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わが社のCSR

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イメージ 1 さまざまな企業の社会貢献活動にスポットを当て、各企業のトップに、社会貢献への考え方、取り組みを聞くシリーズ「わが社のCSR」を掲載。
 第3回は、新日本製鐵株式会社・三村 明夫代表取締役社長に、その技術を世界に誇る新日鉄のCSRについて伺った。
 インタビュアーは西岡麻生。

エネルギーは徹底的に使い尽くし、リサイクルする、という思想
イメージ 2西岡 環境・省エネルギーに多大な投資をしていらっしゃると伺っていますが、どれくらいの投資をしてどのような効果を生んでいるのでしょうか。

三村 1970年代のオイルショックで油の値段が高騰し、それ以来、省エネということで、鉄鋼業全体で20年間で約3兆のお金を使い、20%の省エネを達成しています。それ以降は1990年〜2000年くらいまでに、さらに1兆5000億ほど使いました。新日鉄のシェアが約30%ですので、すさまじいお金を使っています。
 後での話になりますが、京都議定書のスタート年次が1990年。私どもはそれに先立つ20年間に既に20%削減しています。
 最初の頃の省エネの方法としては、鉄鋼業の工程の中で、熱して冷やすということの繰り返しだったものを、できるだけ連続化して、熱のロスを防ぐという事をまずやりました。2番目の方法は、鉄鋼業では1300度〜1500度の熱を使い、放熱する。それならばその熱を有効利用すれば良いのではないかと、発電に使ったり、熱の回収をありとあらゆるところでやり、省エネに結び付けていました。
 それから新日鉄ではエネルギーセンターも設置しています。これは、熱やガスなど、所内でのいろいろなエネルギーを効率的に再利用することを目的にした施設です。エネルギーは徹底的に使い尽くし、リサイクルする、という思想でずっときています。
 そしてもう一つ、最近の傾向は、社会的に出る副産物、例えば廃プラスチックや廃タイヤ、こういったものを熱源として、あるいは原料として使うようにしています。所内でのリサイクルを徹底する以外に、プラスチックで言えば、新日鉄だけで約30万トンの廃プラスチックを使っていて、鉄鋼業全体でも2010年までに100万トンの廃プラスチックを再生利用するという目標を掲げています。またタイヤで言えば、国内の約11%は広畑製鉄所で再利用しているんです。これはすごい大きな量なんですよ。我々の中だけに留まらないで、熱エネルギーに変えて再生できるものはしていこうという省エネを心がけています。

環境・省エネに関する最先端技術は、喜んで開示
西岡 新日鉄の環境・省エネ技術は世界的にトップクラスだとお伺いしていますが、具体的にどのような技術があるのか教えてください。

三村 これは多岐に渡っています。「CDQ」(コークスドライケンチング)のような、既に完成している技術・設備に関しては中国に技術供与・設備として売っています。1番大きな省エネというのは「歩留まり」の工場ですね。歩留まりを高めるのが1番難しいのは自動車用鋼板の外板や、コアに使われる鋼台なのですが、そういうものの歩留まりはおそらく世界で一番です。これはいろいろな技術の積み重ねですね。
 通常、最先端技術というのは外に出さないんです。100年の歴史の中で積み上げてきた、競争力の源泉でもありますから。しかし、新日鉄だけの利益を最大限にするという方策では、地球温暖化防止に役立たないと思うんですよ。したがって、環境・省エネに関する技術に関しては、最先端技術であっても喜んで外部に開示しようという方針でやっています。
 その例としては、3年前の1月に、私は日本鉄鋼業界会長として中国に行き、中国鉄鋼業界の「環境セミナー」で、「日本の持っている環境技術を喜んで開示いたします」と言いました。その時は中国で反日デモが頻発していたのですが、そういう世の中、騒然としている時だからこそ実行しようということで、日本鉄鋼業会の社長が揃い、政府関係者もお呼びし、200〜250人くらいの規模で大々的な環境セミナーが開かれました。単にそのセミナーを開いただけではなく、昨年、フォローアップとして別府で実務者のコンファレンスをもう一度開き、徹底しました。
 技術を持っているということと、それを開示するということは別物です。通常、企業であれば、技術は大切にしなくてはいけない。しかし、地球環境問題についてはそんなことを言っていられません。京都議定書は一つの役割は果たしましたけど、中国の環境対策、あるいはCO2削減の部分ではまったく役に立っていない。この枠組み自体を変えることも絶対に必要なことだと思いますが、我々の持っている技術を開示することで、未然に中国の環境エネルギー問題の解決に役立てれば良いと思っています。中国の環境問題は、日本の環境問題でもあり、地球全体の環境問題です。そう考えると、わが社の技術をそういう形で出すことも必要だと思っています。

競わせて育つ、環境保全林
イメージ 3西岡 新日鉄は「環境保全林」への取り組みを日本でも真っ先に始めたと伺っていますが、いつ頃から、どれくらいの広さで実施されているのでしょうか。

三村 これは大分製鉄所設立時の宮脇昭先生(財団法人国際生態学センター研究所長・横浜国立大学名誉教授)の思想に関わっています。宮脇先生の思想は、その土地に生えている木々を過剰保護せずに競わせれば、自然に大きな木が生えてくるという思想でした。この思想で、5キロ×80メートルという広さの場所に、80万本という木を植えました。今、行くと、広さ以上に高さがすごいんです。この体験をもとに、全製鉄所で4〜50万本の木を植え、緑地を作りました。宝山製鉄所(中国)、ポスコ(韓国)、それからウジミナスなどでは、この技術を伝えて、素晴らしい保全林が海外でもできています。別大マラソンの時には何分にも渡ってこの新日鉄の環境保全林が映し出されるのを誇りに思っています。それからカボスの木もたくさん植えてあって、私のところには毎年必ず届きますからね。(笑)従業員が誇りに思えるというのも、大事な取り組みの要素だと思います。

西岡 新日鉄ならではの、環境保全林の特色とは?

三村 やはり過剰保護するのではなく、「競わせる」というところですね。この4〜500万本の保全林の年関経費は6〜7億かかるのですが、この規模で6〜7億というのは非常に少ないと思います。これはやはり宮脇先生の指導を忠実に実行したことが大成功しているのだと思います。そしてこれが我々だけではなく、全世界にこの思想が伝播している、ということが新日鉄の特徴なのではないでしょうか。

最高の環境を狙いつつ排出量は守ることで、次回京都議定書には意見を
西岡 今、お話にありましたように、新日鉄は環境保全を経営の軸としまして、環境付加の極めて少ない生産体制を実現してこられたのですね。

三村 その通りですね。我々の誇りでもありますし、コストダウンにもなりますし、結局はCO2削減に繋がっていると思います。私どもは京都議定書の約束は何とか貫徹したい。最大の問題はいわゆる原単位を削減しても、数量を増やすとトータル排出量が増えてしまう。私どもは環境的には世界で一番の効率的な設備を持っているわけですけど、同様に排出権を買わなければならない。我々よりはるかにエネルギー原単位の劣るところに技術を供給し、そこで削減したものをお金を出して買わなければならない。だから鉄鋼業界では600億円くらいかけて排出権を購入しているという事実もあるわけです。最高の環境を狙うと共に、約束した排出量は守っていきたいと思っています。その上で、次の京都議定書のあるべき仕組みについては、十分意見を言わせていただきたいと思っております。

西岡 今日は貴重なお話ありがとうございました!
三村 ありがとうございました。
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(事務局スタッフ=伊奈恵子)

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