メディア・レボリューション

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イメージ 1予算審議が終わると、金融問題についてさまざまな議論が、政府、経済界、日銀を巻き込んで活発になりそうだ。
そこで「メディア・レボリューション」では、編集会議メンバー、早房長治(朝日OB) 牧野義司(毎日OB) 町田徹(日経OB)の3氏による座談会を、2月17日に行い、最近話題になっている日銀の量的緩和と、その後の金融政策について三人で話し合った。
その内容を3回シリーズで紹介する。

日銀・政府・ポスト小泉・・・絡み合う思惑
イメージ 2 早房: それともうひとつ、最初に私が政府与党や骨太方針との関係とか、総裁選とのからみなどについて申しましたけれども、日銀の量的緩和に関しては、政府与党と日銀の間にすでに溝がありますよね。
 日銀は中央銀行として当然、「金融政策は自分でやらせてくれ」と言う。一方、政府与党の中、これは2つに分かれているけども、中川自民党政調会長とか、竹中総務大臣は、「経済財政政策の基本は経済財政諮問会議が決めて、日銀が実行すればいいんだ」と言い続けてますよね。
 この問題はどういうふうに考えますか。

イメージ 3牧野: 政府与党のうちで、中川政調会長や竹中総務大臣の言動をみていると、ポスト小泉政権への布石が見受けられます。具体的には安倍晋三官房長官を擁立し安倍政権になった場合を想定すると、消費税税率引き上げの問題に直面し、政治課題として重い。そこで今はとにかくリフレ政策を取りながら、資産価格の上昇を狙うと。裏返せばその政策目的のためには、日銀の量的緩和政策の解除をできるだけ先送りさせ、デフレ脱却が確認できるまで、という点を大義名分にリフレ政策を行う政治的な思惑が非常に強いように思います。
 一方で、小泉首相は、9月の自らの任期切れ前にデフレ脱却の宣言を行いたい政治的な思惑もちらつき、その意味で量的緩和政策の解除に関しても、日銀の政策判断だ、と言いながら、自分が政権最後の段階で、長期にわたったデフレ脱却に一つの区切りをつけたいとの思惑があると思います。
 他方で、早房さんが言われたとおり、経済財政諮問会議の与謝野金融担当大臣、谷垣財務大臣は財政再建を前面に押し出し、どちらかといえば、日銀の金融政策判断に関しては、独立性を堅持して独自判断でいい、としながらも、景気が回復した時点での消費税率引き上げに含みを残し、中川氏や竹中氏とは一線を画している、という状況です。
 日銀はこういう状況下で、政府与党の動きに振り回されることなく、さきほど申し上げたとおり、自然体でやればいいと思う。要は、日銀がここであまり独立性を強く言い過ぎると、与党あるいは政府との間にフリクションが起きてマイナスになるだけと思います。

早房: 自然体って結構難しいですよ。

町田: 結構雑音が入りますからね。

牧野: 先日、日銀の幹部と話したら、面白いことを言っていました。政府とのマクロ政策面での協調というのは、今回に限らず、過去にも国際政策協調とか、通貨がらみでドル安円高是正のために、日銀に協調を頼むという格好で、これまでもいろんな格好でボールが日銀に対して投げられてきており、何も今に始まったわけじゃないと。
 やはりマクロの政策について、たとえば「名目GDPを4、5%へ」とか、「インフレターゲットを2%程度に」とかいった数値目標的な政策ターゲット論とが出るけども、マクロ政策に関しては、政府が財政政策などでちゃんとやらなくてはならない、日銀の金融政策がそこにコミットするのには無理がある、と思うのです。
 仮に、いま2%の消費者物価目標のインフレターゲットを置いた場合、日銀は今、それにあわせて、金融政策的にどれだけの達成手段があるのか、むしろそれを背負わされることのリスクの方が大きい。政府と中央銀行の政策面での役割には自ずと違いがある、と思います。

