|
小泉政権は9月の自民党総裁選で幕を閉じる。5年超の小泉政治を政治、経済、外交編シリーズとして総括する。残された課題は多い。それらはポスト小泉に引き継がれる。 <政治編=番外> 最後のサプライズ「四季の序、功あるものは去る」ーと言って東洋哲学では、トップの引き際をことのほか大事にする。立つ鳥跡を濁さずとも言う。ところが、小泉周辺は何かと思いをめぐらしているらしい。最後までお騒がせなサプライズで締めくくろうとしているようなのだ。欧米メディアは「酷評」小泉首相は先月中頃、周辺に「おれはまだやりたいことがいっぱいあるんだ」と言っている。首相としてやりたいことがあるのか、辞めた後の趣味の世界のことを言ったのか定かではない。退陣まで3カ月余りになり気を引き締めたのかもしれない。最後のサプライズといえば、外交である。トップ外交は花やかでマスコミも大きく扱うから、たいした成果がなくてもPR効果は抜群だ。ところが、6月下旬の訪米では、英米の新聞は「小泉首相、プレスリー巡礼」とか「小泉首相は米国議会に行きたがらないで、アーリントン墓地訪問後はメンフィスのグレースランド・ツアーに行く」と皮肉った。首脳会談後の記者会見では、米側記者団の質問は、日米会談の内容ではなく、グアンタナモ米海軍基地での特別軍事法廷設置についての最高裁判決に集中した。 7月中旬のロシアのサンクトペテルブルクのサミット(主要国首脳会議)への途次、イスラエル、パレスチナ、ヨルダンを訪問。1995年の村山富市首相以来である。中東和平に向けて何か足がかりをつけたいらしいが、日本から地理的にも遠く、1000年以上も紛争が続いている地に行って、一朝一夕に話がまとまるほど生やさしくはなかろう。拉致問題が膠着状態になっているので、次の話題に飛びついたようにも思える。 北方領土問題も手がけようとした1つだが、ロシア側のガードが堅く一歩も前進しなかった。国連安保理常任理事国入りは、ある日突然、カネや太鼓をたたいて大騒ぎをはじめた感じを受けたが、同じ名乗りを上げたドイツが第2次世界大戦の相手国のポーランド、英国などから支持を得たのに対して、日本は、隣国の中国、韓国に反対され、頼みの米国も後押ししてくれなかった。日独外交当局の日ごろの外交努力の違いが露呈された感じだ。 「参拝中止」か「福田氏指名」北朝鮮問題は、田中角栄首相の日中国交正常化の向こうを張って意欲を燃やしたが、拉致問題やミサイル発射問題も重なって、以前の状態に逆戻りしてしまった。「軍の独走ではないか」とか「金正日体制は1年は持つまい」などという米側の情報もあるが、平壌宣言は、失敗だったという評価になるのかどうか。陸上自衛隊が撤収する直前を狙ったイラク訪問も憶測されているが、何といっても焦点は8月15日に靖国神社を参拝するのかどうかだろう。参拝すれば意中の後継総裁にマイナスになるという見方もあるが、首相に近い筋ほど「最後だから行くはず」と言い切る。したがって前倒しで「後継指名ー首相辞任」、その直後に「参拝」すると、深読みする向きもあるくらいだ。だから逆に最大のサプライズと言えば、「参拝中止宣言」になるが、これはないだろう。「参拝中止」と同じくらいのサプライズは「福田康夫氏を指名」がある。 「デフレ脱却宣言」は、小泉改革の成果として誇りたいところだろうが、日銀総裁の投資問題が社会的な批判を浴びているさなかに、だれもありがたみを感じないのではないか。 小泉流サプライズにつきあっているといい加減、疲れてくるが、サプライズには共通するものがある。何かというと、功を急ぐあまり熟慮が足りず、考えが浅いのではないかという点である。 実は辞める3カ月以内には首脳外交はやるなという鉄則がある。なぜかというと退陣前にトップ外交をやると、功をあせるから、相手国から足元を見られて結局、国益を損なうことになるという戒めだ。この時期にサプライズは我慢してもらった方が、日本の国益のためには喜ばしいことなのである。(栗原 猛、7月11日記す) ※ このコラムは、ヤフーセカンドライフサイトとの提携企画です。
|

- >
- 政治
- >
- 政界と政治活動
- >
- その他政界と政治活動






