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落下傘候補に期待する
現在の日本の議員に明治維新時代のように「天下国家」を論じ、心から日本の行く末を案じている議員はおそらく一人も居ないだろう。
多かれ少なかれ、何かの利権のもとに動いている。
郵政民営化に反対する議員は、民営化によって不都合になる人たちが圧力団体として後ろに控えている。
おらが村や町に橋や鉄道を作って地元の活性化を図ってくれる国会議員に国民は投票する。
地元密着型の北海道の鈴木宗男、大阪の執行猶予中の辻本清美が出馬するが、国民の判断はどう出るだろうか。
郵政民営化賛成か反対かだけに絞った選挙はダメだとする声もあるが、わかりやすくていい。
地元(郵政関係者)の利益か国の利益が焦点になっているからだ。
産経新聞(2005年8月18日付朝刊)より
【主張】選挙戦略 利益誘導型は変わるのか
政治の世界が明らかに変わりつつある。
小泉純一郎首相が郵政民営化の是非を国民に問いたいと衆院を解散してから十日間、地元利益を優先する旧来型の政治や選挙システムに変化が生じていることに注目したい。
国益を実現するシステムをいかに整えるかが日本の課題である。現在みられる変化がこうしたシステムの構築につながり、政治の構造改革を進めるものであってほしい。
自民党が十六日発表した第三次公認を含め、これまでの公認候補二百六十五人の中に地元との関係が希薄な英国型の「落下傘候補」が複数含まれていた。これはかつてなかったことだ。
これまで自民党新人は世襲や国会議員系列の地方議員などから起用されることが多く、古い体質を引きずりがちだった。個人後援会などを中心に地元や業界へのサービスを優先することが求められ、「政治とカネ」の悪弊がつきまとっていた。
落下傘候補は英米では「カーペットバガー」と呼ばれる。候補者がカーペットバッグ(絨毯(じゅうたん)の生地で作った旅行カバン)を持って、国内の選挙区を転々とすることに由来する。英保守党のサッチャー元首相も三回目の総選挙で選挙区を変え、初当選した。
こうした手法が英国で定着したのは、徹底した政党、政策本位の選挙が根付いているためだ。有権者は候補者個人より党や党の政策を投票の基準とする。候補者も地元の縁より、相手候補と議論する力量などが問われる。
今回の落下傘候補は、旧来型の選挙や地元利益優先の政治に風穴を開ける可能性がある。近代的な組織政党に自民党が生まれ変わる好機でもある。
派閥の解体も進んでいる。郵政民営化法案へのばらばらの対応は、派閥政治崩壊をみせつけた。旧亀井派会長を辞任した亀井静香元政調会長は、綿貫民輔元衆院議長らと「国民新党」結成に踏み切り、旧亀井派は分裂した。新党に民主党議員も参加した。この変化が何を生み出すか、注視したい。
落下傘方式の定着には、現行法で禁止されている戸別訪問の解禁などの環境整備が必要だ。肝心なのは官僚やタレントの知名度ではなく、政治家として有能かどうかである。そうした政治家を選ぶ国民の意識も問われる。
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