、私はひごろ「にがにがしく」思っていた。
鉄道の輸出ということで真っ先に思い浮かぶのは、新幹線の韓国輸出で日本がフランスに敗れた一件である。私はフランスが獲得してよかったと安堵したのを覚えているが、他の多くの日本人は当時どうおもったのだろうか。
(葛西氏の話しでは)線路などの下部システムは韓国自らが敷設し、車両その他の上部システムをフランスが請け負った。実験し始めると、後尾の車両が尻尾を振るかたちになってうまく走らない。
フランスの責任技術者がさっそく呼ばれたが、調査の結果「これは韓国側の責任」といってさっさと帰ってしまった。当然ありそうな話である。フランスのTGVは(超特急)は広い平地を走る。韓国の地形風土は別である。
韓国は日本に相談に来たが、鉄道はそれぞれの文化が育てた技術のネットワークで、他国の技術に口出しできない。尻尾を振る理由はついに分からない。
かつてスペインにフランス輸出したことがあり、上手く行っていない。
過去に鉄道の外国輸出でうまく行った例はひとつもない。
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(中略)
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以上をもって鉄道の技術は各国の風土と文化について発展してきたもので、外国に安易に移動できない一大ネットワークだという葛西さんの主張は証明されたかにみえる。
車両を輸出することはできるが、それは車両会社が売ればいい。
鉄道のシステム全体を外国に売ることはできない。
システムを売れば、長期にわたって保全のオブリゲーションが発生する。たとえばアメリカにシステムを売れば、訴訟社会アメリカの弁護士たちの格好のターゲットとして狙われる危険がある。
韓国は危ういが、中国はもっと危うい。中国は実費を負担する意思さえ確かでない。
(JR東海は鉄道技術輸出に関するしっかりした方針があり)じつに堂々とした立派な愛国的信条であると私は思う。こうでなければいけない。たのもしい。葛西社長に私は深甚の敬意を表する。
話によると、アメリカやイギリスはいま車両を作る能力もないらしい。フランス・ドイツ・カナダはある程度もっている。中国はみずから開発するだろうが、日本が応援する必要はないのである。まったくその通りだと私も思う。そういう決然たる意志を秘めたご主張であった。
にもかかわらす政府や財界に無理解が存在している。奥田日経連会長(トヨタ自動車会長)は自動車を中国に売りたいためであろうが、鉄道の対中輸出は日本の義務だといわんばかりの発言をするそうで、会議の席で葛西氏と火花を散らしたこともあったと聞く。
目先のことしか見えない日本の政府と経済界の視野狭窄はむかしからの悪弊だが、今ではこれがいわば日本の国難の一つになっている。
(平成16年1月記)
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私が見てたのは諸君だったみたいです。http://202.32.189.64/mag/shokun/shokun0404.htm でも語っている内容は同じですね。葛西敬之氏、かなり前から危険だということを強く訴えてます。新幹線は中華圏に絶対に売ってはいけない!!!
2005/5/23(月) 午後 11:13
「諸君」も時々読んでます。目が悪いので、活字が「正論」より小さいのが難点ですが・・・葛西氏しっかり書いてますね。テレビの討論会でも見た記憶があります。今回も発言されるのでょうか?
2005/5/23(月) 午後 11:49
中国版「新幹線」で事故が起きれば、原因が何であれ、必ず”日本の新幹線システムの欠陥が根本原因”ということにされるでしょう。絶対にやめるべきです。
2005/5/24(火) 午前 2:57 [ - ]
わたしもそう思います。「A級戦犯」として未来永劫言い掛かりをつけてくるでしょう(笑)
2005/5/24(火) 午前 9:02
技術面から一言。超電導(超伝導)リニアは、進歩していってはいるものの、未だ実用化は先の話。軍事転用の方法は?と思います。超伝導技術で最も実用化が期待されているのは「蓄電」ですが、これもまだ実現されていません。そんなものが、軍事転用できるはずもなく、考えすぎだと思いますよ。
2005/5/25(水) 午前 11:05 [ nor*_*x ]
技術面からのご指摘有難う。技術音痴なので。杞憂であればいいのですが・・・・よく、秋葉原に行けば軍事用の部品に転用できるものがいっぱいあるからスパイなんてという言う方もよく聞きますがあれも眉唾ですね
2005/5/25(水) 午後 9:48
こんばんは。秋葉の部品をスパイ用品にしている、というのは、当たっていると思います。日本の公安も利用しているはずです。そうした意味では、科学技術というのは、フラットな存在であり、使う人次第のものです。純粋に科学を研究していった結果が残虐な兵器に転用される可能性もあるのです。そうした意味では、たとえ科学技術に疎くても(失礼)素朴な疑問、問題提起はされるべきだと思います。科学技術者としても、それを歓迎するはずです。
2005/5/25(水) 午後 10:27 [ nor*_*x ]