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10月23日に投開票された参院神奈川補選は自民党の川口順子前外相が38万票の大差で圧勝し、「改革を進めていくことが再確認された」(川口候補)。しかし、有権者の関心は薄く、投票率は衆院選の半分以下の32.75%と低い水準にとどまり、衆院選で自民を押し上げた若者を中心とした無党派層の多くも棄権に回った(無党派層の割合は通常の20%から15%に低下ーNHK出口調査)なかで、川口候補への支持度は90%にも達した自民・公明の組織力が勝利したのであり、自公選挙協力がさらに一段と進展したといえる。
だが、力を増した自民に押し切られるのではないかと危惧する声もあり、首相の靖国参拝や議員年金改革などを巡って、公明内には自民への不満が噴出、一部中堅議員からは「連立見直し」論まで飛び出している。この背景にあるのは、衆院選での自公協力が、公明党側にとっては、必ずしも好ましい結果でなかったことが指摘される。
衆院選で、公明は過去最高の自民公認候補239人を推薦、このうち190人が小選挙区で当選、比例代表で復活当選した34人を加えると、当選率は94%弱で前回より14ポイントほど上昇している。衆院選での公明支持者の投票は500万人程度、このうち4分の3前後が小選挙区で自民公認候補に投票したと見られる。少なく見積もっても370万票、公明の比例票のおよそ40%にあたる。この公明票がなかったとすると、自民は非推薦ながら実質支援を得て「造反候補」を破った3人を含めて30人が議席を確保できなかった。比例公明票の50%の支援がなかったとすると、さらに10人が落選の憂き目に会い、15人が5000票以下の接戦に巻き込まれたことになる。自民の勝因に無党派層の支持拡大が強調されているが、当選者219人の4分の1は公明に助けられていたのであり、「公明の協力があったからこその好成績」(小泉首相)であったことは間違いない。
これに対して、比例代表では、公明は過去最高の898万票を獲得しながら高投票率の影響を受けて2議席を失った。自民支持者からの投票も増えたが、多くても230万程度、自民から民主に流れた票よりも100万票以上少ない。小選挙区別に見ると全体の3分の1にあたる101の選挙区で前回より票を減らしており、このうち80は、自民候補を公明が推薦した選挙区である。沖縄、三重、滋賀、鳥取の全選挙区、北海道と愛知で9、兵庫と静岡で6の選挙区でマイナスとなっており、県単位で自民の支援に温度差があった。北関東ブロックでは僅か2万6915票の差で自民に競り負けたことも加わり、「『小選挙区は自民、比例は公明』という自公協力が十分機能しなかった」という不満が強い。
再来年の参院選は、統一地方選と同じ年に行われる「亥年現象」で投票率は必ず減少する。「税金」や「年金」が争点になることは必死で、若者がポスト小泉の新首相に今回と同じような共感を示すとは考えにくく、自民にとっては厳しい選挙になりそうである。民主・社民に新党や造反組が加わった野党協力ができると仮定すると、ほとんどの1人区が接戦となり、自民の勝利には公明の協力が不可欠となる。これに対して、今回以上の「見返り」が期待できるかどうか、選挙協力の方法や連立政権のありかたの検証が求められているのではないか。
シフォロジスト(選挙研究家) 仁平 俊夫
1939年茨城県生まれ。1963年東京外大卒、NHK入局。外信部、政治部などを経て
報道局選挙事務局長を歴任、出口調査手法等を開発。1999年退職。
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