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今回は、松沢成文・神奈川県知事にご登場いただいた。 松沢知事は、日本で初めてマニフェストを掲げ、2003年、神奈川県知事選で初当選。就任後も毎年、マニフェストの実行度合いを検証し、成果を出している。また、分権改革推進の旗振り役でもある。 対談では、夕張市破綻や各県の官製談合の問題にも触れながら「分権改革の課題」と、知事の行っている「マニフェスト政治」「地方政治の改革」についてお話しいただいた。 内容は3回に分けてお伝えします。 〈2〉 マニフェスト政治―松沢知事の実践北川教授が「2003年の統一地方選でマニフェスト型選挙をし、就任後は議会との衝突などもありながら、自己決定型の地域経営を行ってきた感想と成果を」と松沢知事に求めると、松沢知事は、以下のように3年超の改革を振り返った。< 県民に改革をわかってもらえた > 議会の質問でも、『知事のマニフェストではこう言っているが・・・』とマニフェスト(政策)についての議論が出てくる。すると、県民にとっても、議事が見えやすいものになる。 これはかなりの前進だった。 < 「県職員との関係」にも苦労 > 「県の職員との関係」も苦労した。 県の職員は、これまでの継続の中で生きている。就任前から続いている総合計画や長期計画がある。松沢が知事室に入って「明日からマニフェストで行くぞ」と言われても困ってしまう。 そこで、まず最初の半年で、マニフェストを基に県の長期計画を作り直した。「松沢マニフェスト」と「既存の長期計画」のダブルスタンダードを統一したことで、職員とも統一がとれた。 この議論をやっていく中で、県の職員は「政治は有権者から信任をいただいた政策で動いていくのだ」ということが初めてわかったと感じる。これまでは、政策は自分たちで決めればよい、もしくは国と相談して決めればよいと思っていた。 県民が決めた政策(=マニフェスト)に従わなければならないというのは、カルチャーショックだったと思うが、(職員は)やってくれた」と、職員たちの苦労を思いやった。 マニフェスト・サイクル ― 首長の説明が、県民のチェック意識を育てる続いて北川教授が、「松沢知事のマニフェストを検証させてもらったときに嬉しかったことは『厳しく評価してください。悪いところは直しますから』と言われたこと。これまで行政は悪いところを隠してきた。その結果、空出張のような問題を起こしてきた。そこが知事は違った」と、『隠すより直す』の松沢方針を評価すると、松沢知事はマニフェストサイクル(「(1)マニフェスト作成→(2)実行→(3)検証→(4)見直し」という、政策実現のための一連の流れ)についての持論と実践を、紹介した。< マニフェストに完璧はありえない、できなかったことは全て説明を > マニフェストは、完璧なものはあり得ない。議会との調整、利益団体の反発、災害などで実行できないこともある。 しかし、約束したことを実現する努力と、できなくてもそれを認め、県民に対してきっちり説明をすることが大事。 そのために、私は、外部の委員からなる評価委員会による評価と、自己評価を毎年して、できないものについては理由を全て説明した。 まだ4回目だが、これにより、神奈川県の中に「行政の長は、県民に政策の進行具合を説明するべきだ」という風土ができてきた。 また逆に、「県知事はやっているのに、何で市長はやらないんだ」というふうに、県民のチェックの目も厳しくなってきた。いいサイクルができてきたのではないか。 (坂西雅彦) ※「〈3〉地方政治の改革」へ続く |

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