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2007年10月25日
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福田康夫・新政権の発足後も政治と行政の不祥事が白日の下にさらされる事件が続発している。守屋武昌・前防衛事務次官の軍需業者との不適切な付き合いと収賄の疑い、厚生労働省の薬害肝炎問題についての資料隠しなどである。政治家をめぐる政治資金の不正処理の発覚も跡を絶たない。福田首相は「政治の信頼回復」を政権の最優先課題に掲げた。しかし、現状では政治・行政への不信が募るばかりである。どうして、このようなことになるのだろうか。 答えは明白である。事実上、半世紀以上続いた「自民党の長期支配」の下で、政治、行政とも正常に機能しなくなってしまったのである。能力が著しく低下しているだけでなく、政治家、行政幹部の規範意識すら大幅に失われた。 小泉純一郎・元首相は「自民党をぶっ壊す」と叫んで、自民党総裁になった。しかし、壊したのは旧・田中派(現・津島派)だけであって、政治を劇場化するという奇手によって、自民党の命をむしろ永らえさせた。安倍晋三・前首相は政界リ−ダーとしての訓練がほとんどできていなかったのにもかかわらず、選挙に勝つための自民党の顔として、同党員と一部の財界リーダーによって、最高権力者に祭り上げられた。その結果が、日本の政治を破綻寸前にまで追いやったことは、だれの目にも明らかである。 バランス感覚豊かな福田氏が政権を獲得したことによって、自民党内と財界はホッと一息ついている。だが、福田政権は破綻しかけた政治と行政を正常化できないだろう。徳川幕府末期と同じように、政治・行政システムが完全といっていいほどの制度疲労をきたしているからである。 古今東西、すべての組織において、極度の制度疲労を起こした場合に、機能を回復させ、正常化するのは、ほとんど不可能である。組織の一部を修復するより、一度、組織を壊して再建する方が機能の正常化作業は容易である。日本の歴史に「社会システムの破壊→再建」の例はいくつかあるが、その典型は、やはり「幕末→明治維新」の過程である。 今日の政界における大きな問題は人材の欠如である。幕末には、薩摩、長州、土佐をはじめとする全国各藩、そして幕府にも多彩の人材がいた。彼らが激しく戦い、多くの血を流しながらも、日本が欧米帝国主義勢力の植民地にならないように腐心しつつ、国家の近代化を成し遂げた。 今日の政界を幕末になぞらえれば、小沢一郎氏は西郷隆盛の役割を担っているのだろうが、木戸孝允、大久保利通、坂本竜馬らに当たる人々は誰なのか。たぶん、そのような政治家は存在しないのではないだろうか。それにも増して、幕末や今日のような、政治の歴史的転換期に必要なのは、幕臣でありながら幕府に引導を渡した勝海舟のような人物である。小泉氏が「自民党をぶっ壊す」と叫んだ時、もしかしたら、勝海舟になる覚悟があるかと期待したが、まったく逆で、劇場政治という、従来より一段とレベルの低い覇道に道を開いてしまった。福田首相が歴史認識を持っているなら、今からでもいい、勝海舟の役割を担うことを頭の隅に置いてほしい。自民、民主両党など、各政党のリーダーと中堅政治家は、政治の大転換期に自らがどのような役割を果たしたらいいか、真剣に考えなくてはならない。人材が欠如したままでは、歴史的転換期は乗り切れないのである。 中曽根康弘・元首相が唱えている自民・民主の大連立論や、「テロ特措法のような外交にかかわる問題は政争の具とすべきでない」という意見は、それなりに一理があるだろう。しかし、それら意見の目的が自民党を少しでも長く維持しようとするものだったら、大局を誤っている。採るべき提案ではない。 「民主党も人材不足で、政策も自民党と代わり映えしない。歴史的転換期を担えると思えない」という意見がある。尤もな見方である。だが、来るべき総選挙で民主党など野党勢力が勝利して、政権交代への道を歩まなくては、日本の政治と行政をもう一度、正常に戻すのは不可能である。政治と行政の現状はそこまで来ているのだ。
民主党を中心とした政権が実現した後、どのくらいの期間続くかは、民主党などの努力次第である。非自民党政権が2〜3年続いた後、本格的な政界再編成が起きることは蓋然性があるし、望ましいことであると考える。(早房長治) |

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タイトル:「もったいない風景『焚き火は禁止されているからできないだけで、あとは全部昔のまま・・・だ』」
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※画像はひとコマ漫画の"一部分"ですタイトルをクリックすると、漫画の全体像を見ることができます |
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