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米国の中間選挙は、9月30日に行われたルイジアナ州の「オープン・プライマリー」を最後に全ての予備選挙が終わり、11月7日(火曜日)の投票日に向けて、選挙運動も本番に入った。焦点は、下院での与野党の逆転がなるかどうかだが、9月30日に共和党議員の性的スキャンダルが発覚し、共和党に衝撃を与えている。 共和党議員が性的スキャンダルで辞職ABC放送のスクープ報道によれば、問題を起こしたのはフロリダ州南部第16区選出のマーク・フォリー議員で、昨年の夏16歳の少年のページ(実習生)に性的に不適切なE−MAILを送り写真まで要求したという。同議員は52歳の独身で、以前からホモとの噂も流れていたが、他にも数人の少年実習生にメールを出していたということで、辞職し中間選挙への不出馬を表明した。「ページ」とは寄宿舎で生活し学校に通いながら議員の下働きをする10代の少年・少女で、過去にも彼らとの不適切な関係が明るみに出て辞職した議員がいるが、今回は投票の5週間前のことで、共和党のダメージは大きい。候補者差し替えも投票用紙には辞職議員の名前フロリダの共和党は、月曜日の10月2日にも差し替えの候補を決めることにしているが、投票用紙にはフォリー議員の名前だけが残り、彼への投票が代替候補への投票として認められるという。共和党の強い地盤で、フォリー議員の再選が確実視されていただけに、民主候補はチャンス到来と意気込んでいる。テキサスでは候補者差し替え認められずこの候補者差し替え問題は、ブッシュ大統領の出身地・テキサス州でも起きている。ヒューストン郊外の第22区では、ジョン・ディレイ院内総務が政治資金の不正流用で起訴され辞職、選挙戦からも撤退した。しかし、同州の法律で候補者の差し替えが認められなかったため、共和党は2人の候補がライト・イン(投票用紙に候補者の名前が掲載されず、有権者が候補者名を自ら書き込む)として出馬している。このライト・インで過去に当選したのは数えるほどしかなく、共和党は苦戦を強いられている。任期2か月の補欠選挙も同日投票この選挙区では、ディレイ氏の11月から来年1月までの残り任期を務める議員の補欠選挙も同時に実施される。投票は、政党の公認の有無に関係なく誰でも出馬できる「オール・アップ」方式。1回目の投票で過半数を獲得した者が当選、いなければ上位2名による決選投票が後日行われる。民主党は不参加、共和党の4人とリバタリアン(自由党)1人がわずか2か月の椅子をめぐってしのぎを削っている。ゲリマンダー的区割りに違法判決 5選挙区で線引き見直しテキサス州では、5つの選挙区で区割りの変更があり、こちらも「オール・アップ」方式で投票が行われる。同州は2003年に、前述のディレイ院内総務の主導でゲリマンダー的(※)な選挙区の区割りの変更を強行、この結果2004年の選挙では、地盤を失った4人の民主党現職が共和党に敗れ去った。この区割りについて、最高裁は今年6月、32選挙区のうち31選挙区は有効としたが、メキシコに接した第23区はヒスパニック系住民が不利になるとして投票権利法違反との裁定を下した。これを受けて、地裁が23区を含む5つの選挙区について改めて線引きを行った。改正前の選挙区の予備選挙の結果も無効とされ、「オール・アップ」方式で投票が行われることになったのである。問題の第23区は、共和党の現職の他、民主党6人など8人が立候補する混戦模様で、決選投票になる確率は大きい。ルイジアナ州のユニークな「オープン・プライマリー」この「オール・アップ」方式を州内の全ての選挙に適用しているのがルイジアナ州の「オープン・プライマリー」である。同州では、1978年から上下両院の議員選挙を含めて10月中旬に投票が行われていたが、連邦選挙の繰り上げは違法という判断が下されたため、1998年からは上下両院選挙だけは全国統一の投票日に変更した。ことしの「オープン・プライマリー」でも、9月30日には州内の公職者の選挙だけが実施されたが、州務長官は過半数を得た者がなく決選投票の実施が決まった。2年前には決選投票で民主党が逆転勝利ルイジアナ州では、決選投票は連邦選挙でも毎回のように起こっており、2004年には下院の7選挙区のうち2選挙区が12月の決選投票に持ち込まれ、このうち一つでは1回戦で2位だった民主党の候補が共和党の候補を僅差で破り逆転勝利している。今年も5選挙区では、同一政党から複数の候補者が立候補、特にニューオーリンズを含む選挙区は12人が参加する乱戦模様で、2年前と同様、決選投票になりそうである。世論調査は民主党の優勢続く今年の中間選挙では、区割りや投票方法の変更に加えて、共和党議員のスキャンダルも新たに発覚、民主党はいずれも有利に作用すると期待している。フォリー議員の辞職で、下院の勢力は、共和党230、民主党201,無所属1,空席3となり、民主党が現有議席より17議席増やせば12年ぶりに過半数を制することができる。最新のCNNの世論調査でも、下院での投票予定は54%対41%で依然民主党が優位を保っている。しかし、支持率がそのまま議席数に反映される訳ではなく、勝敗の帰趨は接戦の19選挙区にかかっていると指摘しており、決着が12月の決選投票に持ち込まれることも考えられる。(仁平 俊夫) ※ゲリマンダー=特定の政党や候補者に有利となる選挙区の区割り
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