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大学時代に同じゼミの「俺、お前」の間柄だったことから、思想、スタンスの違いはお互いに一歩も譲らない。その本音をぶつけ合い、知られざる政界秘話の暴露も散りばめられた論議は実に面白く、新鮮だ。 2人は慶應義塾大学法学部の1967年卒業、法哲学者として著名な峰村光郎教授のゼミを受けた同期生。 対談は学生時代のエピソードから始まる。2人の学生生活が彷彿と見えて、以後の展開に引き込まれる仕掛けになっている。 安倍、小泉、角栄…政治家の生の姿、次々「安倍内閣の診断」、安倍晋三像は手厳しい。この政権の背後に見える“新保守主義”、ナショナリズムの台頭への危惧が語られる。「小泉登場の歴史的意味」に続き、「戦後、保守政治の系譜と55年体制の終焉」へと進む。鳩山(一郎)、吉田茂らが登場、保守合同の裏の駆け引きから「保利(茂)書簡」「田中角栄の人心収攬術」、「先見性の小沢一郎」などのエピソードが披露される。今、見当たらない『“大物”政治家像』が懐かしく語られる。特ダネの舞台裏岸井の取材の裏話も織り込まれた。「環境庁」(1971年発足)を命名したこと、共産党担当の時、宮本顕治議長直撃でスクープ(宗教テーゼ)に成功したことなど。自慢話ではあるが、今、乏しくなったと言われる“記者魂”がほとばしっている。政治とは?「政治原論」吐露最終章で、それぞれの「政治とは何か」を語った。岸井は「政治記者という仕事は、現実に何が動いていて、どういう変化が起きていて、次はどうだろうかという、分析と展望までが領分。こうあるべきという理想論は根底にあったとしても、それだけでは報道にはならないから」 佐高は「経済というのは自由競争を是としている以上、否応なく格差が生じる。政治はその格差をショック・アブソーバーのように是正しなければならないと思う。ところが小泉は、それをしなかった。だから、政治不在の5年間だったと私は言っている。政治というのは格差を、弱者の痛みを解消していくものだ、いうのが私の考え方」 以上は、傾聴に値する説得力を発揮している。 巻末はゼミの文集が収められた。編集長が岸井。佐高は「雑学志向」、岸井は「トロツキーの“永久革命論”とジレンマ」をテーマに書いた。若い2人の生真面目さは今の2人の姿にも、当然つながっていた。 この対談集では佐高はどちらかというと聞き役。岸井は「みのもんたの朝ズバッ!」「関口宏のサンデーモーニング」(いずれもTBS)で知られるコメンテイター。彼が発する短いコメントからは、計り知れない岸井の蓄積が伺えた。更に、“さまようように見える今日の政治状況”を明解にしてくれる名対談と言えます。 岸井は当ブログ「メディア・レボリューション」の編集会議委員で、インターネットTV局チャンネルJの動画番組のインタビューアーを担当していることを付け加えておきます。(園木 宏志) ※『「政治原論」〜佐高 信×岸井成格』は、11月30日発行・毎日新聞社、定価1500円 ※ このコラムはヤフーセカンドライフサイトとの提携企画です。
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