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7月25日、Channel Jスタジオで、岸井成格・毎日新聞特別編集委員を司会に、朝日新聞・星浩編集委員、毎日新聞・松田喬和論説委員、読売新聞・橋本五郎編集委員の4氏に「ポスト小泉」「靖国を含めた外交問題について」忌憚なく議論いただきました。 岸井: 北朝鮮がミサイルを発射した。これが福田さんの心理にも影響を与えたとかいろんなことが言われていますけども、ミサイル発射によって国連決議を巡るいろんな動きなどありましたけど、どうお考えですか。 <教訓1.多国間協調でないと対処不能 2.日中ホットラインの必要性 ―星> 一方、ちょっと意地悪く考えれば、日本はこぶしを振り上げたけども最後はアメリカが中国と裏で通じて中国の顔を立てたと。おそらく外交ですから、100対0ではなくて半々くらいというのが心理なんだと思いますが、そういう意味では日本にとっていい経験になったわけですよ。 それで結局この問題は多国間(の協調)で押さえ込んでいかないと、ダメなんだということがわかったわけですから、北朝鮮からすれば、半分くらいは騒いだ効果が出たのでしょうけど、もう半分はアメリカとの直接折衝という彼らの最終ゴールがどうもできそうにないというのがわかったという意味では意外に大きな代償を払っているんですね。 だからこれからが勝負。北朝鮮を6者協議に引きずり出してきて、そこで最終的に、こういう問題では代償がないんだというところまでいくかどうかですから相当長い時間がかかるのでしょう。 その中で中国の主席と総理の間のホットラインがないというのは、外交上のツールとして弱いのかなというのも今回の非常に大きな教訓でしたね。 <日本のナショナリズムに火をつけた―松田> 今回の問題で行けば、結局、中国も(北朝鮮に)駄々をこねられて(北朝鮮を)押さえ込めなかった。だから中国も拒否権を使うことなくして、同調せざるをえなかった。 ただ、この国をどうソフトランディングさせていくかというのは、日本にとっても重要な問題だし、韓国にとっても、中国にとっても問題。ある面では共通の課題が出てくるんだろうと思う。 ポスト金正日王朝がどうしてくるのかというところが見えてこない。難民が出てくる、混乱するというのは日本も韓国も中国も避けたい。 しばらくは北朝鮮は強気で押してくるのではないでしょうかね。 <評価80点。「平成の黒船」北朝鮮が日本外交を呼び覚ました―橋本> 橋本: 私は、今度の対応は80点あげていいと思うんですね。おそらく政治家ですからやっぱり原則をどこで降りるかは、考えてないわけはないのであって、ただ外務大臣と官房長官が幸い同じような方向だった。役人は必ずしもそうじゃないけども。あそこまでいったから初めて決議ができた。最初からそうじゃなければ議長声明がせいぜいですよ。だから80点あげてもいいと思う。日本もまあある程度、自主的な外交ができるんだと、国連に加盟して51年たって初めて見えた。 何よりも最大の貢献者は、平成の黒船。北朝鮮の黒船が日本の外交的な能力をいろんな意味で試してくれた。非常にありがたかった。そうした中で何が大事かって事がいくつもあるんですね。 一つは、日米がいろんなかたちで大使が二回もきてる。官房長官と(米)補佐官はしょっちゅう連絡を取って、連絡取ったことを見せる。これは案外大事なことで。まあ、張子の虎みたいなところはあるんだけれども、それでもやはり大事なことで。 それから、アメリカの特使が中国へ行った。その時はやはり日本の特使も行ってないとダメなんですよね。そこがちょいと欠けてるなあと。 そうなると、多国間で全体の力で・・・。 橋本: 北朝鮮は日本を直接見てないんだから。なのに小泉さんはブッシュさんに二回も行って、全然違うことを言っているのだから、この人は一体どういう感覚なんだろうと僕らは思うんだけどね。 星: 日本の傍に、こういうよく言えば外交上手、悪く言えば瀬戸際外交しかやらない国があるということがわかったというだけでも(よかった)。