メディア・レボリューション

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 ロシアのプーチン大統領とインドのマンモハン・シン首相の会談がインドで行われたその日、たまたまインドに滞在中で、現地の英字紙ヒンドゥー・タイムスやタイムス・オブ・インディアなどの報道を目にする機会があった。帰国してから日本の報道を読み返してみると、いくつかの異なったトーンの存在に気づく。

 一つは当然の話ながら、インドの視点からするこの会談の意義付けである。中華思想では人後に落ちないインドのことだから、これまでも正しかったインドの国策ないしは外交政策にまた一人支持者が現れた、という位置づけである。NSG (原子力供給国グループ)を中心とする原子力問題については特にその印象が強かった。このあたりは、バジパイ前首相のいわば政敵である国民会議派のシン首相になっても、対露政策が一貫していることのコンテクストで読むと、味わいは深い。(蛇足ながら日本で民主党が政権を取ったらこれを期待できるのであろうか?)
 第二に、対米国を意識した論調である。武器の調達先を従来のロシア(ソ連時代から)一辺倒から大幅に対米傾斜を強めているインドが、改めて戦闘機と軍用輸送機のロシアとの共同開発を謳うと同時に、ロシアのGPS(全地球測位システム)への参加を表明している点をことさらに強調する報道は、中国との三ヶ国協力拡大の重視とともに、米国よ耳を傾けよ、と言わんばかりである。
 第三は、世界の一流国としての自国の位置づけである。これは第一の点とも関連するが、これまではともすると世界で認められたインド人、世界が認めざるを得ないインドの経済力、といったトーンが強かったのに比して、世界世論とまではゆかないが、世界政治情勢をリードする一員としての自負が垣間見える。日本の報道が、単にインドとロシア(いわゆるBRICs)のコンテクストで捉えているのに比して、際立った特徴を示しているといってよいだろう。

 さまざまな国内矛盾を抱えながら、とにもかくにも11億の国民が「民主主義体制」を維持している、というのは驚異というほかはあるまい。わが国との関係において、同文同種、一衣帯水の間にありながら共通の対話文化・政治文化を見いだしかねている中国との決定的な差異はここにある。にもかかわらず、インドを巨大市場としてしか見ない日本、それとてもインドのIT能力の活用について欧米のはるか後塵を拝している日本、それを象徴的に表現した報道姿勢かもしれない。
(入山 映)

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