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日本の安全保障を考える上での生命線とも言える資源エネルギー問題を巡る課題は多い。 このシリーズでは、日本のエネルギー戦略のあり方などについて、政府・与党・公官庁の資源エネルギー政策に携わる方々、そして民間の有識者らに伺う。 今回のインタビュアーは森田裕二・日本エネルギー経済研究所研究理事。 シリーズ第4回目は、IEA(国際エネルギー機関)の事務局長に9月に就任することが決まっている、田中伸男・OECD(経済協力開発機構)科学技術産業局長にご登場頂いた。 石油輸入国26カ国が加盟するIEAの事務局長は74年の設立以来、欧州人が占めてきた。欧州以外から初の事務局長となる田中氏がIEAの舵取りをどのように行うのか、今後の世界のエネルギー情勢について伺った。(収録:2006年12月28日) 田中事務局長の使命:各国省エネ政策の評価指標の作成IEAは1974年にアメリカを中心とする輸入国が、産油国の設立したOPEC(石油輸出国機構)に対抗して、設立したもの。田中氏は、就任後の役割について以下のように述べた。「エネルギー安全保障の点から言うと、資源消費国ができることは、『資源を消費しないこと』。エネルギー消費国が団結していかに省エネをいかに進めていくかがIEAにとって非常に重要なアプローチだ。指標を作り、各国でどれくらい省エネがうまくいっているのか政策比較をし2008年のサミットで報告することが、私に期待されている最大の役割だ。頭を痛めながらも非常に楽しみにしている。」 中国・インドとの“協調”、産油国との“対話”が重要資源価格の高騰を引き起こしている中国やインドへの対応については、「今の値段の高さは構造的なもの。中国・インドという新興工業国が多消費型になり、需要サイドが強くなり供給が追いつかない状態だ。IEAができることは、もし供給途絶が起こった時にIEAと非加盟の中国・インドがどういう状態の時にどう協調しながら行動するかといった合意を作ることが重要。」と語った。また、イランやロシアをはじめとする供給サイドの不安定要因の解消策については、「世界のエネルギー市場には様々な不安要素があり、必ずしも将来のマーケットが安定的に推移するかわからない面がある。IEAの役割は、(産油国と)互いに情報を共有して共通の情報に基づいて今後の需要供給関係などについて話し合うベースを持たせること。これが将来の予測可能性を引き上げることになる。我々は消費国として省エネをし、緊急時の備蓄融通制度を堅持する一方で、産油国との対話も大事な仕事であると考えている。」と積極的に取り組む意欲を見せた。 原子力、「IEAのできることは各国への情報提供」「IEA内部でも推進派と懐疑的な国と両方ある。原子力をどうするかは加盟国の当局の判断に委ねられている。しかし、地球環境問題とエネルギー安全保障の面で非常にポジティブに貢献しているという同意は加盟国から得られている。 原子力については、(IEAが毎年公表している)World Energy Outlookの2006年版の中で1章を割いて分析している。原子力はどういう条件があれば価格競争力のある有用なものになるかといったことが掲載されている。 IEAが貢献できることは、このような事実を加盟国に提供すること。原子力の利用は各国の判断に委ねられているが、このような資料をもとに、各国が電源のベストミックスを考えてくれればよいと思う。」 日本の新国家エネルギー戦略策定、「IEAは勇気付けられた」最後に森田氏が、経済産業省が昨年策定した新国家エネルギー戦略について水を向けると、田中氏は「新国家エネルギー戦略は大胆な(数値)目標を立てており非常にアンビシャスなものだ。実現可能性については(政府・企業など)それぞれの努力、世界のエネルギー需給にもよるのでわからないが、日本も本気でエネルギー安全保障政策に取り組むんだという姿勢を内外にアピールしたことは立派だと思う。(これによって、)我々も非常に勇気付けられている。」と評価した。さらに、「今のエネルギー情勢の中で、EUやアメリカ、中国各国も同じような目標を立てているし、G8などでもエネルギー安全保障に向けた話し合いがされている。各国のこのような姿勢は非常にありがたいこと。ただIEAとしてはどういう共同行動がとれるかが重要。実際に混乱が起きた時の共同備蓄取り崩し行動、省エネ協力、代替エネルギー開発、原子力の推進といったテーマに対してIEAが一致団結して同じメッセージを、産油国や非加盟国に出していくことが最も重要と考えている。」と、世界的にエネルギー安全保障の関心が高まる中で、IEAのリーダーシップが重要であるとの認識を示した。(坂西 雅彦) |
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