で、おそらく北朝鮮からすれば、本音は日本をダシにつかってアメリカと折衝したいということですから。日本はダシに使われたふりをしながらやっていくということでしょうから、そこは本当に知恵の絞りどこですよ。 岸井: これもやっぱり、総裁選の大きな焦点になってくるでしょうね。 松田: ただ、北朝鮮に対してかなり厳しく対応しろというのは9割くらいの高い支持率がありますから、対話より圧力だというふうになります。 橋本: それともう一つ黒船の効果っていうのは、自分たちの国を守る、国民を守るためにどういう術があるのかということ、これは軍事的な術だけじゃなくて外交的な術も含めて私達はどんな手を持っているのか、よく見るとなんの手もない。さあどうしたらいいんだろうということを考えさせられた。 岸井: さて、最後に、小泉外交総仕上げ。小泉外交の本質ってなんだと思いますか。 <全体的なビジョンが見えず―松田> 松田: トータルな形での外交はないと思うんです。 一つ一つ。ブッシュとの関係、北朝鮮に旧西側諸国の首脳として二回も電撃訪問している。 こういう一つ一つのテーマ、各論としては今までとは違って、かなり飛躍したり、ある面では向上している部分があると思うんですけど、トータルとして、小泉さんは21世紀の日本をどういう国にして、どういう外交政策で国際的な地位においておこうかというところ総論がないから一つ一つは結構目立つんですけど、じゃあ全体像を作ったらどうなりますかというと、「さあ」となってしまう。 <「世界の中の日米同盟」の一方で「面的外交」弱い―星> ただ松田さんの言われているように、今の外交というのは、小泉さんは線、二国間なんですね。日米であったり、日朝であったり。 (だけど)今の外交はどちらかというと面でやらないと。EUがうまくまとまって進んできているようにアジアをどうするですとか、グローバルな国連との関係をどうするのかということがちょっと不得意だった。その証拠に国連安保理常任理事国に手を挙げたけど、見るも無惨に全然話にならなかったっていうのが、「面的外交の弱さ」ということじゃないですか。 岸井: 最近ですけど、総理自身が(外交)全体について聞かれた時に、「ついてるよな」と、相変わらず強運ということを言うんだけど、要するにやってみなきゃわからないことは勝負しなきゃ結果は出ないんだ、というね。勝負してきたという気持ちはあるみたいなんですけど。 <バラバラ外交―橋本> 国連安保理の常任理事国入りは誰がやったって難しい。5カ国は絶対に増やしたくないんだから。山賊の山分けは、山賊が増えれば困るんだから。だから絶対させたくないんですよ。 それを無理やりさせるような状況にもっていかなければいけない。そのためにはどうしたらいいか。例えば、イラクに自衛隊を派遣してた。それをアメリカが感謝しているならば、それを有効に弱者の脅迫剤のようにしないとダメなんですよ。 こういう具合にね、一つはイラクに対する対応と国連の安保理に対する対応と、北朝鮮に対する対応とみんな全部一緒(場当たり的)。そういう頭がないんですよ。 星: 安保理っていう大学入試で一回落ちたけど、浪人して次の年に入る準備になっているかというと全然つながりになってない。一発勝負で終わりと。 岸井: それですむんなら随分幸せな国だなという気もするけど。 橋本: いやいや、だからそれはアメリカがあるから幸せだったんですよ。 松田: いやそれはね、小泉さんは即席の漫才みたいに聴衆の反応を見ながら、これはいけると思えばやるけど、古典落語みたいにどっしりとしたものはないんですよ。 橋本: 熟成された味わいとかね、芸術としての政治とかね。 まああれも芸術の政治なんだけどね、そりゃね。 岸井: しかしまあだいぶ結論がね、ずいぶん違うほうへ、意外な展開になりましたけど・・・ 橋本: 次の政権でちゃんとやってもらわなければ困るんですよ。 岸井: ちゃんとやるということでね、注文をつけるってことになると思うんです。 どうも今日はありがとうございました。 <第2回ベテラン記者座談会・了>
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