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櫻井よしこさんの見る選挙戦
今日の産経新聞1面の連載記事「何たる選挙戦」の第4弾は櫻井よしこさんの談話だ。
おせっかいPonkoは、産経新聞をお読みでない方のためにご紹介する。
《要旨》
「安倍首相は官僚主義を打破しようと改革を進めている。
また、集団的自衛権の見直そうとしている。
断固として政治信念を貫く安倍首相を非難する人がいるが、高い評価を与えていい政策が参院選では争点になっていない。
逆風下の安倍首相だが、「人事力」は不足している。
しかし、国民が閣僚スキャンダルや年金問題だけで投票するのは間違っている。
安倍続投を願っているが、まだ若いのだから、万一大敗したら、退陣して強靭なる精神を身につけてから再チャレンジしたらどうか」
安倍首相は、場合によっては、退陣してもう一度出直せ、と櫻井さん言っている。
厳しい言葉だ。
しかし、自民党は多数派工作を進めながら、自民・公明・民主をガラガラポンした政界再編成という大きな仕掛けを狙ってもいいのではないか。
さもなくば、《イラク特措法》も立ち往生して、対米外交だけでなく、世界の嘲笑をかうのではなかろうか。
【2007参院選】何たる選挙戦(4)
首相の理念 継続が大事
安倍晋三首相は、明治時代以来続いてきた官僚主導の政治を国民に取り戻すという意義ある政策を実行に移してきた。そのひとつが、先の国会で成立した公務員制度改革関連法である。また、集団的自衛権の行使についても、これまでは内閣法制局の解釈によって手足を縛られていたが、これを見直す検討を始めた。
一部の知識人やメディアは安倍首相に「ネオコン的」「強権的」「右翼的」などといった形容詞でレッテルを張る。だが、改正教育基本法、国民投票法といった国家の屋台骨を作る部分だけでなく、安倍首相はこれまでの政権が背を向けてきた中国残留日本人孤児の国家賠償訴訟で和解したり、薬害肝炎訴訟で和解の意思を示すなど「優しさ」「思いやり」を感じさせる政策も実行している。残念ながらこうした高い評価を与えていい政策が参院選で争点になっていない。
年金問題は国民の国家への信頼感を受け止めきれなかったという意味で大事な問題ではある。だが、今回選ばれる参院議員の任期は6年間ある。その任期の中では、憲法改正が非常に重要なテーマになるだろう。そうした論点を抜きにして、年金制度などの技術論だけで参院議員を選ぶのはあまりにも残念だ。
漠然とした空気の中で安倍首相、安倍政権批判が渦巻いている。年金問題、故松岡利勝前農水相の自殺や事務所費問題、果ては赤城徳彦農水相の「絆創膏問題」といった事柄で、ムードができている。
安倍政権は信頼できないという空気が蔓延(まんえん)し、本質的な議論がなされることが少なくなっている。
このような形で安倍首相が批判される一因は、人事の拙さであろう。小泉純一郎前首相も人脈が狭く、「人を知らない人だ」「勉強していない人だ」と思ったが、安倍首相はそれ以上ではないか。
首相の「人事力」の不足が、閣僚のスキャンダルなどの些末な問題を引き起こし、本来評価されるべき政策、法案を通してきた実績がつまらない形で帳消しにされている。
首相が参院選後に政権を維持するのであれば、有力なアドバイザーを置くことが必要だ。首相と価値観を共有し、加えて世の中のことがもう少し分かる人材を脇に置かなければいけない。はっきり言って、今のままの人事力では政権はもたないだろう。どんなに良い理想を持っていても、内閣や党の要に、上手に人材を配置できなければ、それを実現するのは無理だ。
参院選で、年金に議論が集中しているのは、国民にとって切実であるとともに、民主党が選挙戦の争点に年金問題を設定し、それを朝日新聞をはじめとする一部メディアがあおった面はある。しかし、安倍首相・自民党も憲法改正でなく、年金を最大の争点にした。6年間の任期で解散がない参院議員を選ぶ選挙では外交や安全保障など、国家の基本的な問題を考えなければいけないのに、それを問い続ける覚悟がない。争点を年金にしたのは首相のある種の弱さの反映ではないか。
首相には、堅固な価値観を貫くことが政治的強さにつながることを認識してほしい。
たとえば、北朝鮮は安倍首相の失脚を願っているが、それは、安倍政権は歴代政権で唯一、北朝鮮が恐れた政権だということだ。対北政策で決して揺らがなかったからこそ、ようやく金正日政権から、軽んじられない政権になったことを忘れてはならない。
これらも含めて、有権者が安倍首相の実績を総合的に正当に判断して、それでも信頼できないとするのであれば、首相は甘んじて受けるしかない。しかし、閣僚スキャンダルや年金問題だけをみて、投票するのは全体像を見失っている。
私は、安倍政権が続いてほしいと考えるが、大事なのは首相が掲げた理念、価値観、憲法改正による自立した国家を目指すといった考えが継続されることだ。安倍首相の継続を好ましいと思いつつも、万一の場合、まだ52歳なのだから、一度、退陣し、強靭なる精神を身につけてから再チャレンジするというほどの余裕を持ってほしい。(ジャーナリスト・櫻井よしこ氏 談)
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