民も官も不祥事続き2人に限らずここ数年、じつは民も官も不祥事続きである。財閥系自動車メーカーの欠陥車による死亡事故、大手商社の排ガス浄化装置のデータ捏造、電力会社の原発配管破裂で死傷者。JR西日本の107人の死亡事故と続く。大手生保の保険金支払いの不当拒否事件も消費者の不安をかき立てるだけに許し難い。これだけ不祥事が続くということは、日本の社会全体に大きな変化が起きているからではないか。勝つならば、もうけさえすればそれでよい。法律に触れさえしなければよいという風潮が広がっているのではないか。子供の頃、どこの親も「人に迷惑をかけてはいけませんよ」「お天道様が見ていますよ」と言ったものである。それが最低のモラルであり、社会に対して“恐れ”というものがあった。民営化とは競争とか効率化、採算と同義語だが、民間企業といっても公共的使命を持っている。「官から民へ」、市場化、効率化、利益第一主義の大合唱の中で、公共性、つまり安心とか信頼が軽んじられているのではないか。 「公共心」が薄れる官の世界も目を覆うばかりである。財政難の大阪市が長年にわたって職員の福利厚生や手当に多額の公金を投入していた実情が次々に明るみに出た。大阪市の債務は5兆5000億円もある。経済産業省でも巨額な裏金づくりをめぐる不祥事が発覚。17年にもわたって調査研究費の残余額という形で適切な処理を怠っていた。経産省の信頼を根底から崩すことではないか。裏金といえば、北海道警の裏金問題の告発をきっかけに、全国で警察の裏金問題が次々に発覚。道路公団では橋梁談合事件、防衛施設庁の談合事件と続く。いずれも古巣に顔の利く天下りのOBの差配による「官製談合」である。 国民の老後の年金を扱う社会保険庁では、年金のムダ遣いや年金の個人情報の流出、元長官の贈収賄事件などが続いたばかりだが、今度は国民年金保険料の違法免除が発覚した。 中央省庁の予算消化のムダ遣いは、昨年5月、参院財政金融委員会で民主党の桜井充氏の指摘で明らかになった。中央省庁の月別支出実績によると、3月1カ月間の支出額は16省庁で16兆円もあった。ムダなく使われていると信じたいが、なかには社宅や保養所などを購入したり、旅費があまるとファーストクラスで欧米にグルメ旅行に出かけたりというケースもあったという。国の借金を800兆円という天文学的な金額にしておいて「穴埋めは増税で」ではたまったものではない。タックスペイヤーとして大いに怒ってしかるべきところである。 小泉構造改革は「経済の市場化」で進められている。この市場化は米国のシカゴ学派のフリードマン教授の影響を受けたといわれる。フリードマン教授の師匠のフランク・ナイト教授は、「競争と倫理」という著書で、競争は倫理の裏付けが前提であると説いた。またナイト教授は、米国が広島、長崎に原爆を落としたことに心が痛み広島で被爆した女性を養女にした―と、宇沢弘文・同志社大社会的共通資本研究センター長は紹介している。改革はポスト小泉でも続けられなければならないが、「市場化による改革」は、いささか問題があると思われる。 (栗原 猛) ※このコラムは、ヤフーセカンドライフサイトとの提携企画です。
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