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コラム

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プロ選手について

 米国大リーグのレッドソックスは、西武ライオンズの松坂大輔投手を獲得したいと希望して、大リーグを通じ西武球団に六〇億円を払って松坂選手と交渉する権利を確保した。一〇年前、横浜高校のピッチャーとして甲子園を熱狂させ、国民に感動と少年に希望を与えてくれた松坂君。溌剌として童顔の可憐な松坂君の印象が今でも根強く残っているので、六〇億円とは全く吃驚である。しかし乍ら昨年十一月ヤンキースは松井秀喜選手を手放したくないので、四年間六二億円、年間約一五億円の契約金を支払った。米国野球界と日本のそれとは構造的に相異することはわかるが、一体どうなっているのかと好奇心がそそられる。

スポーツの興行化に不安
 近頃は野球、ゴルフ、サッカー等大衆に人気のあるスポーツは、プレイヤーとして醍醐味を満喫するよりも、観戦して楽しむスポーツになってきた。スポーツが興業化し、商業ベースで運営されるので採算主義になってきた。選手も商品扱い同様で世間の評価や常識を超える待遇の相場が成立している。日本のプロ野球選手が米国に移籍して注目をうけるようになり、その待遇に格段の相違があることを知ったのは、一九九五年近鉄バッファローズの野茂英雄投手のドジャースに任意契約で入団して以来のことである。その後、佐々木、イチロー、新庄、松井、城島等、急激に米国移籍が増え、米大リーグに移籍されることがプロ選手の名誉ある出世街道になってきた。目下二〇名近くの選手がアメリカ大リーグで活躍している。これではわが国のセ・パ両リーグは選手育成機関のようになり、往年の活気とスター性が無くなり、影が薄くなってテレビの視聴率も低下している。そこで私は云いたい。米国移籍に反発して日本のプロ野球は東南アジア等から優秀な選手を移入することを考えてもよいのではないか。残念に思う。プロ野球もビジネスであり商売だから、市場原理で行動しているのだと割り切ってしまえば反発の余地がないが、スポーツの本質を考え、その将来性を思うと不安を抱かざるを得ない。

中・高校がプロスポーツの開墾地になるのが心配
 最近すべてのスポーツがプロ化し、興業化しつつあるように思える。オリンピックの選手としての成功や、プロ野球の異常な報酬等が青少年等にとっては大きな魅力となりスポーツの純朴性、趣向性よりもスポーツで収入を得ようと経済効果、生活の豊かさの追求の手段と考えるようになってきた。従ってスポーツの指導は、大学から高校、中学校にと年齢層が若年化してきた。大学選手はプロの世界では古臭い選手になりつつある。この傾向が進化して中学・高校がプロスポーツの開墾地となってはならぬと心配している。 スポーツのプロ化は生活に余裕と和やか味を与えてくれるのは結構で、私もスポーツ観戦が大好きであるが、幼少年の諸君がプロスポーツの才能や苦労を理解しないで、経済的効果に基礎的学校教育を軽視することにならぬよう心懸けていなければならぬ。(塩川 正十郎=寄稿)

※ このコラムはヤフーセカンドライフサイトとの提携企画です。

塩川 正十郎(しおかわ・まさじゅうろう)
1921年大阪府布施市(現東大阪市)生まれ。44年慶應(経)卒。67年衆議院初当選、以後11回当選。文相
、自治相、財相、官房長官、党総務会長などを歴任。03年10月政界引退。
現在、東洋大学総長、日本相撲協会運営審議会委員等数々の要職を務める。

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