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PAC3でミサイル防衛すすむ
軍拡を進める中国、核で脅迫する北朝鮮に対して、日本もようやく防衛体制を整えつつある。
岐阜・福岡への配備完了は4年後の平成21年というから、ずいぶんのんびりした話で、果たして間に合うのか?
一方、PC3の日本でのライセンス生産が決定した。
米国からのライセンス供与を受けて三菱重工業が製造する。
日本の高い技術力と製造過程で得たノウハウを生かして将来は日本独自の防衛兵器を開発することも夢ではない。
精密部品のある部分は信頼性の高い日本製であるに違いないからだ。
産経新聞(2007年7月20日付朝刊)
PAC3
岐阜・福岡へ配備
ミサイル防衛 首都圏ら続き導入
北朝鮮と中国の弾道ミサイルに対処するミサイル防衛(MD)で、地対空ミサイル、パトリオット(PAC3)の配備計画の全容が十九日、分かった。新たに航空自衛隊岐阜基地の第四高射群と、春日基地(福岡)の第二高射群に導入する方針で、首都圏をカバーする入間基地(埼玉)の第一高射群に続く実戦配備となる。
PAC3は、全国に六個ある空自高射群のうち三個高射群に導入され、すでに十六年度予算で入間基地の第一高射群への配備が決まっており、防衛庁は残る二カ所を検討してきた。
PAC3は「政治と経済の中枢機能が集中している地域への優先配備」(防衛庁幹部)が原則とされ、名古屋や大阪に機動的に展開できる岐阜基地を第二の配備先に決定。
第三の配備先としては、札幌を抱える千歳基地(北海道)の第三高射群も検討されたが、「中国の弾道ミサイルの脅威が高まっており、より緊急性を要するのは九州の防護だ」(同)との判断から、春日基地に導入することになった。
関連経費は岐阜基地が十八年度から、春日基地は十九年度予算からそれぞれ盛り込まれ、四年間で配備を完了する。
PAC3は航空機に対処するPAC2の改良型で、部隊は発射機、射撃管制装置、レーダー、アンテナ、電源を積載した車両で構成される。
ミサイル防衛
「PAC3」国内で生産
ライセンス供与、日米で合意
対中国・北に抑止力
防衛庁は十九日、ミサイル防衛(MD)に関し米政府と、地対空ミサイル、パトリオット(PAC3)を日本でライセンス生産することで合意したことを明らかにした。北朝鮮と中国の弾道ミサイルの脅威に対するMDにおいて、「最後の砦(とりで)」となるPAC3を自国で生産できる態勢に移行することの戦略的意義は大きい。防衛産業の技術力向上にも寄与する。
ライセンス生産されるのは、二十年度以降に配備するPAC3のミサイルと地上装置で、三菱重工業が製造する。
ライセンス生産は防衛庁側が強く求めていた。その理由は二つ。第一に、生産設備が整備されることによって、装備品を自前で維持、修理することが可能になることだ。そして、有事の際に、米国が自国への配備に偏ったり、製造元の米ロッキード・マーチン社が生産を中止した場合でも影響を受けず、装備調達が安定するためだ。
イラク戦争にも投入されたPAC3は、「米国が湾岸戦争後に開発に着手し、長年かけて完成させたシステム」(制服組幹部)である。それだけに、米側ももろ手を挙げて日本にライセンス生産を認めたわけではない。
大野功統防衛庁長官も「米側の手続き上の問題もあり、これまでライセンス生産の確たる見通しが得られなかった」と語り、日米間の協議は難航したことを示唆している。「最先端の技術を他国にやすやすと譲る国はない」(防衛庁幹部)というのが、軍事常識でもある。
にもかかわらず、米側がライセンス生産を認めたのは、やはり北朝鮮と中国の弾道ミサイルに対する懸念を強めている証左といえるだろう。
両国は、ともに米国に届く長射程の弾道ミサイルの開発を進めており、米国は「本土防衛」の必要に迫られている。このため米国には、日米の「共同対処」を強化したいとの意向があり、日本のミサイル能力を向上させる
方が得策だとの判断があるものとみられる。米国はまた、ミサイルを追尾する日本のレーダー情報などに関心を示してもおり、そのバーターとしてライセンス生産を認めたという側面もありそうだ。
日本がPAC3の生産技術を備えることは、少なからず抑止力となり、北朝鮮と中国の戦略判断を不確実にするのは間違いない。
【解説】ライセンス生産
外国の装備品導入には(1)完成品の購入(2)共同開発・生産(3)ライセンスの承認を得て国内で生産−がある。ライセンス生産は防衛産業の技術力の育成や国内経済へのメリットが特徴。代表例はF4やF15戦闘機。ライセンス生産であっても、開発のノウハウを保護するため「ブラックボックス」として、完成した部品を購入しなければならないケースも増えている。
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