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黄金株は誰の不利益か

 資本市場関係者の間で、特定株主に株主総会での拒否権などを与える「黄金株」の是非を巡る議論が沸騰している。黄金株を含む過剰な企業防衛策について、先月下旬、東京証券取引所が上場規則を改正し規制する方針を打ち出したのに対し、与謝野馨・経済財政・金融担当相、経済産業省、日本経団連がそろって「過剰規制」と反対の狼煙をあげたからである。反対意見に好意的な論調を掲げる経済紙・誌も少なくない。だが、気掛かりなのは、それらの反対意見が、発行企業の経営陣寄りで、世界の流れを軽視しがちな点である。むしろ、一般投資家の利益に重心を置き、一般投資家に「黄金株」のリスクに対する警鐘を鳴らした、東証の毅然とした姿勢を評価したい。
 事の発端は、11月22日。東証の鶴島琢夫社長が記者会見し、株主総会での取締役解任決議などを拒否できる黄金株について、「市場サイドから見て好ましくない」と発言。新上場規則の導入から1年か1年半の猶予期間をおいて、改めない企業があれば、その企業の上場を廃止する考えを示唆したことだった。敵対的な買収に対する企業側の過剰防衛には、ジャスダック証券取引所の筒井高志社長も、東証と同一歩調とコメントしたという。
 ところが、鶴島社長の会見と同じ日、与謝野金融担当相は「企業の勝手で黄金株を創設するとすれば他の株主の議決権を著しく狭める。それは許されない」としながらも、「黄金株を持った会社が新しく上場するというときは、広く株主が知っている事実」などと真っ向から、東証の姿勢に疑問を投げかけた。これに、経済産業省、日本経団連、自民党などが追随する動きを繰り返している。
 しかし、どんなに毒性を弱めようと、黄金株の保有者が同じ1株でありながら、一般株主と桁違いに大きな議決権を保有することに変わりはない。こうした不公平に危機感を抱いた海外では、かつて国営独占企業が主流で、国や担当大臣に黄金株を発行していた世界の主要電気通信会社がすべて黄金株制度を廃止した。加えて、欧州裁判所が黄金株制度を「違法」と認定したことから、欧州各国でも法的に禁止する国が相次いでいる。まさしく東証が指摘したように、黄金株の禁止は「世界の流れ」となっていると言える。
 ライブドアのフジ・サンケイグループへのチャレンジや楽天のTBSへの経営統合提案に揺れたせいか、どうも日本では、世界の流れに逆行し、株主軽視・経営者擁護の議論が罷り通りがちだ。一般投資家としては、こうした風潮にあえて異論を唱えた東証の議論にこそ、耳を傾ける必要があるだろう。   
(町田 徹)

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