早房: 町田さんはどのようにお考えですか。

町田: 当然、前回もここで議論しましたが、日銀、中央銀行の独立性というのは、何者も侵してはいけないものです。
 ただ、そうは言っても、どこの国、どこの議会、どこの政治であれ、金利の引き下げにはいつも賛成、逆に、引き上げには常にいろんな理由をつけて邪魔をするというのが政治と中央銀行の基本的な関係という側面もあります。
 今回の(中川氏や竹中氏の)金融政策を縛りましょうという話は、小泉政権の「2011年のプライマリーバランスの均衡」といった議論の中で、少しでも国債の利払い負担を増やしたくない、金利が上がっていくような話はできるだけ先に延ばしたい、という意図がミエミエの話ですよね。
 ところが、先ほどから3人で確認しているように、経済には、これまでの政策の副作用の兆候が出てきている。これまで政策的に最優先で取り組むべきだった金融の不良債権とかデフレ景気の問題にはほぼめどがついて、むしろ、副作用の兆候が出てきてるという時に、日銀の独立性を縛って邪魔をしたら、日銀の最大の役割である「インフレの番人」としての機能を果たせなくなります。こうしたことは日銀が独自に判断すればいい。政治的介入があれば、断固として拒否するべきだと思います。

イメージ 4早房: 福井総裁は、はっきりとは言えないから言わないのだけれども、量的緩和解除のタイミングを3月とか4月とか強く匂わせていますよね。
 ただ、私はそう遠慮することはないと考えます。もっとすっきりしていた方が、メッセージとしてはね、経済界に評価されると思います。
 経済界は国内だけじゃなく国外もありますから、町田さんがさっき言われたように、金融緩和の解除をしなくてはいけない時には、かなり機動的に、独自の判断でやるというメッセージが、むしろ評価されるのではないでしょうか。
 遠慮して、「政府が言うから4月にするか、5月にするか」とか、そういうことをしてしまうと、「一体、日本の中央銀行はどうなっているのか?」と、また昔のようなことを言われてしまう可能性がある。
だから、そこのところは、もう少ししっかり日銀の中で決意を固めろと言いたいですね。

牧野: 今はマーケットの時代、スピードの時代、グローバルの時代ですから、日銀の金融政策というのは、かつての旧日銀法の時のように日銀執行部が理事会で決めるというのではなくて、マーケットとの対話をベースに政策判断すべきですね。つまり、あまり予断をもって政策判断する必要はなくて、米国の前連邦制度理事会議長のグリーンスパンのように、むしろマーケットと対話をしながら、市場の動きを見て、そして、景気物価動向を見て、ある時に「えいや」でやるということですよ。
 私がさきほどからこだわっている自然体というのはそういう意味で、最初に予断をもって言い過ぎると、かえって困ることが多い。たとえば、急に変動要因が出てきて、タイミングを失したりすると「なんだ日銀はやらないのか」と逆の信任が問われる。だから、状況を見て、少しずつマーケットのコンセンサスは出きてきつつあると判断した段階で、機動的に、かつフレキシブルにやればいい。政治サイドの要求などに対して、あまりこだわる必要はないと思います。

イメージ 5町田: 「量的緩和解除に向けてマーケットのコンセンサスができてきているんじゃないか」ということに関して、私は全くその通りだと思っています。
 あるエコノミストが言っていたのだけれども、「4月は当然。場合によっては3月でもいいですよ」と。一方、竹中氏や中川氏らの言動については、「例えば竹中氏は経済学者出身なんですから、エコノミストの良心がかけらでも残っていれば、今さらそういう介入めいたことを言うはずがないでしょう」と。そういう感覚でエコノミストたちは見ている状況です。
 もっとも、竹中氏は今や学者じゃなくて政治家です。現実に、日銀をけん制する発言もしているので、これから、どういう態度をとるかわからない面もありますね。

日銀の量的緩和解除とその後の金融政策(下)は明日23日掲載予定です。ご期待ください。


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